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次の日に、まーるの街で。  作者: まーるの住人
プロローグ
1/39

はじまりの少女 PROLOGUE

ぼく、こーたがその体験をしたのは高校の2年生の秋だったから17歳のときだった。

「はじまりの少女」に関する冒険、といえばいいのかな。

どこから話し始めるといいのか…。とりあえず、聞いてくれるかな。


ぼくは親の求めるままに中学受験をして、中高一貫の進学校に進学した。

だから、ぼくにはその学校に入学したことに何の目的もなかったわけで、高校2年になった時点でも、ぼくは自分がこれから何をしたいのかなんてまったく考えてなかった。

…誰しもそうなのかな? 君はどうだった?


でも、1年以上の先のことというのに大学受験ということがちらつきだすと、ぼくも焦りだした。

というより、周囲がぼくを焦るように仕向けた。親、教師、塾の先生…みんながそうだ。

周りの友だちだって、悪意はないんだろうけど、盛んに夏期講習がどうだの、模試がどうだの、内申がどうだのと言い出す。

ぼくは焦ったし、苛立ちもした。

どうしてみんな大学受験のことばかり話すのさ。そうじゃない道があったっていいじゃない。…でも、ぼくは「そうじゃない道」なんて具体的なことはまったく考えていなかった。

ただ、逃げていたんだね。バカな自分に嫌気がさす。

昔の偉い人は「水は低きに流れる」なんて言ったらしいけど、ぼくはまさにそれだった。


ぼくは変わりたいのだろうか、変わりたくないのだろうか。

自分でもわからない。


時は無常に過ぎて行って、ぼくは秋を迎えた。

夕暮れは日々早まり、いつも赤い。

ぼくは自宅に戻って自室にこもる。父さんも母さんも仕事で遅い。今日もひとりだ。

勉強する気もなれず、机の上に鞄を置くと制服も着替えずにベットの上に体を投げ出した。

そして、目を閉じる。


一眠りして目が覚めたら…ぼくがもっとしっかりした人間になっていればいいのにな。

我ながら情けないことを考えて、目じりに涙が浮かんだ。

「しっかり」ってなんだよ、もっと具体的に考えろよな。

ぼくは自分に突っ込みをいれる。

不意にぼくは強い眠気に襲われた。


あれ? 昨日は夜更かししてないし、そんなに疲れてるわけじゃないんだけどな…。

…でも、いっか。今日一日寝たところで、どうということもないだろ…。


そんなことを考えながら、ぼくはいつしか眠りについていた。

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