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葛藤
早馬とのやり取りを終えたテレーズが、ソフィーティアに書状を渡す。
「ソフィーティア様、ゲオルグの事をどうか頼みます」
テレーズは馬に乗り、大半の兵士達を引き連れて城へと向かっていった。
ソフィーティアはオリンとカールの縄を解かせると、先に帰らせた。残ったゲオルグの縄を解いてやると、自由になったゲオルグは断頭台の上で仰向けに寝転ぶ。
「ゲオルグ、全部許してあげるから、一緒に城へ戻りましょう?」
「……」
「こんな所にいても仕方ないわ。さあ、ほら……」
ソフィーティアはゲオルグの腕を引いたが、ゲオルグは起き上がろうとはしなかった。
「ねえ、ゲオルグ……」
「ソフィーティア、帰ってくれ」
「えっ?」
ゲオルグはソフィーティアの手を払いのける。
「俺は両親を守れなかった。クロードの策略にまんまとはめられ、東ベルンも乗っ取られてしまったんだ……俺は、俺は……」
「……」
ソフィーティアは残っていた配下に帰るよう命じた。自身も馬に乗る。
「ゲオルグ、城で待っているからね」
「……」
最後の馬が西ベルン城へと駆けていく。ゲオルグはただ、上空に広がる雲ひとつない青空を、断頭台の上で眺めるだけだった。




