味
こぼしたため息は秋の寒空に溶ける
滴り出る声もじゅうじゅうと音を立てるだけでむなしい
もうすぐ喰われる
腹の中で眠るきみは今日こそぼくを許してくれるだろうか
きみの右目が街灯の死臭を喜んで貪っていたころ
ひだりの心臓では
陰気な蟻が居心地悪く丸まりながら
きみの左目を反射していた
鈍く広がるそれは
きみの左肩を殴打し 喰い散らかしたプライドの向こうを覗きながら
右手の中指に溶け込んでいった
波間に漂うきみは
ぼくのともだち
ため息を拾ってよ
煮るなり焼くなり好きにしていいからさ