閑話・とあるNPCプレイヤーの呟き
[東京・某所]
▽社内
今日から僕がバイトしてる会社主催の、VRイベントだ。
僕の名前は柏原希林である。
本当、両親は、麒麟にしたかったらしい………
婆ちゃんが猛烈に反対してくれて、
キラキラネーム回避した。
それは素直に嬉しかった。
婆ちゃんグッジョブ!、だよ~
なお、お盆や正月になると婆ちゃんの家に行くんだけど………、
当時の恥ずかしい話をされて、婆ちゃん、じいちゃんは勿論、親戚のおばちゃん達からも弄られるのがお約束である。
「柏原くん」
「あっリーダー、どうしました」
間もなくイベントのカウントダウンが始まる筈だ。
NPC専用機器の中に入ってても可笑しくないはずである。
「業務連絡だ。海原くんがインフルでね」
「え~、マジすか、あいつがインフルだと、大会がヤバくないすか?」
海原道三
かいばらどうざんではない。某〇〇〇ぼのアニメ好きな、海原君のお爺さんが洒落で付けたらしい。
ちょと可愛そうな名前だ。本人超がつくゲーマーで、格ゲー世界ラン3位とゲーマーの収入だけで、生活してる一応某〇稲〇大学の工学部二年生、
海原道三
NPCパーティ・『ポタンポタン滴る水』
『N・ライチ・アーチボル』
冒険者ランクSS
レベル192
ハーフ人魚:18
職業:【聖槍使い】【槍使い】【僧侶】
称号:『最強』
を、任せられていた。
プレイヤーのみの大会の後、王都で『最強』の称号を与えられたNPCプレイヤーを登場させる予定だったのだ。
「ヤバイな、いや不味い」
疲れた顔をしてるバイトリーダー、その気持ちよく分かります。
「それで僕にですか?」
「一応、『最強』以外の四人に参加してもらう」
「四天王出すんですか?、プレイヤーブッチしませんか」
「しょうがないだろ、『最強』のようなインパクトが望めないんだから」
「うわあ~、会社側、パニクりですか」
呆れた口調の柏原に、一つ頷いていた。
『N・メーリン』
冒険者ランクA
レベル132
虎猫獣人:19
職業:【舞踊家】【拳法使い】【ダンサー】
称号:『求道者』
NPC冒険者参加の本大会が開催された。
当然のように、非難の嵐が、公式サイトに溢れたのは言うまでも無かった。