貴族って馬鹿ばかりなの!?5
★サニアお嬢様視点
城の離宮の一室、私は憂鬱な気持ちで遅々と進まぬ時計を見上げ、もう何度目かのため息を吐いていた。
正直な所、お父様の派閥の会合は今宵・・・。
大きな変革をもたらせ各派閥も同時に動くことで大きな影響を王国貴族に与える事に成るでしょうね。
下手をすれば今宵の舞踏会は中止となる筈です。
「それどころか・・・」
コンコン
『お嬢様、宜しいですか』
「はい、おは入りなさい」
こんな時間に爺の声を聞いて少し首を傾げていた。今の時間であれば、爺はお父様の側に控えていなければならないのですから、
「失礼しますお嬢様、旦那様より至急にクリス男爵様からのプレゼントをお渡すようの命にて、御前を拝しました」
「まあ~、お父様が、クリス卿のプレゼントをですか?」
私の騎士ですが、クリス様は国王陛下並びに三公爵に認められてる稀有な人物であり、異界の旅人でありがら正式に我が国の貴族となられた傑物となった信頼出来る人物です。
武勇こそ未知数ですが、内戦では大きな手柄を立て、最近ではベルゲン公爵領に新しい鉱山を幾つも発見し、さらには隣国ドワーフ王国と有利な国交をもたらせたのもクリス様です。
そのクリス様からのプレゼントです。
お父様がすぐに渡すように私の元に送った事に違和感を覚えました。
「お嬢様、此方をお読み下さり身に付けておけと旦那様の命にございます」
「お父様が?」
そこまで言うのにも何となく理解が及び、手紙を開くと『鑑定書』であった。
ざっと中を流し見ていたが、ゾワリ手が震えてしまっていた。
クリス様は私の暗殺を心配していると言うのですね。
『鑑定書』
SL
『女神の首飾り』
【全耐性・中】
それは下手をすれば王族の宝物庫に仕舞われていてもおかしくない一品でした。
「お父様もクリス様の懸念の理由に気が付いてのことなのでしょうね」
もはや驚きはありませんわクリス様がわざわざ国宝級の品を私にプレゼントしたのです。
王族、公爵家と反発する5
侯爵家の派閥が怪しい動きをしているとお父様も申しておりました。
今宵の派閥会合の後の舞踏会が、無事に開始された場合。
派閥の貴族を減らした三公爵家の政治的能力と王国内の力を削る好機と見なして十分にあり得る機会と判断する可能性が高まりますもの。
「流石はクリス男爵ですと旦那様は感心しておりました」
「本当に・・・、クリス様には感謝しかありませんわ」
こうしてクリスは意図せずワイゲン公爵家から絶大な好感を得たのであるが、それは運営によるヤラセの可能性を後々クリスは感じたとか、感じ無かったとか・・・。