フロアーボスゾンビオーガ・再
少し前、ダーリフ達が先に進んでしまったので、サミエル姐さん、セリシア姐さんの三人でフロアーボスと戦うことになった。
『墓場のダンジョン5F』
『フロアーボス部屋』
扉を前に。ダーリフ達は先に抜けると言ってきた。こればかりは仕方ないので、ダーリフ達を見送った。
サミエル「それはそうとクリス君、君は既にこの階を抜けたのよね?」
クリス「あっはい、僕の時は、ゾンビオーガリーダーに、ゾンビオーガ二体でした」
セリシア「ふう~ん。それってソロだったからかしらね?」
クリス「………いや、それは分かりませんよ。前回初めてでしたから」
セリシア「まあ~、そうよね~。さて二人は、準備良いかしら?」
クリスは、宝石獣と相棒のゴーレムドラゴンノア、人魚を召喚する。
サミエル姐さんは幼女ドワーフなのに、フルアーマー。しかも黒鉄製で、左手には身を覆うような巨大な盾、右手に身の長はある。凶悪なバトルハンマーを手に、にこやかに笑っていた。
うんちょっと、七五三の鎧雛を思い出して、笑いを堪えた。
対してセリシア姐さんの装備は、相変わらずの軽装に短弓である。
僕は、魔鉱のバスターソードに、属性石を三つチャージした。
クリス「ミズリー、全体に防御魔法」
「うにゃ~ん!」
任せるにゃ~ん!、
「うにゃ~ん!【☆風翼の盾
】」
風魔法レベル3
☆風翼の盾
※風の盾の範囲魔法
フロアーボス前だし。先にパーティに魔法を掛けておく。
セリシア「あっ、そうそう、レベルは低いけど、水の精霊と契約したから、回復は任せてね」
サミエル「あら、いつの間に………」
クリス「特殊職ですか、早いですね……。僕なんて昨日ようやく上級職を知ったばかりなのに」
セリシア「一応、私はエルフ設定だったから、わりと簡単に【精霊使い】の職に着けたわ【精霊魔法】って、職業魔法だったのには、驚かされたわ………」
あっ、そこ分かります。僕もスキルだと思ってました。エンドアースには、職業スキル、魔法が設定されてたようで、特殊職に着かないと覚えない魔法もある。
セシリアさんは、褒められ慣れてないのか、少し照れ臭そうに顔を赤くしていた。
サミエル「そうした姿見てるとセシリアって、とても可愛らしい女の子なのよね」
セシリア「なっ、何、馬鹿なこと言ってないで、早く行くわよ!?」
恥ずかしそうに語気を強め、扉を開けていた。
なるほどセシリア姐さんっ、いつも飄々と冷めた印象だったのだけど。可愛らしい性格だったようです。
(それにしても、エルフの種の特性か………)
姐さんはそれがあったから、特殊職に早く着けたって言ってた。
クリス「僕にも特殊職があるのかな?…………」
僕の何気無い呟きに。
サミエル「あるんじゃないかしら、ただこの大陸には、クリス君の種族が居ないようだから、どんな特殊職に着けるか、分からないけどね」
クリス「ああ~、確かに……………」
僕達は、セシリア姐さんの後を追って、フロアーボスの部屋に入った。
三人が部屋に入るなり、扉が閉まる。
『ガァアアアアアアアアアアアアア?!』
ゾンビオーガリーダーが、戦意の雄叫びをあげていた。