第3話 能力の発覚
歩き始めて2時間は経っただろうか相変わらず街は見えない、それにさっきからミーナのことをチラチラと見てみるが全く疲れていない様子だむしろ元気なぐらいだった。
「なんでそんなに元気なんだ?俺は結構疲れてきたんだが。」
「私ですか?私はさっきから慎也さんにバレないように飛んでいましたから」
「お前なぁ…」
呆れて言葉も出なかった、そんな感じでのやり取りを繰り返しているうちに街が見えてきた。
「な、想像していた街よりも遥かにでかいな…」
「ここはエストレア最大級の都ですからね。名前は帝都グランガイアって言うんです。」
元いた世界とはまた違った何か別の凄さがあった、言い表せない程の凄さ、これぞまさにファンタジーの世界だった。
「ここが俺の冒険の始まりの場所か…」
「じゃあまずはギルドに行きますよー。そこでとりあえずギルド登録とパーティ登録、職業登録に固有能力登録をしましょう」
「お、そう来たかなら早く行こうぜ。自分の能力が知りたいしな。」
ここの世界に来て一番の楽しみは自分の能力だった。都に来るまで何回も考えた……火を操る?瞬間移動?どの能力であっても嬉しかった。
ギルドまでの道中元いた世界にはない別の賑やかさに感動した、ギルドへたどり着き中へ入ると様々な冒険者で賑わっていた。
「すごい賑わいだな」
「私はギルドとパーティ登録してきますんで慎也さんは職業と固有能力の登録お願いします」
そう言うとミーナは登録窓口へと歩いていった。
早く能力が知りたかった為固有能力の登録へと行った。
「固有能力ってここで良いんですか?」
「はいこの水晶の上に手をかざして貰えば能力が出ますので」
そう言い受付の人は綺麗な水晶玉を慎也の目の前に出す、そこに手をかざすと眩い光を放ちその後声が聞こえた。
「あなたの能力名は…受け継がれし力ですね」
さっきまで賑やかだったギルドが急に静まり返った。能力名を聞いただけではなんの能力か分からなかった。
「なんですか?その受け継がれし力とか言うのは」
受付の人は声を震わせて言った。
「そ、その能力は昔魔王を討伐した勇者様が次の代の勇者にと遺した能力でそれを受け継いだ新たな代の勇者がまた次の代にと残し続けてきたまさに伝説の能力なのです…」
能力の凄さに強い衝撃を受け、言葉を失った。
しばらく無言の時間が続いた後ギルドにいた1人の女性が言葉を発した。
「だがまだ今の代の勇者は生きているはずだ!なぜ死んでもいないのにその能力がそいつにでる!」
女性がその言葉を発した瞬間さっきまで静まり返っていたギルドがざわついた。
「そんな事言われても俺には分からんよ能力についてもその勇者についてもな。」
何故かギルド内は俺が悪者見たいな雰囲気になっていた。
「ちょ慎也さん何やってやがるんですか!とりあえず今はギルドから出ましょう!」
そうミーナは言い転移魔法を唱えた。
「しっかり捕まっていやがれです!テレポート!」
そう唱えた瞬間光に包まれ気がつくと始めにいた草原にいた、2時間以上かかって着いた都から一瞬で元いた場所に一瞬で行ける転移魔法の偉大さに感動していた。
感傷に浸っていた時重要な事を思い出した。
「そうだ!皆受け継がれし力?って言うのを聞いた瞬間急に顔色が変わったんだがどんな能力なんだ?」
あの時のギルド内の雰囲気はとてもじゃないが居れたものではなかった。
「受け継がれし力はとても凄い能力なんですよ。
勇者は魔王が誕生した時からずっと居るからえーと15人ぐらいは居ましたね。この能力を簡単に説明しますと代を重ねれば重ねるほど強くなる能力なんです」
結構ざっくりとした説明だったが要点をまとめると相当強い能力なことはわかった。
「ならなんで皆あんなに怒っていたんだ?」
「まだ今の代の勇者は生きていて今は魔王城に居るだけど君が現れたそれはつまり勇者の死を意味していると言う訳」
皆の怒っていた理由がやっと分かった。
この世界の希望、すなわち勇者が魔王に敗れた。
それは最悪の未来を指していた。
「そう言う事か…と言うことはなんだ?この能力を持った者は強制的に魔王退治に行かないと行けないのか?」
少しファンタジーらしくなってきたことに喜びを感じていた。
「そうですね、それがその能力所持者の運命ですから。」
「そうかなら仕方ないな……ってなるか!!」
魔王と言えばそれはもう危険な存在の筈、向こうで1回死んでいるのにこっちでも死ぬなんぞ真っ平御免だった。
「いかないつもりですか!」
「当たり前じゃねぇか!俺は死にたくねえーんだよ!」
この異世界でハーレムを築いて子供は野球チームを作れるだけ欲しい……そんな未来設計図を経った今描いていた矢先魔王などどふざけたやからが出てきておってからに、全て台無しだった。
「死にたくないって!勇者の宿命に逆らう気ですか!!」
「宿命って……」
正直能力強いだけで自分の能力値はそんな高くない筈だろうし負ける気しかしなかった、わざわざ危ない橋を渡らずとも平和に暮らしたい……このミーナって子を置いていけば万事解決なのだろうが何故かそれは出来なかった。
「それじゃあ私1人でも行くですよ?」
彼女が怖がっているのはすぐに分かった、『行くですよ』一体どこの言葉なのか、笑いが溢れてしまった。
「な!何笑ってやがるんですか!」
「お前行くですよってなんだよ!」
「そ、それは噛んだだけですよ!!」
顔を真っ赤にして言うミーナを見て思った、こんなやつ一人に魔王討伐をさせるのは危ない、せめて仲間が集まるまで一緒に居てやろうと。
「しゃーなしだぞ、俺も行ってやるよ魔王討伐」
「本当ですか?!」
「本当だよ」
「これで私も晴れて勇者のお供です!やったー!」
子供の様に無邪気に喜ぶミーナ、起伏の激しい奴だった。
「そうと決まれば街までダッシュです!」
「はぁ?!馬鹿だろお前!あそこまで何キロあると思ってんだよ!」
紙に書いてあった通りに行くと50km、ましてや転移魔法があるのにも関わらず走るのは馬鹿極まりなかった。
「うるせぇです!それを人は甘えと言うんです!」
ふわふわと空を飛びながら言う彼女の言葉はまるで説得力がなかった。
能力の説明
能力名 受け継がれし力
受け継がれし力とは昔精霊を使い戦う勇者が居たとしたらその精霊を使う力が引き継がれ、また別に魔法を得意とする勇者がいたならばそれも引き継がれと言うふうに代を重ねれば重ねるほど強くなっていく能力。