海の素材
セリシア
海辺の町に来て数日、
様々な新しい素材に出会った。
エンドアースは、リアルの時間で一日24時間が、
四日の時間が体感できるようになっていた。
最近の研究では、
四日以上の日数を、擬似体験出きる。VRの世界を遊ぶと日常に些細な違和感が出ることが分かっていた。
私の研究は、そんなVRの世界内で、研究時間が伸びないかの実験台として、ゲームとは別に、データ内ではあるが、研究所を作らせていた。
その研究所にて、素材の加工方法や、新しい加工の仕方を考えたり、
リアルで似た素材を見付けたら。リアルの加工技術で試したりしていたりする。
最近では、新しい素材を見付けた。それでようやく新しい製品を商品化することが出来たので。この間のイベントの時は、纏まった休暇を貰っていた。
要するに私の職業は、このゲーム世界の錬金術師のようなことを。リアルでもしている研究者だ。
「……そう言えば、海洋生物の皮を加工して、洋服とかの製品は無いわよね」
研究者の知識では知らないこともある。でも海洋生物の皮を商品化して、使うのは、正直あんまりやらないわね。
何よりも海の素材は、ひいては海の生き物の皮は、価格も安定しないし、加工も難しから、製品化するのは難しいのが実情だ。
私もVRの研究所で、リアルでも似た素材があったので、なるべく近い素材の幾つかを加工してみたのだが、問題が次々に出てくる。
一番の問題だけど。熱に極端に弱いことだった。
さらには、鱗が乾燥すると剥がれ落ちてしまうことも問題だった。
ゲームの世界のように、魔力を持ったモンスターの皮だったら、また違ったに違いない。
それからも素材を探しに、海辺の町に来ては、新しい素材を探して来ては、加工を試してきた。
来たのだが………、
海の素材はやはり熱に弱い。
ただあることに気が付いた。
熱に弱いなら、熱を使った加工に変えてみたら。
わりと簡単に皮の鞣しが出来た。
私は鍛冶屋ではないので、それ以上どうしょうもない。ただ魚の魔物の骨は硬く、角、牙等も武器に加工出来るようだ。
海辺の町にある武器屋では、普通に売られていた。
「地球上では、なかなか加工して使えなさそうな素材ばかりね………」
吐息を吐いた時だ。
クリス君からメールが届いた。
クリス『中型漁船を手に入れました。手続きが面倒くさかったです。それからボスではないんですが、ビックシャークの皮と歯、肝油がドロップしたんです、これ僕では手に余るので相談したいです』
「あっ、なるほどサメの皮なら行けるかも」
急に視界が広がったような気がした。
サメの皮なら固そうだけど。加工して使えそうだわね。
「あれって何年か前に、水着に使われたって話が無かったかしら、でも私が知る限り大根おろしに使われてる位だわね」
ただ加工の仕方によったら、ちょっと面白いかも。
「取り合えず『明日の夕方にでも』」
メールを送った。
『セリシア』
職業錬金術師
職業スキル
・『錬金術』
(錬成、抽出、合成)
・『薬草の知識・中』
・『金属・加工の知識・中』
・『魔方陣の知識・中』
クリス君から相談のある。ビックシャークの素材の歯はナイフか、弓の矢に加工可能だわね。
ビックシャークの皮は、一部金属を使えば皮鎧になるようだし。これはサミエルに丸投げね。
「肝油は抽出すると良質な中和剤が作れるのね。これは欲しいわね」
クリス君とはまだ短い付き合いだけど、年下の友人も悪くないと思えていた。