霧の海域
再びPVが流れた。
━━あれは二ヶ月前、
俺は漁協ギルドで働いてる時のことだ。
公益船の船員募集が、商人ギルドから届いた日のこと、
俺は、何時ものように受付嬢の業務をしていた。
『おい聞いたか?』
『ん?何をだ』
『最近危険な海域を抜けてきた幽霊船が、海をさ迷ってるって噂だぞぞ』
『幽霊船か……、そいつはまた穏やかじゃないな』
『霧の海域』と呼ばれる危険地帯は、
━━百年前から、
『霧の海域』と呼ばれる危険地帯を。船乗り達は知った。
嵐の日には、大型のモンスターの繁殖期であると
それ故に船乗り達は気を付けて、嵐の時は絶対に近寄らないようにしていた。難所であった。
本来ならば、海流から燐国に行くには有益だったのだ、
過去幾度も。海域解放に乗り出した国もあった………
のだが、
それも遥か昔のはなしだった。
だが、ある日を境に、
『霧の海域』辺りにて幽霊船を見たとの噂が、流れるようになった。
━━曰く、嵐によって沈んだ船と船員達が、無念のあまり『霧の海域』をさ迷っている。
━━曰く、船の墓場が、『霧の海域』にあると……
━━曰く、巨大なモンスターの影を見たと……
唐突にゴウタスの回想PVから、漁協ギルドで聞いた噂話までもがいっしょくたに流れていた。
(これは……どう言うことだ?)
「いや確か……」
メインストリーって、選択式だったよな………
この辺りの情報はキイロに任せとこう、
キイロ「そう言えばクリス、相棒使わないのか?」
クリス「あっ……(忘れてた)」
すっかりお金のダンジョン&オークションイベントのこと忘れていた。
あの時相棒を手に入れていたのもだ。
ミドリ「私もあんまり使って無かった……、支援目的なら確かにありよね」
しかも僕には、風魔法が使えるミズリーがいたことも。頭からスッパリ消えていたのだ。
右腕を見ればいつのまにかミズリーが、腕輪になっていたし、相棒の指輪も着けていたのに。
アイコ「とりあえず辺りを警戒出来る相棒が居たら、呼びましょう」
「「「「了解」」」」
僕が呼ぶのは勿論ゴーレムドラゴンノア
相棒の指輪に触れて、召喚した。
属性『混沌』
名前『ゴーレムドラゴンノア』
能力
・自動攻撃
・巻き付き
特殊能力
無し
「自動攻撃は、空の敵に、有り難いな……」
しみじみ思った。
相棒はあくまで補助だが、宝石獣もいる。
あれも相棒と同じくパーティに含まれないから、何時でも呼び出せたのにな。
「うわぁ~、間抜けすぎるよ」
恥ずかしい