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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
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準備完了

「そろそろ行かないと間に合わなくなるな」

「おい、騎馬試合なのに鎧はいいんかい?」

「そんな重い物を着たら、馬より小さいロバの体が可哀想だ。このまま行く」

「むむー、お前さんはなかなか見所があるな。ちょっと待ってな」

 老人はキツネの皮で出来た帽子をゲオルグの頭に被せた。耳と尻尾までついている。

「その銀ギツネの帽子をやるでな。闘技場は南西だ、頑張れ」

「感謝する。俺の馬を頼んだぞ。それでは!」

 ゲオルグはパリカールを走らせた。さすがに馬よりも小いが、細く締まった無駄のない体である。見事に一定のリズムを刻ん城内を躍動していると、あっという間に南西の闘技場が見えて来た。中からは大勢の歓声が聞こえてくる。

「すでに競技が始まってしまったか」

 パリカールを急がせて入り口に辿り着くと、胸当てを身に着けたカールが馬に乗って待っていた。

「ゲオルグ! 君の番がそろそろ来てしまうよ!」

「なら間に合ったという事か? 良かった」

 カールはパリカールの横に連れ添って馬を走らせる。

「えっ!? ロバなんかじゃ勝てないよ! 鎧だって着ていないし、危ないよ!」

「俺の相棒を馬鹿にしないでくれ。それに鎧なんて邪魔だ」

「無茶だよ! ああ、でも時間がない!」

 カールはゲオルグを選手の控え室まで案内した。多くの騎士でごった返す部屋の中には、剣や斧槍など多くの武器が並んでいる。

「いいかい? ここにある武器の使用は自由だ」

 ゲオルグは手頃な長さの槍、剣、そして盾を携えた。

「これでいい」

「うん。試合のルールは簡単。相手の武器や盾、兜なんかを壊したり使えなくしたらそれぞれ一点ずつ貰えるんだ。制限時間内に点数の多いほうが勝ち」

「落馬したらどうなる?」

「無条件で敗北だよ。それとすべての装備がなくなったり降参しても敗北。わかった?」

 ゲオルグはキツネの帽子をしっかりと被りなおした。

「大体わかった。つまり帽子も大事な一点か。あの馬屋の老人に感謝だな」

「そんな帽子だけで……本当に大丈夫なの?」

 ゲオルグは銀ギツネの帽子の尻尾を引くと、耳が前後に揺れた。

「おっ、なかなかかわいい仕組みだな」

 呆れたカールがため息をついていると、通路から一人の兵士がやって来た。

「ゲオルグ・オートマイヤーはいるか? 試合の順番が来たぞ」

「おう、俺だ! 行ってくる」


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