交易船に乗って
交易と大型船のことは、僕としてはゴウタスに任せれば良いのかと思ってた。
そう思ってたのだが………。
「いやいや………、最初は僕が乗って、目的地まで行かなきゃダメって、マジかよ」
正直な話、スゲー面倒臭いな……、
そもそもあの幽霊船はゴウタスの父の船だったしね。
僕としては、普通に冒険と狩りを楽しみたいのであって、商人ロールを楽しみたい訳じゃないのだけど……、
「やっぱ流されるまま、適当にプレイしてるのはダメだな、はぁ~」
でもまあ仕方ないか、
今更エンドアースのプレイスタイルは変えられないからな。
「まずは、姐さん達にと」
ステータスを開いた。
「今日はログインしてないようだから、メールだけ送るか」
お店を手に入れたこと、クエストで大型船を入手出来たので近日中に、海上都市アースベルトに向かうと認めた。
「よし、漁に出るか」
お金が無いし、商人になってお店が出来て良かったのは、船員が手伝いに出てきてくれること。ただ魚を漁協ギルドに卸すと、自動的に残り300万ゴールドの借金から引かれることだろうか。
「便利は便利なんだが、融通が利かないよな行政ってさ」
肩を落としながらアパートに戻った。
━━━━━━━━
ログアウトして、スマホを見ると母からメールがあった。
『今日は遅くなるから明日のお弁当のお買い物、お願いね』
買い物リストの写メが付属していた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
散歩がてらラブリンを連れて買い物に出た。
何時ものように拾い食い防止付きのリードだ。
「あっ、お兄!」
「わふわふ♪」
ベッキーが、女の子二人と小走りに手を振ってきた。
ラブリンは嬉しそうに尻尾フリフリ、早く行こうよと言わんばかりに僕を見上げた。
「外で会うなんて珍しいな」
兄妹と言っても、僕が中学に上がってから、行動範囲、友達も変わったから。小学生の頃のように、外で一緒に出ることは少ない。
連休前に、母の代わりに叔母の世話をした時にもらったバイト代で、奢って以来かな?。
「あれお兄さん、この間会いましたよね」
と、ベッキーの連れが、僕に話しかけてきた。
「………そうだっけか」
僕が首を傾げてると、もう一人の子が、話しかけてきた女の子の袖を引いた。
「うーちゃんうーちゃん」
「ん、何よヨシー」
「うーちゃんこの間ただわんちゃんのこと聞いただけだから。お兄さん覚えてないと思うよ」
「あっ………」
ん、この間?、覚えがないな
「あっえっとその私三浦涼子って言います由美と同級生なんです」
「お兄さんは覚えてるか分からないけど。この間三人でわんちゃんのリードのことで聞いたんですよ?。田上吉子です」
「うーちゃんとヨシーお兄と会ったの?」
「うんみいが遊びに来たときにね」
「あぁ~あの時、あのわんちゃんってラブリンだったんだね」
どうやら本当に会ってたようだ。
「お兄散歩?」
「んにゃ、母さん遅くなるようだから、お弁当の買い物だな」
「ふ~んそっか、お兄さ、あのね……、ラブリンの散歩私がやるから、そのね………」
ちらりうーちゃんとヨシーと呼ぶ友達を見ていた。
ははぁ~んなるほどね。
「お願い、今月ピンチなの、お菓子とジュースね」
上目使いのベッキー、さらに何処かで見たようなうるうるした上目使いの二人。
「しょうがないな~」
「「「ありがとうお兄」さん」」
綺麗に声がハモっていた。