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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
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騎士道精神

 パリカールの頭を撫で回しながら控え室に戻ると、兵士達が整列して並んでいた。不思議に思ってパリカールから降りると、唐突に真横から平手打ちをされる。

「うあっ!?」

 涙をこらえながら振り向くと、そこにはいきり立つソフィーティアが立っていた。

「何で勝手に試合に出てるのよ!」

「べ、別に出たっていいだろう……」

「ダメよーーっ! 馬鹿なんじゃないの!?」

 ソフィーティアがゲオルグの頭をぽかぽかと殴り付けながら言う。

「ゲオルグを憎んでいたり、殺す気でいる相手がうじゃうじゃいるのよ!?」

「か、勝てば問題ないだろう……」

「鎧も着てないし! 訳分かんないおもちゃの帽子しか被ってないし!」

「これしかなかったんだ。それに、試合のルール上は問題ない」

「もう! ああ言えばこう言う!」

 ソフィーティアはゲオルグから剣を奪い取った。

「私がどれだけ心配しているか、全然わかっていないようね! もう参加は禁止!」

「あっ、剣を返せ! 騎士としての誇りを傷付けたバルガを倒すまで、俺は戦うんだ!」

「死ぬかもしれないっていうのに、何が誇りよ!」

 ソフィーティアは剣を床に叩きつけたが、ゲオルグは続けた。

「騎士が誇りを失ったら、それは騎士として死んだも同然だ! 命を懸けてでも誇りは取り戻さなければならないんだ! それが俺の騎士道精神なんだ!」

 剣を踏みつけるソフィーティア。

「そんなの理解できないわ! 騎士なんて大嫌いよ!」

「その大嫌いな騎士に守られているのがこの国、この城、そしてお前自身だろうが!」

 周りで見ていた兵士達が頷いたが、ソフィーティアはその全員を鋭く睨みつける。

「だから嫌いなのよ! まるで、力のない私が悪いみたいじゃない!」

「今はそういう世の中なんだ! だがそれも――」

「やめてよ! それ以上聞きたくないわ!」

「子供じみた事を言うなっ! もういい、俺はもう行く!」

 ゲオルグはソフィーティアの足を払い退けて剣を手にし、新しい槍と盾を携えると闘技場へ続く通朗へ入っていった。尻餅を付いたソフィーティアが叫ぶ。

「ゲオルグの馬鹿ぁーーーっ!」

 ソフィーティアが叫んで部屋から飛び出そうとすると、扉が外から開かれた。開けたのは大きなトロフィーを持ったカールだった。

「ねえ皆、ほら見て見て! 僕のチームがね、弓の競技で優勝したんだよ! このトロフィーだってすごいでしょ! 金ピカだよ! うわぁー、かっこいい!」

 ひとしきり自慢した後、カールは目の前で自分を睨むソフィーティアの存在に気が付く。

「あっ、ソフィーティア様! カールが優勝しましたよ! 立派な騎士として――」

 トロフィーを手渡そうとすると、ソフィーティアは問答無用でカールを突き飛ばして出て行った。壁に顔面から叩きつけられたカールの手から、トロフィーが落ちて壊れる。

「ああーーっ!? 僕のトロフィーが! って、あれ? どうしてソフィーティア様は僕を突き飛ばしたんだ? うーん……?」

 周りの視線を察し、カールは理解した。

「あ、ゲオルグが怒らせたんでしょ? ダメだなぁ……彼はどこに?」


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