海の素材3
『海辺の町』
新しいアパートから外に出る。
どうやら朝のようだ、二回目の朝とかね。ゲームならではだな、
先に漁協ギルドに寄って、依頼の確認と海域ごとのモンスターの事が書かれた紙を貰っていた。
「よお………、お前これから漁か?」
何時もならカウンターで、女職員の制服を着て、憮然とした顔で立っているゴウタスが、苦味ばしった顔のまま声を掛けてきた。
「そうだけど………、何か用か」
『シティークエストゴウタスの願い』
━━━俺が、こんな成りで漁協ギルドで働いてるのはな、
俺の親父か乗っていた交易船が、行方不明になったからなんだ━━。
本当はあの日、
俺も親父と行くはずだったんだ。
━━ただ。
お袋の具合が悪くてな………、
仕方なく俺は、お袋とまだ小さかった妹と弟の世話をしながら、親父が帰ってくるのを待ちながら、お袋の看病してたんだぜ。
もうあれから三年もたっちまったか………。
後で分かったんだ。親父達が帰ってくる予定の前日。沖で嵐にあっちまったんだ、
交易船の残骸だけが、海辺の町に流れ着いた。そんな話さ━━━
いきなりシティークエストのログから、物語が始まっていた。
これってもしかして、メインストリーじゃないのか?、
あれって冒険者ギルドでクエストを受けてると、たまに起こる筈だよな?、
疑問に思ったけど。
・『ゴウタスを船に乗せる』/YES
・『ゴウタスを船に乗せない』/NO
考えても分からないけど、初めてのクエストなら受けなきゃ損だよな、確かメインストリークエストはパーティ仕様だったはずだ。
ステータスを開き、
友達を見ると、チームケモナーはいないか、
「おっ、キイロ達がログインしてるなメールしてみるか」
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『城塞都市ガレン』
クランパーティ、『ラングルバーン
』
リーダーアイコと商人プレイヤーのキイロの二人は、先程二人で受けていたクエストの報告に。商人ギルドに来ていた。
「あっ、クリス君からメールだ」
「ん?、クリス君…………。ああ~前に野良で組んだって」
「ああそうそう、アイコとトウタンが、リアルで忙しかった時にね」
「ふ~ん、それで何だって」
「おっ、ちょっと面白そうなクエストの誘いだよ」
「ふ~ん」
好奇心旺盛なラングルバーンのリーダーアイコは、キラキラ目をしていた。
ある意味サブリーダータケルと双璧をなすゲーマーだから、余計にこれだ。
「タケル、トウタンは無理そうだけど、私はOKだよ。それにとミドリちゃんとヒイロはクランハウスにいるから、早速メールするわね」
「あっうん」
どうやらクエスト参加確定のようだ。まあ~いいけどさ。