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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
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馬上の戦い

 慌てふためくロッティーナの腕を、ゲオルグが上からつかむ。

「仕方ない、手伝ってやろう」

 ゲオルグが手綱を引くと、馬はピタリと走るのを止めた。

 どうにもできない状況に、ロッティーナは審判に向かって叫ぶ。

「審判っ! ゲオルグは落馬ではないのかーっ!?」

 すると、審判は笑いながら試合続行の合図を旗で振って示した。気が付けば観客も笑っている。ロッティーナは顔を真っ赤に染めて叫んだ。

「お、おのれーっ!」

「二人乗りもなかなか楽しいものだな。お前とは仲良くなれそうだ」

「ふざけるな! ええい、離れろ! くっついてくるな!」

 ゲオルグはわざとロッティーナとの距離を詰める。

「落馬したら大変だ。いやあ、危ない危ない」

「さっさと落ちて負けろ! この試合は私が勝つのだ!」

「そういえば、まだ試合中だったな。では反撃に移ろうか」

 ゲオルグは手綱から手を外し、ロッティーナの小手を外し始めた。するする紐を引くと、バラの飾りが付いた小手が外された。

「なかなか手の込んだ装飾じゃないか。良い小手だ」

「か、勝手に外すな馬鹿者!」

「試合なんだ、悪く思うな……それっ!」

 ゲオルグは客席に向かって放り投げる。審判が旗を揚げた。

「次は……そうだな、兜だな」

 ロッティーナの兜を持ち上げると、リボンで縛られた長い黒髪が現れる。

「武器の手入れよりも、髪の手入れに手間がかかっていそうだな」

「兜を返せっ!」

「よし、俺の帽子と交換してやろう」

 ゲオルグが兜を被り、ロッティーナに狐の帽子を被せて尻尾を高速で何度も引いた。その度に前後へピコピコと動く耳を見て、観客が盛大に笑う。ロッティーナがさらに激怒した。

「や、やめろーっ!」

「じゃあ返してくれ」

 兜を客席に投げ込むと、帽子を被りなおした。

「これでお前は武器に盾、小手と兜がなくなった。後はその鎧を取れば、俺の勝ちか?」

 ゲオルグは鎧を外しに掛かると、ロッティーナが大きく動揺し出す。

「ま、待て! 鎧だけはやめてくれ!」

「そう言われても、もう鎧しかないぞ」

「ダメだ、頼む!」


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