表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
最終章 英雄の帰還
66/70

決裂

「なぜだい? 理由を教えてくれないか?」

「理由は二つ。一つは、世界に支配者は二人も必要ない」

「なぜだい? 私と君で、二人いてもいいじゃないか」

「違う。俺一人でいい」

「……え?」

 目を点にして沈黙するクロード。

 ゲオルグが説明を加える。

「俺は神をも従えて、世界を支配するつもりだ。お前と手を組む理由はない」

「神だって? どういうことだい? その内容を、ぜひ聞かせてくれないか?」

 割れたカップをゲオルグが黙って指差した。クロードは視線を落とす。

「……そうだった、残念だよ。じゃあ二つ目の理由は?」

「それはお前が卑怯だからだ。騎士道精神のかけらもない」

「目的のためなら多少の悪事も仕方がないと思ったんだけどね……まあ人それぞれ、ある程度の考えの違いがあって当然かな」

「ある程度、じゃない。お前とは何一つ考えが合わない」

 納得のいった様子で二、三度と頷くクロード。

「まあ、要するに私とは手を組みたくないと、そういう事になるのかな?」

「そうだ」

「本当に?」

「本当だ」

「絶対?」

「絶対だ」

「気が変わることは?」

「ないな」

「私が好きかい?」

「大嫌いだ」

「手は?」

「組まない」

 クロードは嘆息し、肩を落とした。

「残念だ。非常に残念だ。君なら未来の支配者たる私にとって、生涯頼れる唯一の同輩になれるだろうに」

「俺もお前を配下にしたかったが、そうもいかないらしいな」

「君のように優秀な人材を殺すのは実にもったいないが、今だけは私のもったいない精神を心に仕舞うとして――」

 ゲオルグは、クロードが服の下から懐に手を入れたのを見逃さなかった。咄嗟にテーブルの下に屈む。

 直後、一本の小太刀を抜き出したクロードが叫んだ。

「死んでもらおうかっ!」

 蛇のようにうねり、しなる火柱がゲオルグの頭上をかすめる。屈んだ反動で膝を伸ばし、テーブルの下から飛び上がってクロードのあごに拳を叩き込んだ。椅子ごと後ろへ吹き飛ぶクロード。背中を床に付いた瞬間、その腹の上にゲオルグの踵による追撃が決まる。金属板が仕込まれたブーツがめり込み、その痛みにクロードは顔をしかめた。小太刀を振ってその脚を狙ったが、ゲオルグは飛び退いて倒れたテーブルの陰に身を隠す。

 間髪入れず、二発目の火柱がテーブルに直撃した。焼き尽くされ、一瞬にして炭と化す。ボロボロと崩れ落ちた灰の先に、すでに十分な距離を取ったクロードの姿が見えた。

 二本の火柱はなおも燃え盛り、狭い部屋の中をしばらく浮遊すると天井に激しく衝突した。木製の天井はもろくも崩れ、大量の瓦礫が室内に降り注ぐ。

 ゲオルグが崩れた天井の瓦礫を押しのけると、クロードが瓦礫の中から現れた。

「参ったねえ……私の小太刀が盗まれたままでね、力を上手く制御できないんだよ」

「焔の小太刀はお前の手元にあるだろう」

「違うんだよゲオルグ君。焔の小太刀はね、二本で一組の武器なんだ」

 クロードは手の中で小太刀をこね返す。

「この一本だけだと、強大な力を制御できないんだ……こんな風にね!」

「うああっ!」

 避ける間もなく、放たれた火柱がゲオルグの胴体を直撃した。弾き飛ばされ、ソフィーティアの横の壁に叩きつけられる。

 その衝撃で壁の一部が崩れ、ソフィーティアは鎖の束縛から解放された。

「ゲオルグ、大丈夫!? ああ、なんてひどい……」

「う……げほっ! う、うう……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ