メインストリー3(ゴウタス)
海辺の町ランガの港から、漁船は沖に向かって走らせる。
最初こそラングルバーンの面々も、VRならではと言うこともあり、はしゃいでいたが、本物と違い船酔いもないからか。すぐに慣れていた、
アイコ「この先考えるとキイロも船が必要になるわよね」
ミドリ「そうだよね。お兄はまだ行商人だけど、国境越える『許可証』が手に入ったら、船は必然になりそうね」
何となく、意味ありげに二人は顔を見合わせ、ちらりとクリスのこと穿っていた。
二人のバイトから、じろじろ見られてるとは、これっぽちも気付かず。クリスは右上のマップに注意を向けていた。
(かなり距離がありそうだな)
海のマップのせいか、フィールドマップとは違うようだった。なかなか×に近付かないようだ。
「……ここらで漁をしたいけど、良いかな」
さっきから魚探知機前で、そわそわしていた。ゴウタスをクリスは苦笑気味に見ていた。
キイロ「おっ、面白そうだね」
クリス「たまに、モンスターも釣り上がるから、大物は海上の戦闘経験も得られるよ、たださほど戦闘経験は無いけどね」
ミドリ「あっ、私あれ撃ってみたい!」
魔法使いのミドリが、モリ撃ち銃のある台座を見てはしゃいだ。
アイコ「うし!、私は釣りがしたいわね。悪いけどよろしくね」
クリス「はっはは……、分かりました。ただあれは確かに、一度経験しといた方がいいかな、ゴウタス魚探知機のスイッチを入れてくれ」
「了解だ船長!」
NPCのメインキャストは、軒並みAIが優秀なようだ。表情が生き生きしていた。
━━まあ、漁協ギルドでの様子を考えると。
漁協ギルドにいた。受付嬢、ギルド副マスター(ガルダス)の二人も、AIが優れていたように思えた。
その辺は検証クランにでも任せよう、
僕はゲームを楽しませてもらえば良いかな
ゴウタスが魚探知機のスイッチを入れた。
マップの代わりに。魚探が右上に入れ替わる。
船のスピードを『弱』にスロットルを落として、漁場を探すことにした。
「船長」
ゴウタスが目を細めて、右先を指していた。
「海鳥でさ!、あいつら魚を奪いに来るんで、先に倒しましょう」
ゴウタスの言葉を受けて、アイコとミドリが、モリ撃ち銃の台座に向かう、
「海上なのに……」
海鳥の攻撃範囲に漁船が入ったのか、視界が塞ぐ物がないから。襲いかかって来るのも早い、
ヒイロ「範囲防御行きます」
ヒイロの防御魔法が、漁船を指定したのでNPCのゴウタスにも防御魔法が掛かった。
『クァ、アッア』
海鳥達が、旋回から急襲してきた。
クリス達は慣れない船の上で、迎撃に入った。
のが………、
『空中の敵に、僕との相性が悪すぎるな』
苦々しく思いながら、ちらりとゴウタスを見た。
意外にも活躍したのが、ゴウタスだったからだ。
実に手慣れた様子で、弓を片手に、次々と海鳥を撃ち落としてみせた。
これを僕達が止めを刺すことで、どうにかなったのだ。
クリス「対空戦闘か………」
これは何か考えないといかんな。