非日常を楽しむ食い倒れ少年のややボッチゲーム
『モンスター・エンドアースの世界にようこそ』
俺の名前は、方城栗栖、都内のそこそこな進学校に通う予定の１５歳。今のところまだ中学生だ。
去年の夏前から、先月の受験まで、それはも～、勉強尽くしの７ヵ月ダッタヨ。
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ほんと〜に！ま・じ・でッ！
苦労の末、胸を張っての成績にて無事に受験もクリアできた。
親と受験前から合格したらと、最近流行りのVRT機の購入を約束した。
VRTゲームとは視覚的、聴覚的、味覚的、質感をも擬似体験できるが売りの、通称ＶＲと呼ばれる総称のゲームシステムのことである。
━━親父曰く、自分達のころは……
家庭用ゲーム機が主流で、インターネットに繋がって、コントローラを握る。熱い日々を楽しんだとのたまっていた。
ま～スマホゲームは、俺や妹も大好きだから、分からない話ではないが…………、
合格発表その日に。結果が分かったその場で、VRT機を予約してもらい、ようやくさっき届いたって訳だ。
「ふふふふ～♪」
悦び勇んだ俺は、早速とばかりにインターネットに繋げて、ネット経由で、口座からお小遣いを振り込み。最新ゲームであるエンドアースを自腹で購入した。んでパソコンとにらめっこしながら、説明書をスマホにダウンロードして、
「よっとこれで大丈夫な筈だ」
スマホ片手にVRT機にゲームをインストールしてもらい。一休みする間も惜しんでログインしていた。
俺が選んだエンドアースと言う名のゲームは、ジャンル的には狩り物と呼ばれるゲームで、昔流行った言葉...
‘’ひと狩り行こうぜ,,
などとネットゲーム用語にもなった、アクションバトルと呼ばれるジャンルである。
エンドアースは、狩り＋冒険要素たっぷりなダンジョンまでもが組み込まれた異世界のような世界観で、あまりにも美しい大自然のグラフィックと沢山のNPC達が、まるで本当に生きて生活してるかのような臨場感は、見ていて不覚にもワクワクが止まらなかった。
まさにもう１つの世界。マジにそう思えた。俺も男だ。やっぱり異世界物とか、勇者召喚とかには、ちょっぴり憧れもあったりするしさ、もしも現実に巨大モンスターとか現れたら、手に汗握る処か、顔面蒼白になる自信があった、頭んなかきっと真っ白になって動けないだろうがな～。
ま～リアルで、異世界に行きたいなんてこれぽっちも思ってないさ、小市民の小心者だしね～ケケ、ゲームだと分かってるから楽しめる。
斬新なバトルシステム使って、等身大の視界と俯瞰された視界をうまく使って、冒険者となり巨大なモンスターに突っ込めるってもんだよな。中でもカッコいいのが、これってアクションを決めた瞬間だ、
絶対現実では不可能なアクションが決められるのが、VRの醍醐味だと言われてる。
「おっ、こいつか」
すでにエンドアースのスタート記念から一月が経過している。ゲーム公式サイトを見てみると、βテスター含めた先行組第一陣、抽選当選した第二陣合流記念にて、初めて行われたイベントの項目を見つけた。中にはイベント内の風景や動画、ベスト１０プレイヤーの名前と決め技のスクショが載せられていた。
運営側伝言板には、イベントサイトにあわせた攻略サイトがあったので、いくつか見て回った。そこにはCMとして流れていたのと同じやつの、フルバージョン版が、視聴出来るようになっていた、これはうん、無料インストールが出来たので、スマホに落として、完全版オープニングをもう一度流してみた。
「これだな」
購入を決めた。まあ～、一応攻略サイトを見つけたんだからと、ついでにゲーム情報集めをしたのは無論だが、プレイヤーによる各ジャンル別に伝言板があって、プレイヤーによるコメントが溢れていた。中には動画や、ゲーム内の可愛い女の子NPCランキングや、テイマーによるペット自慢とか。モフモフスキーによる。モンスター自慢ショットや、迫力満点の飛竜のブレス場面、今分かっているボスモンスターバトルの動画や亜人スキーによる、エルフ、ドワーフ好きどものスレを覗き見したがやはりと言うか、まだ発見されてないのに。何故そこまで頑張れる？、首を傾げたくなったスレも多数あった。みんな楽しんでるのがスレからも熱気を感じた。
栗栖が、今感じているのは、異なる世界がゲームの中にあるのではないかと。本当に思えたこと。これならかなり人気になるのも頷けた。
『あなたの名前をどうぞ』
初めてのVRである。ここはやはり自分の名前をまんま、カタカナ読みでクリスにしてみた。
『種族と武器を選んでください。』
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とりあえず髪色を選ぶ。勿論ゲームの中だから髪色は派手に。男はやっぱり真っ赤にしたさ、じゃないと目立たないだろうしな、種族は獣人かな、友人ほどじゃないが、わりとケモナーなほうである。家じゃ妹の愛犬、ラブラドールのラブリンを飼っていて、俺もわりと可愛がっていた。
「よし短めにして、やっぱり右目の下に刀傷は欠かせないな～、ロールはどうするかな？、侍風なら御座るは必須い。でもな………俺様も棄てがたい、まあ～最初のゲームだし、普通にしとこ、武器はやっぱり大剣かな、となると種族は、ライオンか狼、珍しいところで熊も捨てがたい」
色々な種族を見ていって、自分だったらこのゲームでどうしたいかを考えながら、
ログを下にスクロールしていった。
「やっぱり男ならでかくて、豪快な武器がいいな、そうすると」
大剣かな、武器に合わせるならば、やっぱり種族は獣人だな。何せ筋力値が人間、エルフより高く。他の種族より瞬発力、スタミナ値に優れているのが気に入った。やっぱりフィールドを縦横無尽に走り抜け、モンスターを狩るのが醍醐味だと思ったのだ。その中でも髪色が、赤に黒のメッシュが入る赤熊族と言うのが、妙にピッタリハマった。現実では、ひょろい体型の俺だが、小学校四年から五年ほどサッカーをやっていたので、わりと細マッチョ体型だ。残念にはならなかったが、俺はどちらかと言えば母似なのだ、妹もわりと細身である。もしも父親の家系よりだったら、間違いなくゴリマッチョになってたに違いない。
あれで公務員はないな～、とわりと本気で思う今日この頃だ。
『クリス様、楽しいエンドアースの世界をお楽しみ下さい』
