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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第三章 信用
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暗躍

 真夜中の西ベルン城。黒いローブを纏った影は再び現れた。誰にも気付かれず、そして誰にも知られずにバルガの部屋へと辿り着く。

「クロードです」

 扉が静かに開かれた。バルガが中から伺い見るように辺りの様子を確認すると、素早くクロードを招き入れた。

「クロード、わしはお前を呼んだ覚えはないぞ」

「私の方からバルガに話があるのです……」

「……座れ」

 バルガは乱暴に椅子へと腰掛ける。ロウソクの炎は揺らめき、クロードの黒い瞳を照らした。

「さて、ゲオルグの件はどうなっているのです?」

 その名前を聞いてバルガは苛立つ。舌打ちをし、握り拳でテーブルを叩いた。

「またそれか! 奴は必ず始末すると言っているだろうが!」

「ですから、それを早く行ってもらいたいのですが……?」

 クロードは眉を持ち上げ、バルガに疑いの視線を送る。

「このままでは私達の間の信頼関係にひびが入りそうです。それはできれば避けたい……」

「わ、わしを疑うのか!?」

「結果を出してもらわないことには……謝礼金も払えません」

 バルガは淡々と、そして落ち着いた口調で話した。

「日が昇ってから、公の場で息の根を止める予定だ。そのための準備もしてある」

「……わかりました。信じましょう」

「用事はそれだけか? 済んだのならとっとと帰れ」

 あごで扉を指してバルガは帰るように促すが、クロードは深く座りなおした。

「いえ、実はもう一つ……」

 クロードはバルガの瞳を覗きこむ。

「近頃、見慣れないような赤い小太刀を見かけてはいませんか?」

「そんなもの、武器庫に山ほど……いや、待て」

 額に指を当てながら、バルガは記憶を辿る。

「そういえば、あの小娘がいつの間にか持ち歩くようになっていたな……」

 クロードの目つきが鋭くなった。

「小娘、というとここの城主ですか。それは間違いのない事実ですか?」

「うむ。大事そうに懐へ仕舞い込んでいるようだが……それがどうしたのだ?」

「いえ……これで失礼します……」

 クロードはそれだけを言うと、足早に部屋から立ち去った。

「気味の悪い奴め……まあいい。ゲオルグさえ殺せば大金が手に入るのだ」

 バルガはロウソクの炎を吹き消した。


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