夏休み前の期末試験が終わった
「これにて期末試験を終わる。もうすぐ夏休みだ。赤点が出ないこと願う」
担任の睦宮南都子先生26との説明があった。因みに既婚者、二児の母で、僕がバイトしてる託児所に下のお子さんが通っている。
英語の教諭で、週に三度授業を受けていた。
「クラス委員、号令」
挨拶もそこそこに睦宮先生は、タブレット片手に教室を後にした。
「やっと終わった~」
身体を動かして凝った首を揉んだ。
「方城お疲れ」
「お疲れ、部活か?」
「いや先に着替えて、朝買っといたコンビニ飯だな」
「野球部もそろそろ大会とかあるんだろ?」
「ああ、予選ならもう始まってるぞ、うちの野球部は二回戦突発したからな、まあ~次は県大会優勝候補様だ。厳しいだろうが頑張るぜ」
「ふ~んそっか、じゃ次の試合は何時かな?」
「明日だ」
「ああ~………バイトだわ、悪い応援行けないけどさ、頑張れよ」
「おうサンキューな?!」
赤倉翼君が、真っ黒に日焼けした顔に笑みを浮かべていた。
「お疲れ~栗栖」
「お疲れ弘明君」
高田弘明
クラスでもわりと仲良くしてもらってるクラスメイトだ。
「弘明も赤倉君と行かなくて良いのか?」
「ああ~。残念だが一軍に入れなかったからな」
「ああ~……」
「それはそうと、体育祭の準備は出来てるのか?」
「何とかね」
試験終わりに体育祭とか、落差がありすぎるけど、秋に行うには近年暑すぎるから梅雨明けに、ついでのように行われるようになったらしい。
「んじゃ、お先に」
「おうまた明日」
夏休み開けたら、そろそろクラブに入らないとね。
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日用品の買い物を済ませた僕は、帰宅して宿題をすませる。
下に降りると夏の予定をカレンダーに記入しておく。
こうしとかないとスマホに予定表を作っても忘れてたりしたので、念のためにの。
それに夏休みになるとバイトの他に。従弟の相手もある。
多分エンドアースも、大型イベントもやるだろうしね。
スケジュールと予測を立てとかないと、後でスケジュール調整に苦労する可能性が大だ。
何せ相手は、あのターニャだ、従弟だけじゃなく、ターニャの弟ドミニクまたは、ターニャの友達連れで遊びに来ることも考えとかないと………。
「そうなると遊び場を検索しとかないとな」
夏休みの悩みは尽きない。
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夕飯の後予習復習を済ませた僕は、エンドアースにログインした。
「うにゃ!」
遅いにゃ!、やや不機嫌な鳴き声だ。落ち着くためかグルミングしながら、不満そうに唸る。
「お待たせミズリー。ゴメンね」
素直に謝る。
「うにゃ~ん!」
にゃ~は寂しかったにゃ~ん!、チラチラ此方を伺う姿は可愛らしい。
「ゴメンねミズリー、今日は一杯遊ぶから」
「うにゃにゃにゃにゃ?」
ほんとかにゃ?
耳をピクピク、世話しなく尻尾が揺れる。
結局その日は、イベントもなにもかも出来ず。ミズリーとただ遊んで終わった。
たまにはこういう日もありかな…………。