久しぶりの始まりの町
何時も通り定時に学校が終わり、バイトも無いので、思ったよりも早く帰宅出来た。
予習復習と宿題を済ませた僕は、夕飯の支度を手伝いに下に降りた。
手を洗い、僕用の前掛けをして台所に入る。
「クリス、勉強終わったの?」
「うん」
「そう助かるわ♪」
妹が無精な性格なため、料理の手伝いは僕の仕事になっている。
洗濯と洗い物はベッキーの仕事である。
「お風呂掃除もしとくね」
「うん、よろしくね」
今週、母はバイトでいないから。金曜は買い出しに出ないとな。
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見慣れた天井だ。
「うにゃ~ん♪」
「おはようミズリー」
ゴロゴロ嬉しそうに喉を鳴らしながら、頭を擦り付けてきた。
ここのところ構ってやれなかったからな、甘えたいのだろう、よし今日は一杯可愛がってやろうか。
ミズリーに癒された。猫も良いな。
さて、そろそろ向かいますか、アパートを出た僕は、転移の門を使って、始まりの町に向かった。
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転移の門側の広場は、今日もプレイヤーでごった返していた。
来週には新しく第四陣が合流する。
すると始まりの町にプレイヤーが溢れてしまうから。
今のうちにクエスト受けたり、考えることは皆同じだったな。
回復薬が残り少ないので、マレンダ雑貨店に寄った。
「おやおやクリス久しぶりじゃないの、元気だったかい?」
マレンダさんは、まるで親戚の伯母さんのような気安いさである。
「お久しぶりですマレンダさん、回復薬中×5下さい」
「ハイよ。これからクエストかい?、暇になったらまた配達頼みたいね」
「了解です。明後日なら(エンドアース時間で)大丈夫ですよ」
「そうかいクリス頼むよ」
『シティークエスト・日用品の配達をしよう』
クエストを受けた。
嬉しそうに笑うマレンダさんを見ると。エンドアースでは、多くのプレイヤーが呟く。NPCだからとか、僕も言えなくなりそうでちょっと怖いかな。
冒険者ギルドで、野良パーティの受付を済ませた。
隣にある酒場で待つシステムだ。
程なくして、男女3人の学生らしいパーティが僕の前に来た。
「君がクリスかな?」
「はい赤熊族の漁師クリスです。大剣使いをしてます」
その日、三つのパーティと野良パーティを組んでみた。
取り立てて普通かな、チームケモナーや、キイロ達のようなピンと来るものがなくて、クエストが終わったらその場で、さよならした程度だった。
野良でも当たり外れってあるんだね。
「今日はこれで終わりかな」
始まりの町の転移の門から、海辺の町ランガに戻り、アパートに帰るとログアウトした。