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新米城主、ノリと勢いで。  作者: 大紅三
第二章 ひとときの脱出
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才能ある動物たち

 メルメトの山に向かって日が段々と傾いていく。これといった収穫もなかったので、ゲオルグは十字路へと引き返すと、オレンジ頭のニドが声を掛けてきた。

「おーい! こっちだこっち。何か情報はあったか?」

「いや、何もない。それよりそろそろ戻らないと、城の連中に見つかってしまう」

「でもよ、あのお嬢様が戻ってこないとどうにもならねえんだな、これが」

 二人は十字路の周辺で時間を潰したが、ソフィーティアは一向に現れない。それどころか人間すら通りかからなかった。

 時間だけが過ぎていく。痺れを切らしたニドが、肩の上に乗ったピートを地面に下ろす。

「しょうがねえ……ピートに探してもらうか」

「そのリスにそんな真似ができるのか?」

「天下のニド様の相棒だぜ? まあ見ててくれよ」

 ピートはしっぽを振りながら、その場でくるくると回り始めた。やがて動きを止めると、しっぽの指す方角に向かって走り始める。

 すかさずニドが追いかけた。

「ゲオルグ、あっちだ」

「よし、行こう」

 二人と一匹はあっという間に商店街を抜け、人通りの少ない路地裏へ出た。ピートは跳ねるように突き進んでいくと、一軒の店の前で止まった。鼻をひくつかせて匂いを確認し、ゆっくりと中へ入る。

 ニドは外から中の様子を伺い見た。

「ここにいるみてぇだぞ? へへ、珍しい鳥が鳴いてら」

 ゲオルグは、この鳥達の正体を知っていた。

「ニド、気をつけろ。こいつらは人を惑わせる催眠鳥だ」

 ゲオルグは店の中へと入っていく。樽に腰かけていた男がゲオルグに気が付いて立ち上がる。

「へへ、兄ちゃん、わ、悪いが今日はもう閉店だぜ……?」

 ゲオルグは間髪入れずその顔に拳を叩き込んだ。

「うぎゃあっ!?」

「宿屋で殴ってやったのに、まだ殴られたりないようだな」

「く、くそ! 気付いていやがったのか!」

 男はカウンターを飛び越えて逃げる。出口に差し掛かったとき、商品棚の陰に隠れていたニドが足を払って転倒させた。そのまま手近にあった縄で縛り上げる。

「どこにオイラ達の連れを捕まえてんだ? 早いとこ言いな」

「し、知らねぇなあ!」

 しらを切る男に、ゲオルグは催眠鳥をかごから出して鳴かせた。

「どーこに隠した? どーこに隠した?」

 抵抗していた男だが、催眠にかけられ口を開く。

「うーん、店の奥の棚の裏だ……鍵はこれだ……」

 ゲオルグが薄暗い店の奥へ目を凝らしながら入っていくと、棚の裏からカリカリと木を引っかくような音が聞こえた。棚をどかすと、ピートが裏に隠された扉の取っ手にかじりついている。

 程なくして扉が開く。中にはしゃがみこんでうつむく人影があった。

「おい、ソフィーティアか?」

 呼びかけると、人影は外へと飛び出して来た。

「私の配下なんだから、もっと早く助けに来なさいよね! んもう、こ、怖かったんだから!」

「す、すまなかった……」

 勢いに気おされてとりあえず謝る。店の中に戻ると、ニドが男を椅子に縛り付けているところだった。

「とっ捕まえたけど、どうするよ?」

 ゲオルグが考えているうちに、ソフィーティアがペンペンと男の顔に平手打ちを始めた。

「こいつはねえ、私を東ベルンに売り飛ばすとか言ってたのよ!」

「た、助けてくれぇ!」

 ゲオルグが彼女の手を止めさせて質問する。

「東ベルンで起こっている異変について、知っていることはないか?」

「あ、あるある! 話すから助けてくれぇ!」


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