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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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76.最深部 vsムクロノハオウ 病招く太刀

『まさかここに辿り着く者がいるとはな……実に数世紀ぶりだ……』


 ダンジョン最深部、深さ100に入ったところで、そのような声が聞こえた。だが、その声の主は見えない。


「姿を見せろ!」

『そう急くな、人間よ。我はこの深さの最奥で貴様らを待っている。別に罠などは無いから安心して歩いて来い。どうせ我の姿を見た時点で貴様らは絶望の淵に立たされるのだからな。』

「それはどうかな。まあ、ご要望にお応えして歩いて行ってやるからお前は首を洗って待っていろ。」


 俺はそう声を飛ばすと、ローディアスに案内を続けさせた。



『随分と遅かったな。もう少し早く来てもいいのではないか?』


 奥へしばらく進んだところで、俺たちは立ちはだかる大きな骸骨を見つけた。身長は俺の1.5倍ほどあり、武者鎧と呼ばれる防具を身に着けている。骸骨武者といった感じだな。これがムクロノハオウか。


「罠が無いか警戒しながら進んでたからな。」

『カカカッ、疑り深いな、人間。罠は無いと言ったであろうが。』


 カタカタと口元の骨を鳴らして笑うムクロノハオウ。俺はその言葉を無視して鑑定を行った。


ムクロノハオウ ランクA-

名前:ムラマサ

保有魔力:999999/4444444

称号:栄光の殺戮者(人間殺害率大上昇)

   刀術修行者(刀術武技の威力小上昇)

スキル:???(???)

    刀術(刀術武技を使用可能にするスキル)

    呪魔法(呪属性魔法を使用可能にするスキル)

    刀剣抵抗(刃のある武器での攻撃のダメージを減衰させるスキル)

    ???(???)

    ???(???)

状態:凶暴化

体力:???

魔力:440000

筋力:9800

耐久:14000

俊敏:20000

抵抗:5000


「……おかしいな。絶対に何かある。」


 俺はそう呟く。ここのダンジョンマスターであるモンスターがこの程度の能力しか持っていない訳がないからだ。それに、ダンジョンマスターなら必ず持っているはずのスキル、【鑑定眼】が無い。


「スキル秘匿系スキルがあるんだろうな。恐らくあの???のうち1つが鑑定眼なんだろう。」


 俺はそう当たりをつけた。まあ、どうあれ倒してしまえば問題ない。そう考え、俺は神秘の破砕銃を構える。


『カカッ、気が早いな、人間よ。その心意気は嫌いではないが、我は人間を許す訳にはいかぬのでな。悪く思うなよ。』


 そう言うと、奴はゆっくりと鞘に納められていた刀を抜いた。


『これは我が愛刀、腐乱の太刀。これで傷を与えた者には病の症状が発現する。貴様らはここで死ぬことが確定したのだ!』


 そう言うや否や素早い動きで斬りかかってくるムラマサ。その刃がユリアの首筋に向けて振るわれる。しかしユリアはすぐさまシルバーソードを抜いて防御。斬撃の威力は高かったらしく、ユリアは身体ごと吹き飛ばされたが、空中で体勢を立て直し、怪我を負わずに着地した。


『むっ……人間にしては良い身のこなし。少しは鍛えているようだな。』

「舐めないでください! 今度はこっちの番です! 剣術武技Lv5スキル、【衝撃刃】!」


 ユリアはそう言うと、シルバーソードを武者鎧の隙間めがけて振る。衝撃刃を使用しているので奴は刀で受けられないだろうと思い、俺は奴の避けるであろう先を狙って魔力を集中させる。しかしムラマサは、


『甘い。』


 と言ってシルバーソードの斬撃を刀で受けた。衝撃波で1、2歩よろめきはしたが、ほとんどダメージは入っていないようだ。


『カカッ、なかなか良い攻撃だ。当たれば、な。』


 そう言って笑うムラマサ。俺はその隙に、【フレイムバースト】を無詠唱で発動させ、火炎でムラマサを包み込む。しかし奴はダメージを受けた様子もなく、剣を一振りして忌々しそうに炎を払い除けた。


『ふむ、これはフレイムバーストだな。人間にしてはなかなかの熱量だ。だが、我を倒すには及ばんな。』


 そう言うと、ムラマサは近くにいたユリアに向けて刀を振り下ろした。ユリアは慌てて身を捻ったが、少し斬られてしまう。すると、ユリアは急に頭を押さえ、苦しそうな声をあげながらうずくまってしまった。


『頭痛か。つまらん症状に当たったな。一撃で死ねないとは不運なことよ。』


 ムラマサは憐憫を含んだような声でそう言うと、もう一度刀を振り上げた。そして、


『死ぬがいい! 刀術武技Lv10スキル、【一刀両断】!』


 と叫んで思い切り振り下ろす。かなりの威力がありそうだ。俺は咄嗟に、


「【テンペストシールド】!」


 と嵐属性の防壁を張ってその刃を防いだ。そして、【疾走】を発動させてユリアに近付くと、無詠唱で【ハイパーヒール】を発動させ、頭痛を打ち消す。そして、再び疾走を発動させてムラマサと距離を取った。


『……貴様、聡いな。その程度のよわいでどのようにしてそれ程の強さ、賢しさを手に入れたか興味が湧いてきた。』

「そうか。だが、それがどうした!」


 俺はそう叫ぶと、神秘の破砕銃の照準を絞り、


「狙撃武技Lv3スキル、【ローリングシリンダー】!」


 と叫んで引き金を引いた。発射された大量の聖の弾丸が一直線に飛んでいく。しかし、それがムラマサに到達する寸前、突然奴の姿が搔き消えた。


「何っ?」


 俺は慌てて辺りを見回すが、奴の姿は見えない。と、その時だった。


『我はここだぞ、人間!』

「グッ?」


 突然背中に鋭い痛みが走った。振り向くがそこにムラマサの姿は無い。あるのは俺の影のみだ。ん? 影? 俺がそう思った時、近くにいたユリアの影からムラマサが現れた。そして、刀を振りかぶる。


「クソッ、間に合え!」


 俺は背中の痛みも忘れてユリアに覆い被さる。そこへ、ムラマサの刀が到達した。


「ぐああっ!」


 あまりの痛みに叫び声をあげる俺。何とか反撃しようと試みるも、奴はその攻撃が届く前に影に溶けるように姿を消してしまった。


「あの???、一つは影潜か……」


 俺は忌々しそうにそう呟くと、【ウルトラヒール】で傷を癒す。そして、影の中にいる奴の気配を感じ取る為、神経を研ぎ澄ませるのだった。



『クハハハ! 人間、威勢が良いのは最初だけか?』

「グッ……」


 俺はなかなか反撃の緒をつかめずにいた。いくら集中しても奴の気配は感じ取れず、気がついた時には攻撃を加えられている。


『ハハハ! 貴様らが我に対して勝つなど不可能!』


 そう言って影から飛び出し、またムラマサは俺を斬りつける。治癒魔法は使う暇がなく、【龍を討伐せし者】の効果で自己治癒ができても受けるダメージと追加で与えられる頭痛や耳鳴りなどの各種バッドステータスがそれを上回る為、回復が追い付いていない。


「クソッ……」


 どうすれば良いか分からず、悩む俺の側にユリアが駆け寄ってくる。


「リチャードさん、取り敢えず影が前になるようにしておきましょう。これなら不意打ちはできません。」

「確かにそうですね。そうしましょう。」


 俺はそう答えると、影が自分の前に来るように立ち、烈火の神槍を構えた。しかし、その時、後ろから殺気が。咄嗟に振り向くと、丁度ムラマサが刀に燐光を纏わせている所だった。


『刀術武技Lv15スキル、【突風斬り】!』


 そう叫んでムラマサは腐乱の太刀を横薙ぎに振るう。何とか烈火の神槍で受け止めようとしたが、打ちあった瞬間に発生した突風で俺は壁際まで吹き飛ばされた。


『我が出られるのは、何も貴様らの影のみではない! その岩などの影からも出られるのだ!』


 そう言って、ムラマサは俺の前まで歩いてくると、


『終わりだ! 死ぬがいい!』


 と叫び、腐乱の太刀を斜めに振り下ろしてきた。俺は咄嗟に腕をクロスさせて頭を庇う。しかし、腐乱の太刀に斬られたのは俺の腕ではなかった。


『ぐああああああああっ!』

「なっ……ローディアス?」


 何と、ローディアスが実体化して飛び出し、捨て身で俺を庇ったのだ。地面に崩れ落ちているローディアスの身体には、斜めにザックリと抉られたような跡がある。腐乱の太刀の斬撃をまともに受けてしまったのだろう。


「おい、ローディアス! しっかりしろ!」

「ローディアスさん、しっかり!」


 俺たちはローディアスにそう声をかける。すると、ローディアスは薄く目を開けた。


『主君……ご無事でした、か……』

「あ、ああ。お前のおかげでな。」

『ククッ……某も……少しは役、に……立つ、でしょう……? 残念、でした、な……某、は……役立たずで、は……ない……ようですぞ……』

「喋るな! 今すぐ治癒を……」

『必要……ありませ、ん……某は……肉体概念、を……失った身……治癒、は……魔力の無駄、です……それと……ユリア殿……』

「な、何ですか?」

『某に……『さん』は……必要ない、と……主君が……言って……いた、でしょう……? 某のこ、とは……呼び捨て、に……』

「ローディアス、もう止めろ!」

『いえ……そうい、う訳には……参りませ、ん……申し訳……ありませ、んが……も、う……力が……持たぬ故……某、一時撤退……しま、す……主君……あなた、に……出会えてよかっ……た……』


 そう言うと、ローディアスは空気に溶け込むようにして消えてしまった。


『クッ、余計な邪魔をしおって……』


 ムラマサの声。これに俺の怒りは頂点に達した。心が怒りに支配される。そして、人間は怒ると冷静になるという言葉通り、逆に落ち着いてきた。


「余計なこと? 邪魔だと? ふざけんな、カスが。」

『何だと?』

「貴様のようなクズ野郎にダンジョン支配者の資格はない! 俺が本当の支配者の在り方ってのを教えてやるよ!」


 俺はそう言うと、今まで一度も口にしたことのない言葉を叫んだ。


「お前は俺が全力でぶっ潰す! 魔力……全解放ッ!」

5章の終わりまで活動報告のお知らせは継続します! ご意見などありましたら、遠慮なくお送りください!

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