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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
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馬入手

「まずいな、余っている馬はいないのか……?」

 馬屋の中をうろうろしていたその時、聞き覚えのある馬のいななきを耳にした。

「シェルバ! おおーっ、無事だったかぁ!」

 一頭残った黒毛のその馬は、ゲオルグがこの城まで乗ってきた愛馬だった。首を上下左右へ嬉しそうに振るので、ゲオルグは腹を優しくなでる。

「お前がいれば百人力だ! 少し待ってろ!」

 手綱と鞍を探して周囲を回っていると、一人の老人がいることに気が付いた。

「ご老人、手綱と鞍を知らないか?」

「お前さん、ひょっとしてゲオルグっちゅう者かね?」

「そうだ。あの黒毛の馬に乗って、騎馬試合に出たいんだ」

 しかし、老人は首を横に振る。

「残念だけどなぁ、言いつけであの馬は出せんでな。でも、代わりの馬はいるでな」

 ゲオルグは別の馬を紹介されたが、年老いた馬だったので落胆した。

「シェルバに乗れないのは仕方ないとしてもだ、こんなくたびれた馬ではダメだ!」

「でも、他に出せる馬はもうおらんでなぁ……」

「困る! もっと若くて元気が良くて、それでいて尻の美しい奴でなければ!」

 老人は頭をかきながら答える。

「そういうロバなら、おるでな」

「ロバ? 何でもいい。見せてくれ」

 馬屋の更に奥の奥まで連れられて行くと、頑丈な扉があった。老人がそれを開けると、一頭のロバが座っている。ゲオルグが屈んで目線を合わせると、鋭く睨み返して来た。

「おお……ロバにしては勿体ないほどの気迫があるな……」

「そのパリカールはな、他の馬と一緒にするとみーんな蹴っ飛ばしてしまうでな」

「馬の中に、たった一頭だけいるロバか。まさに俺と似た境遇だな」

 パリカールはゆっくりとゲオルグに近付いてきた。老人が慌てて棒を構える。

「気をつけろぉ! 蹴り殺す気かもしれんでな!」

「そんな事はしない。なあ、パリカール?」

 言葉通り、パリカールは穏やかな目で頭を垂れた。

「なかなか物分りのいい奴だ。尻も美しい」

「ほえー、驚いた。わしにすら懐かんと言うに……」

「同じはぐれ者同士だ。気に入った。こいつを借りるぞ」

 手綱と鞍を付けると、ゲオルグはパリカールにひらりと跨る。


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