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新学期初日(1)







御琴!!なぜ式神を持とうとしないのだ!!

そこまで実力が有りながら何故?

・・・式を持たないというのなら明日から九条御琴と名乗れ

そして二度とこの○○○の名を名乗るんじゃない!!!




午前六時三十八分、幼い時の事を夢で見ていた俺は眩しい光と腹に圧迫感を覚え起きた。

自分を起こした人間はいない。いるのは・・・


「ご主人!!起きるの時間ですニャッ!!!」


そこにいたのは、朱色と白を基調とした着物の少女が笑顔で俺に跨っていた。綺麗な亜麻色の髪には人間には顔の横に付いているはずの耳が頭に付いて後ろの方でゆらゆらと尻尾がゆれている。根元から二つに別れているのが一番の特徴だで少女はいわゆる「猫又」という妖怪の一種だ。


「美柑・・・重いから退いてくれ」


「む~!ご主人はれでぃに対して失礼ニャ!!」


美柑と言われた猫又の少女は文句を言い退こうとしない。妖怪の中では150歳と若い美柑だが人間だとちょうど15歳位だ。猫の習性だろうか俺の体に自分の体を摺り寄せる。まるで自分の物だと言わんばかりに密着してくる。こうなると当分離すことはないので満足するまで待つことにした。

20分後、美柑は満足した様子で俺の部屋からでていき多分作り途中の朝食を作りに行った。部屋に残された俺は学校に行く仕度をし出来たての朝食を食べに居間に向かった。



「ご主人は今日からこうこうにねんせいニャ?」


「そうだけどよく覚えてたな。俺は仕度してる時に気づいたのに」


「学校からのお便りに書いてあったニャ!」


「美柑って本とかのあとがきとかまで読むタイプだろ」


他愛もない話をしながら朝食を食べ終え学校に向かうため玄関に行く。靴を履く前にあることを思い出し急いで二階の自分の部屋の隣の部屋に入る。部屋の隅に行き仏壇の前に座り手を合わせる。


「行ってきます。源一さん、巴さん」


仏壇に飾ってある老夫婦の写真に微笑み再び学校へ行くために玄関に向かうのだった。靴を履き玄関にある鏡で身だしなみを確認する。確認を終え洗い物をしている実柑に聞こえるように「行ってきます」と言い扉を引く背中から「行ってらっしゃいニャ!」と顔に泡を付けながら見送りにきてくれた。

そんな美柑に手を振り家を後にした。


家から歩いて約15分の学校に着くと中庭の方が騒がしい。周りの生徒の話し声でどうやら中庭で新しいクラスの発表がされているようだ。中庭まで行くと樹齢1000年の桜の樹が聳え立っていた。満開に咲きその下に掲示板が設置されている。自分のクラスを確認するため掲示板まで行き二年生のところを見ていると突然後ろからのびた手に目を塞がれた。


「だ~れだ~?」


「・・・久遠か?」


「九条くんよく私だって分かったね!」


「俺にこんな事すんのは久遠と峻平だけだからな」


久遠と呼んだ女子生徒は手を離し俺の隣に並んで来た。そのまま俺の手をとり中庭を出て行く。有無を言わせず階段を上がり三階の教室までいく。連れてかれてる間に自分のクラスが久遠と木崎と同じ二年四組と分かった。久遠、フルネームは久遠静香で肩まである髪が内側にカールしていて身長は162cmで体型はすれ違う男性なら二度見三度見は当たり前のボンキュッボンである。

ガラガラと教室に入ると後ろの方で話していた一人が俺達のとこへやって来た。


「静香!御琴!今年もよろしくなー!!」


「しゅんちゃん朝から騒がしいよ~」


「確かに峻平はもっと落ち着いた方がいいな」


「二人とも酷くない!?」


話しかけてきた男子生徒。木崎峻平、身長180cmと大柄な体格でパッと見威圧感のある雰囲気だが目が垂れ目なおかげで逆に穏やか印象になっている。ちなみに久遠静香とは幼馴染で恋人どうしだ。

付き合いはじめたのは高校一年の夏休みで三人で夏祭りに行ったとき久遠から花火が上がった時に峻平と二人きりにして欲しいと頼まれた。その後は一人で花火を見るのもアレなので家に帰り美柑と二人で見た。置いて行かれた恨みか家に帰ったら玄関はもちろんすべての窓が閉められていた。

仕方がないので買ってきたお土産を窓から見ている美柑にチラ付かせ玄関を開けてもらった。

花火が打ち終わり自分の部屋で夏休みの課題を片付けていると着信音が鳴り相手の名前が表示される。

表示されたのは久遠ではなく峻平だった。


「もしもーし、御琴?」


「ああ、どうした。なんかようか?」


「お前途中で帰ったろ?」


「ごめん、気分が悪くなったから久遠に言って帰ったんだ」


「マジか、大丈夫かよ?」


「俺の事は置いといて、何か用があって電話したんだろ?」


「ああ、実はな・・・」


十中八九告白のことだろう。峻平の口調がいつになく真剣だ。というか告白が成功したなら久遠の方から電話があるはずだが・・・

最悪振られたのだろうか。だが峻平の次の言葉を聞いて心配していた自分が馬鹿馬鹿しく感じた。


「俺、静香と付き合うことになった」


その日から毎日峻平と久遠の惚気話を聞くことになるとは思わなかった。

ガラガラと担任の関千恵子先生だ。今年で28歳になるが独身で彼氏がいたことがない。それは・・・


「ほら~席に着け餓鬼ども!」


このように口調が女性とは思えないほど荒い。というか見た目もほとんど男性としかみえnブンッッ!!!

顔の横をチョークが飛んできた。飛んできた方を見ると千恵子先生が般若面の様な顔をしていた。よし、失礼な事を考える前に席に着こう。


俺の席は窓際の一番後ろで前に久遠、その前に一つ空席があり峻平がいる。席に座ると新学期特有の長い話があると思ったが流石千恵子先生だ。開始十秒で指示を俺に丸投げして寝てしまった。昨日から一睡もしていないらしく理由を聞いたら今度は拳が飛んできた。去年からそうだがこの人は俺に対して暴力的だ。


「餓鬼ども~今からあたしの代わりに九条が進行してくれるから。九条あと頼んだ」


「はい・・・じゃあ今から自己紹介をしてもらいます。出席番号順に言ってください」





















ここまで読んでくれてありがとうございます。

初投稿作品なんで温かく見守ってもらえたら幸いです。

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