幽霊船員
ぼろぼろの大型帆船、
甲板から船内に入る入り口二つ
一番上の特別部屋は穴だらけ。扉は砕けて無くなっていた。
ちらりと見たが、何も無かった。
船内に降りる扉だが……、
特別部屋の下にあったため崩れ去り、こちらからは船内に降りる事は出来なさそうだ。
「船長こっちでさ」
ゴウタスが甲板の真ん中にある。板張りを叩く
がこ、板張りの一部がずれた。
隙間に手を入れてじゃらじゃら鎖を引っ張り出した。
「せーのぐっ!」
ぎっぎぃーばたん。
甲板の一部が両開きに開いた。
「ここが船内に荷を入れる場所です」
アイコ「じゃ行きましょ」
アイコが先頭、クリス、ゴウタス、キイロ、ヒイロの順で、ゴーレムドラゴン二体、梟、最後尾にミズリーが着いた。
貨物部屋は三層になっていて、甲板下の貨物は重い酒や鉱石の箱があった筈だった。
しかし壁の一部が崩落していて、がらんどうだった。
「貨物部屋を抜けやすと船底から船室に行けやす」
ゴウタスの話では、船長の部屋は、真ん中の三層にある。たた船長の部屋に行くにも普通の船員が入れない操舵長、航海士、船員長の誰かの部屋にある鍵を見つけなくてはならない、
だから貨物部屋を抜けて下に降りる。
3階層は、食糧と輸入品、一番奥に装飾品を仕舞う金庫がある筈だ。
「何もありやせんね………」
残念そうに呟くゴウタス、恐らく何かが居るのは三人の幹部と船底だろうな、
金庫は開かないようだ。
中を確かめることは出来ない。ゴウタスは何とも言えない顔をしていた。
クリス「地味だね」
ヒイロ「兄貴が馴れてきたからつまんない」
みんなとは違う感性のヒイロ以外は、同じような造りの貨物部屋を見て回る。
キイロ「ここは見張り部屋か?」
金庫番の部屋の中は、二段ベットが二つある小部屋だった。
三人の幹部だけが個室であろう。
アイコ「モンスターも宝箱も出ないし」
最初のワクワクが消えていた、
段々作業ぽくなってきたのも追い討ちである。
大型帆船の中は、全五階層もあるそうだ。
マップは埋まってないせいか真っ黒だし、
貨物と言っても部屋数もあるので。一応見て回ったが、本当に何も無かった。
「この先船底でさ」
ゴウタスもなにかを感じたのか、禍々しい気配を感じた。
ミドリ「ようやく中ボスかな」
アイコ「ボコボコよ!」
キイロ「………………」
顔色が段々悪くなっていく。ホラーが全般駄目だったらしい。
ヒイロ「範囲光の防御魔法、光の皮膜」
プロテス、ダメージカットを使った。
『………コ……………ス』
半透明なゴーストが、暗い眼をゴウタスに向けていた。
「ラグマスさん………」
ハッと息を飲んで、もの悲しい泣きそうな顔をしていた。
「船長」
願うように強く手を握り締める。
ゴウタスに一つ頷いていた。