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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第四章 風来の騎士
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相談

「カールだよ! 鍵は開いてる? 入れてよゲオルグ」

 ゲオルグが扉を思い切り開け、カールの胸ぐらをつかむと部屋の中へ引きずり込んだ。

「こほん……カ、カール君、我々は仲間だ。固い友情で結ばれている。そうだろう?」

「そ、そうだね」

「よし、だったらもう帰ろう。そして寝よう。そう、我々の友情のために」

 ゲオルグが早々に追い出そうとするが、カールは部屋の中を物色し始める。

「ところでさっきの兵士達はどこ? オリンは?」

「うおっ!? な、何故それを知っているんだ!?」

「僕は物見が仕事だよ? そりゃ知ってるさ。大丈夫、内緒にしてあげるから……」

「おお、カール君! それでこそカール君だ!」

 大げさに叫んだところで、隠れていた全員が出て来た。カールを座らせてすべての事情を話すと、合点が行ったのか大きく頷いた。

「……なるほどね。僕にも何か協力させてよ」

「それなら、何か鳴り物のような物は持っていないか?」

「ああ、それならこれが良いよ」

 カールは腰に下げている角笛を差し出した。

「これは敵が来た時や羊を誘導する時なんかに使われるんだ。山で吹いたら響くよ」

 そう言って実演しようとしたカールを、ゲオルグが取り押さえた。

「バ、バカッ! 吹いたら騒ぎになるだろう!」

「あ、そっか。とにかく響くから使いなよ」

 カールも円の中に加わって座る。中央にはこれまで集めた物が置かれた。一陣の槍、鉄の仮面、派手な鎧、羽飾りの付いた兜に煌びやかな盾。そしてカールが角笛を並べた。

「ゲオルグ、これだけあれば装備は十分でしょ? まだ何か必要?」

「これと馬だ……馬が欲しい」

「それなら大丈夫だよ。窓の外を見てごらん」

「本当か!?」

 驚きながらも窓の外へ身を乗り出すと、部屋の真下に豪華な馬具を身に付けた馬とロバがいた。

「おお、俺の愛馬だ! それにパリカールも!」

「馬屋の爺さんに言って、優勝パレード用にって頼んでおいたんだ」

「ありがとう! 本当に助かったぞカール!」

 ゲオルグが固い握手を交わすと、カールも嬉しそうに笑った。

 ニドがピートの頭を指でなでながら尋ねる。

「これでもう準備は完璧だよな?」

「ああ! あとはソフィーティア達にばれなければ完璧だ!」

「そうだな! もしばれたらさすがに今度は処刑されるぜ!」

「……さて、どうしたものか」

 ニドの指が止まった。

「ひょっとしてお前、考えてなかったのか? 東ベルンで起こす盛大な騒ぎを、どうやって東ベルンに敏感なソフィーティア達に隠すんだよ」

「……何か作戦を考えよう」

 全員が座り直した。うつむき、一様に頭を悩ませるも発言する者はいなかった。ひたすらに沈黙が続く。

 痺れを切らせてニドが言った。

「ゲオルグ、もうどうしようもねぇよ」

「くそっ! 誰かが俺の騒ぎを誤魔化してくれれば……!」

 頭を抱えて悩んでいると、廊下からガラガラと何かを引きずる音が聞こえて来た。真っ直ぐに部屋へと接近してくる。

 ゲオルグが冷や汗を流しながらメリッサに命じた。

「メ、メリッサ! 何とかして来い!」

「どど、どうすれば何とかなるのか、全然分かんないんですけど!」

「あれだ! お前が得意なマダライボイボガエルの物真似で追い払うんだ!」

「ええーーーーっ!? じ、自信ないんですけど!」

 扉が開かれ、急場で覚悟を決めたメリッサが飛び跳ねた。

「ゲロゲーロ! ゲロゲーロ!」

「わっ!? な、何だ!?」

 扉の向こうにいたのは、掃除用具を引きずって運ぶジョアンナだった。

 若干動揺するも、メリッサを押し退けて部屋に入る。

「は、入っちゃダメなんですけど!」

 ジョアンナの背中にしがみ付き、両手で目を覆い隠すメリッサ。

「見たらダメなんですけど! 秘密の会議中なんですけど!」

「カエルのくせにゴチャゴチャとうるさいんだよ」

「困るんですけど! ゲロゲーロ!」

「邪魔だ。あたいはゲオルグに用事なんだ」

 メリッサを振り払ってほうきを押し付ける。ゲオルグの姿を見つけると抱き締めた。

「ゲオルグっ! バルガに焼きを入れたそうじゃないか! 大した奴だよ!」

「まあ、成り行きでな」

「おまけにオリンのケツまで拭いてやるなんざ、なかなか出来た出来た男だね!」

「それもまあ、成り行きだった……それより離れてくれ……く、苦しい……」

「ああ、悪かった」

 ジョアンナは襟元を正し、周りで座っている人々を一見する。

「この集まりはなんだい? オリンまで……」

「実はだな……聞いてくれるか?」


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