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気付かれてる?

「たまにはどこか旅行でも行くか?」


部屋で眠ると言っていた旦那は、そんな事言っておきながら、なかなか二階の自分の部屋には上がらず、冷蔵庫を開けて何か探しているようだった。


「は?何言ってるの?」


聞き間違いかと思った。

旦那の口から旅行など、しかも私を誘っての旅行などと言う筈がないからだ。


出不精の旦那は自宅から出る事など無く、そのせいで新婚旅行にも行ってない。

まぁ、何に対しても感動の薄い旦那と出かけても面白い事なんて一つもないだろうから結果的に行かなくて良かったと思っている。


「いや、だから、たまには二人で旅行でも行かないか?」


ますますおかしい。

陸も海美も連れていかず二人だけの旅行なんて…。


冷蔵庫から出してきた缶ビールを開けて、一気に飲み干して言った。


「考えてみたらオレ達旅行なんてした事無かったろう?たまにはいいんじゃないかと…」


やはり、どう考えてもおかしい。

平日に急に早く帰ってきたり、謝った事の無い旦那が『悪い』と言ったり、旅行に誘ってきたり…。


まさか…。


一抹の不安を感じてしまった。


まだ僅かな不安だが、もし私の考えている事が確信に変わってしまったら…。


--------私が殺意を持っている事にだんなは気付いてる?


もし気付かれたたとしたらそれは厄介な事だ。


大学出の旦那の方が私より数段頭がキレる。

私の浅知恵など取るに足りないやり方じゃ勝ち目が無い。


ここまで考えて、更に不安な考えが頭に浮かぶ。


-------私の殺意が気付かれただけならまだしも、私の殺意を利用して逆に旦那が私を殺そうとしていたら?


それは最悪の結末になってしまう。


だいぶ前から考えていた私の殺害計画が全て無駄になってしまうほど、あっさりとしたやり方で私が殺されてしまうかもしれない。


殺られる前に殺らねば!


「旅行?珍しいわね、あなたがそんな事言うなんて…」


「たまにはいいだろう?」


「そうね。いいわね、どこがいいかしら?今なら京都とか素敵じゃないかしら?」


「京都か。悪くないな、だけど…」


そう言ったものの。

伝統溢れるキレイな町並みの京都でこんなちっぽけな人間の殺害なんてしたくない。

そうだ、こんな男のために京都を汚したくない。

どうせなら田舎の民宿とかの方が…。

温泉とか行って、お酒たくさん飲ませてそのまま外に連れ出し、自殺に見せかけて崖から落としてしまえば…?

お酒たくさん飲めば足ぐらい踏み外すでしょう!

うん、いいのではないか!


「京都もいいけど温泉なんてどうだ?」


へ?

私が進めようとしていた温泉旅行の話を旦那に先に提案されてしまった。


やっぱり、こいつ私の殺意に気付いてる…?




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