唐突にクエスト告知されました。2
太った貴族こと内務卿が顔を真っ青にしつつも己の矜持か、ワイゲン公爵閣下に誰何する。
理由は分からないけど、ワイゲン閣下は、国を腐らせる腐敗貴族と言ってたよね~。
(一応、今回の会合はワイゲン公爵閣下の派閥の会合であった筈だ。ってことは、他の三公の派閥でも同じことが行われてる可能性がある。かもね~)
なんとなくクリスは当たりをつけていた。
「クリス男爵、その方は我の側にて護衛せよ」
「はっ、承知いたしました」
「クリス男爵、武器をどうぞ」
ワイゲン閣下の言葉に従い騎士の側に素早く移動した。しかしこの辺りは勝手に体が動いていたし、勝手に言葉に従っていた。
渡されたショットソードを受け取るとワイゲン閣下の前にて身構えていた。
(うわあ~、これ僕は完全にワイゲン閣下の行動を理解して、行動した風に見えるよね~)
心の中で今の状況を冷静に俯瞰で見てそう判断した。
「うむ、流石はクリス男爵ですな判断に淀見なく、ワイゲン閣下の命に言葉を挟まず素早く行動なさるとは、自慢なさるはずであるな!、ガハハハハ」
いかにも見た目厳つい顔立ちの偉丈夫で、武人ぜんとした騎士は歴戦の勇と行った感じですかね~、
本家の師範代クラスよりも上かな~、頭は兜を被るためか剃ってスキンヘッドにしてるが、背は僕のアバターと変わらないし、横にがっしりしてることから、いわゆる重騎士と言うやつかな?、
会場の扉の前から動かず。楽しげに会話しながらも僕含めて周りをしっかり把握しているようだ。
「ありがとうございます。しかし、祖父に言わせればまだまだ僕の判断力は遅いと何時も怒鳴られてました」
鉄火場である筈だからこそ楽しそうに笑って見せた。
するとどうだろうか、恐らく騎士団長か、副団長か知らんけどその目は少し愉しげな色に変えていた。
どうやら武人には理解出来る相手と思われたようで安心である。
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★ワイゲン公爵騎士団団長バルトライゼン視点
我は、ワイゲン領を守る私設騎士団団長バルトライゼン・フォン・アルバルトである。
一応、子爵位を頂いておるが、元はしがない傭兵であった。
もう12年は前になるか我は傭兵を辞めて、何処かの貴族家に仕えれるよう王都の闘技場にて名を上げる事にしたのは、自身の力試しもあったが22の若僧であり腕にも自信があったためであったわい。
しかし上には上が居ることを早々に思い知らされた。
だが、落ち込む我を見出だしてくれたワイゲン公爵閣下には未だに感謝したかない。
我をワイゲン騎士団団長に据えた上に、法衣貴族とは言え貴族にまで奉じて下さったのだ感謝したかないではないか、今では結婚して三人の子にも恵まれたのも、公爵閣下のお陰であるな。
(ふむ、姫様が騎士に任じたのが商人と聞いて少し案じたが、なるほどなかなかの人物であったか)
少しだけクリス男爵のことワイゲン公爵家のためにならぬならば、この場で切って棄てようと考えていたが、心配は無用であったか、
(流石は商人と言った感じであるが、戦えぬとは言わぬ強さを秘めておるか・・・)
これはまた面白き人材がワイゲン閣下の元に来たものよ。
バルトライゼンは密かにクリスの言葉に笑いを堪えていた。