表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
30/70

敗走

「ノックぐらいしてよ!」

「いえ、開いておりました。声も外まで聞こえていたものですから……あっ、ゲオルグ!」

 テレーズは椅子でぐったりしているゲオルグを抱き起こした。

「かわいそうに……」

 縄を解くテレーズの手を、ソフィーティアが上から叩いて制した。

「ちょっと、私の配下に何で勝手な事するわけ?」

「配下を縄で縛るのは、主君のすべき事ではないと思いますが」

「違うわ! 昨日の話をしてるのよ!」

 テレーズは扇子で口元を隠した。

「ただ、紅茶を出して話をしていただけですが……?」

「とてもそういう風には見えなかったわよ! まったく信じらんないわ!」

 テレーズはおろおろしているゲオルグに視線を移した。

「ゲオルグ、私の配下になりませんか?」

「お、俺が? テレーズの?」

 その視線の先にソフィーティアが割り込んだ。

「それがいけないのよ! テレーズはすぐそうやって人の物を取ろうとする!」

「ですが、ゴミムシとしか評価されない環境では彼も満足に動けません……」

「あ、あれは言葉のあやよ! 本心じゃないんだからね!」

 ソフィーティアはくるりと向き直り、困惑しているゲオルグに尋ねる。

「ねえ、ゲオルグはどっちの配下が良いの?」

「お、俺に決定権はないが、信用がないのは困る……」

 背後からテレーズが勝ち誇ったように笑い声をもらした。

「決まりのようですわね」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 待ちなさいってば!」

 若干の沈黙の後、ソフィーティアは蚊の鳴くような小さな声でゲオルグに言った。

「ちょっとくらいはゲオルグの事、し、信用してあげてもいいわよ……」

「そ、それでもちょっとだけなのか……」

 テレーズが素早くゲオルグの縄を解くと、椅子から立たせた。

「今日からよろしく、ゲオルグ」

「ストーーーーーップ!」

 ソフィーティアが叫びながらゲオルグを思い切り突き飛ばし、テレーズから遠ざけた。

「テレーズだって処刑するとか言ってたし、信用できていないでしょ!」

「あれは私の判断の誤りでした……今では心から信用しています」

 ソフィーティアは歯ぎしりをして答える。

「わかったわ! 心からゲオルグを信用するわ! これでいいんでしょ!? 文句ある!?」

「山のようにあります」

「何ですってーーーーーーっ!?」

 ソフィーティアがテレーズに掴みかかると、テレーズもそれに応戦し始めた。ゲオルグはもみくちゃになる彼女らに恐る恐る近付く。

「……なあ、結局ソフィーティアは俺を信用してくれるって事でいいのか?」

「うっさいわね! 邪魔よっ!」

 気迫に気圧され、ゲオルグは逃げるように部屋を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ