幽霊船ダンジョン3
キイロの発案は、結果から言えば大正解だった。僕達の最初の苦労は何だったのか………
声を大にして言いたい。
キイロを見て、僕はさっきまでただの商人のロールプレイヤーだと思っていた。
だけどキイロの一面、いや内面性は違った。
僕は見てなかったんだろうな………、
多分キイロは洞察力と判断力が鋭い、俗に言う頭がいいプレイヤーなのだろう、
たまにゲームなんかではいる。頭がいいプレイヤーは、攻略方法とか意外な視点を持ってるそうだ、
リアルに当てはめると、有能なコンサルタントが付いたパーティなのだな………、
キイロ「この階層には本当に何も無かったね……」
アイコ「でもこの先も何も無いとは言い切れないから、確かめるしかないんだよ」
ミドリ「なかなか嫌らしい設定ですね」
ヒイロ「プレイヤーには嫌われるダンジョンだよね。プンプン!」
クリス「で、あれがこの階層の中ボスか……」
「……ドラン」
今まで空気のように反応の無かったゴウタスが、中ボスを見て泣きそうに呟いた。
━━━でもね。
僕には段々と、どうでもっていいかなって感じてきた。
周りの皆もそんな空気が流れてる気がした。
アイコ「とりあえず。さくっと倒しましょうか」
「「「「了解」」」」
☆☆☆☆☆☆☆☆
ゴウタスが呟いたドランを鑑定した。
『ボーンヘッドウォーリアー』
レベル31
職業【戦士】
スキル
【二短剣流2】
【体術3】
【火属耐性5】
【物理耐性2】
鑑定した結果をチャットで飛ばした。
キイロ『物理と火属耐性は厳しいな、短剣二刀流ってのも厄介だ』
アイコ『やることは変わらん、クリススイッチやるからタイミング宜しくな』
クリス『了解でーす、頑張ってみます』
ミドリ『火属耐性があるから、私のファイヤーフィールドは使えないわね。私は補助かな』
ヒイロ『フフフン、私がヒロイン』
キイロ『ひと当てしてから修正する』
アイコ「【私を見て!】」
注意スキルを使ったアイコに、
『死ッシシシシシ………』
ルビが違う気がした。かなり不気味で軋むような声音だ。
アイコ「十文字斬り」
左右にステップ踏みながら、十文字斬り、
ボーンヘッドウォーリアーは軽快に、カタカタカタ音を鳴らしながら、パーリィで受け流された。
『死、シッシシシシシ』
ボーンヘッドウォーリアーは、短剣アーツの【刺突】
アイコ「クッ」
浅いがダメージ判定、
クリス「スイッチ、薙ぎ払い」
アイコと場所を代わったと同時に薙ぎ払いを放つ。
ギィン、短剣二刀流の十文受け、僕のパワーが上回り、ボーンヘッドウォーリアーに軽微なダメージ判定、
クリス「ハアアアア!」
体術【体当たり】+【薙ぎ払い】
コンボアーツ【強振】を放つ。
『ガァアア』
ダメージは大したこと無いが、ノックバックを起こした。
ミドリ「ナイス【火槍】(ファイヤージャベリン)」
ヒイロ「続くよ【浄化】」
キイロ「打撃は有効だからね」
クラブの【強撃】でフルスイング、
アイコ「スイッチ、【私を見て!】」
HPの削りはようやく1/16
「ミズリー【風翼の盾】」
「うにゃーん!」
範囲の風の盾が、パーティメンバーにかかる。
アイコ「うし今だな、【溜め】【溜め】【溜め】」
ようやく動き出したボーンヘッドウォーリアーに。軽微なステップから、
アイコ「【渾身の一撃】」
打撃判定の一撃は、ボーンヘッドウォーリアーにクリティカル、大ダメージを与えた。
キイロ「嵌める」
キイロのフルスイング、再びノックバックを起こした。
ミドリ「【石槍】」
火ではダメージが
無かった。打撃判定の魔法なら、
ミドリ「うし、予想通り!」
ヒイロ「【光球】」
アイコ「止め貰い!、【溜め】【溜め】【溜め】」
ボーンヘッドウォーリアーの真ん前に立ち止まって、
アイコ「【渾身の一撃】」
クリティカル判定の星が散った。
ボーンヘッドウォーリアーは何もさせてもらえないまま倒されていた。