三人の出会いはある意味天文学的な
僕は安心して、油断してたんだ。
まさか僕以外のプレイヤーが居ること。その可能性を失念していた。
「…………誰?」
「おっ、悪いな俺はヒタチ」
「なんか御免なさい。ヒナタだよ」
何処かで見たような………
ああ~確かダンジョンの入り口で、
「色々と気になってね。悪いんだけど情報料払うから教えてくれないかな」
全然自分は悪いとも思って無さそうな様子だ。
まあ~何の確認もせずに【漂白】使ってた自分が悪いな。
「仕方ないね。呪われたアイテム幾つかくれるなら教えるよ」
「おっ、やりー、言って見るもんだな」
「………なんか御免なさいね」
女の子の方は、見た目と違い良識のある人らしい。
『ヒタチさんから、トレードが申し込まれました』
・呪われた槍
・呪われた盾
二つだがまあ~いいか。
「二人は生活スキルって知ってるかな」
「生活スキル…………」
「あっ、知ってます。冒険者ギルドで覚えられる。ゴールドで買えるスキルですよね」
「ああ~思い出した。公式で使えないとか言われるスキルだよな」
「それは知りませんが、その中に【漂白】と呼ばれる生活スキルがあるんだ」
【墓守りの隠し村】のことは秘密に、僕が検証目的に【漂白】スキルだけ購入していたことがあること。お金を払い【漂白】スキルが、アンデットのドロップ品に使えることを知ったこと伝えた。
「お金で情報買えるのか?!」
「いえお金じゃなく、特殊なアイテムが対価となります」
「特殊アイテムか、なるほどね」
「生活スキルは範囲が決まってるので、僕は貧民街でも売っていた樽を使ってみたんですよ」
「生活スキルって、意外と使えたんだな………」
「王都だと始まりの町の三倍価格になりますが、一人覚えとくと【墓のダンジョン】は稼げます。ただしこの事はイベントが終わるまで内緒にね」
僕がそう言うと。ヒタチって子が、
「何で内緒にするんだよ!」
「簡単なことです。大きなクランに睨まれたくないからね」
「…………ん?、どういうことだ」
「…………あっ、そう言うことか」
「ヒナタお前分かったのかよ」
「うん、何となくね。多分家の上の方は知ってますよ」
「うえ~、家のクランマスターとか知ってんのかよ」
どうして黙ってたのか分からないって顔をしていた。
「クランマスターが言ってたじゃない。どうせアンデットからのドロップは大したことが無いだろうが、買い取りはしてやるってね」
「…………ああ~、マジか」
頭を抱え出した。
彼等の所属するクランマスターは、がめつい人物らしい。
「だからえ~と」
「クリスだ」
「クリスさんが恨まれないように。せめてイベント期間は、黙ってるようにと言ったんですよね」
あっこの子、頭が良いだけじゃなく空気も読めるらしいな。
「まあ~そう言うこと、それはそうとヒナタさん、さっきから気になってたんだけどその杖のやつ」
「あっ、分かっちゃいました♪」
宝石獣01(ブラックオパール)
「ハウルです」
ブラックハウルだよね?、ハウルはお手軽過ぎないかな、犬にポチと名付けるくらいな気がする。
「よっ宜しくねハウル」
「かあ~、かあ~」
普通ハウルでレイブンの鳴き声は、見た目も鴉ぽいし。運営が間違えた?。
「あっ、気になりますよね。ハウルって梟の筈ですから、私も気になって問い合わせたら、開発者がレイブンと間違えたらしいです」
「ああ~なるほど」
鴉なのに梟とは、ある意味可哀想な、
「おっ、へへ~ヒナタのはお金のダンジョンで買ったんだぜ。だけどな僕のは違う」
腰に手を回すと手にすっぽり収まる。小さなルビーの付いた杖を手にした。
「フラノ!」
「ワオ~ン?!」
宝石獣08(フレイムドック)
遠吠えする赤毛の柴犬ぽい宝石獣だった。眉が太くて凛々しい顔をしていた。
「どうだ驚いたろう!」
自慢気などや顔をするヒタチに、若干イラッとしたのは否めない。
「ミズリー」
「うにゃ~ん!」
「うえ!」
「あっ!宝石獣03だ」
二人も驚いたようだ。僕も驚いたが、こんなに沢山いるプレイヤーの中で。宝石獣持ちのプレイヤーが、イベントダンジョンで出会う、どんなに確率だよ。