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カップルの日常〜お風呂編〜

作者: 03

「お湯入れてきてー」

「うんー」



と、お願いされたのでお風呂へ向かう。




風呂場に入り、湯船に栓をする。

お湯と水の蛇口を捻り、絶妙な温度設定にする。




「あつっ」






全然絶妙になっていなかった。

熱すぎだろ、とやり場のないちょっとした苛立ちを噛み締める。



水の方の蛇口を捻る。




うん、こんなもんだろう。


滞りのないスムーズな温度調整を成し遂げたので、彼女がいる部屋に戻る。




「ありがと」



感謝の言葉をかけられる。



感謝されるほどの事じゃないと思うが、感謝されるのは好きなので、素直に受け取っておこうじゃないか。






料理や洗濯をしてもらってるから、お湯入れ程度じゃ十分お釣りがくると思ってるけどね。









テレビ見ながら話したりしてお湯が溜まるのを待つ。

話に夢中になっていると、



「もう溜まったんじゃない?」

「うん、見てくる」





そんなに時間経ってないし、まだ半分くらいだろって思いつつ、風呂場に向かう。




すると、なんと9割程度入っていた。



おいおい、俺はタイムスリップでもしたのか?なんて思う。

急いで蛇口を閉め、湯船の水温を確認する。




「こんなもんだな」

と呟く。



ちょっと熱めが好きな彼女用の温度にした。







「もう入れるよ」

「はーい」




なんて言いながらも動く気配がない。

そんな彼女の横に座った。








すると、彼女が突然抱きついてきた。





まるで1ヶ月ぶりに会う遠距離恋愛中のカップルかのように。



離れていたの1分程度だぜ?

それでも寂しかったのだろう。


そんなに寂しいなら一緒に来ればよかったじゃんという言葉を飲み込み、彼女を優しく包み込む。








会話なんていらない、この感触で彼女の想いが伝わってくる、とさえ思う。








「お風呂入る?」

「入ろうか」








と、今度は一緒に風呂場へ向かう。




風呂場へは先に俺が入り、後に彼女が入ってくる。




いつものように頭を洗い、お互いの届かない背中を洗い合う。



桶は1つしかないので、交互に使い合う。

椅子も1つしかない。これに関しては半ケツで座り合うわけには行かず、基本的には彼女が使用する。


俺が体調悪い時には、座らせてくれる。




次の日に出かける場合は、ヒゲを剃る。



出かけない場合はもちろん剃らない。


お肌の休息日とか言ってね。彼女は剃って欲しいらしいけどね。






ということで今日は剃る。








「血出てるよ〜」


と、彼女の声が響く。




肌が弱いんです。

毎回悲しそうな声で言うから、できれば剃りたくないんだよね。







そんなことなら、一緒に風呂に入らなければいいじゃんって?







お前らは回転寿司でサビ抜きだからと言って、わさびをつけないか?




つまりはそういうことだ。







ちなみに彼女は、辛いのが苦手だからつけません。

万人に受ける例えじゃありませんでしたね。










全身洗った後は湯船に入る。





うん、湯加減は俺にぴったりだ。





しかし、彼女はぬるいと言い、お湯を継ぎ足し始める。





あまり広くない湯船だが、2人一緒に入る。



俺の脚の間に彼女がすっぽり入り、同じ向きで湯船に浸かる。

彼女の頭は俺の肩にもたれかかり、俺は彼女を抱きしめる。










「はぁ〜」

と、全身の力を抜く。

そして、幸せな時間を実感する。





いつもとは違う環境で何気ない話を始める。







「そろそろ出ようかな」


と、彼女が言う。





内心、もっとこのままでいようよとか思った。


でも、彼女は長風呂が苦手なので、一緒に出ることにした。







男性というものは体毛が多いので、湯船から出た時は毛にたくさんの水が付着してしまっている。そのため、俺は手を使って水を切ってからバスタオルで身体を拭くことにしている。



最初はその姿を見て不思議そうにしていた彼女だったが、今では2人同じ動作を行っている。





「私も手で水を切るのがクセになっちゃったよー」

「真似されたー!」




なんて、2人笑い合いながら、服を着る。













温まるのは身体だけじゃないんだなーと感じたお風呂でした。





何も言わずに一緒にお風呂に入れる関係っていいですよね。

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