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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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74.深さ91 マスターの話と食事

『主君、ここからはしばらく気を抜くことができるかと思われます。今夜はここで休憩するのがよろしいかと。』


 深さ91に入った瞬間、ローディアスが初めて警戒っぽくないことを言った。


「なぜそう言い切れる?」

『第10階層の深さ91~99にはモンスターが配置されていませんので。』

「また階層移動があったりしないのか?」

『絶対にありません。マスターは最深部から出ませんので。』


 俺はこの言葉を聞き咎めた。


「ちょっと待て。お前、今マスターって言ったよな?」

『はい。言いましたが……』

「ここはダンジョンマスターがいるのか?」

『はい。ご存知ないのですか? この【死霊のダンジョン】のダンジョンマスターは不死族最強のモンスターと名高いムクロノハオウのムラマサでございます。』

「モンスターがダンジョンマスターなのか?」

『はい。ムクロノハオウであるムラマサは、元々ダンジョン外のモンスターでした。ある獣人の魔物使いに使役されていたそうです。ある時、その獣人の戦士は荒野でモンスターに襲われて深手を負い、立てなくなりました。出血量からもう長くないと悟った獣人の戦士は、そのモンスターに殺されるよりも自らのパートナーであったムラマサに殺されたいということで、彼に周囲にいた荒野のモンスターを一掃させ、自らの首を刎ねさせたそうです。しかし、そこをたまたま人間が見て、ムラマサを勝手に悪と決めつけ、攻撃してきました。ムラマサはその人間に事情を説明しようとしましたが、その人間は単細胞のクズで全く話を聞かなかったので、ムラマサは自らの命を守る為に仕方なくその者を討ちまして……そして、このダンジョンに入ったのです。』

「そうか……そりゃ気の毒なことだな。だが、何でダンジョンマスターになったんだ?」

『彼は『人間』という種族そのものが醜く見えてしょうがないそうです。先入観で物事を決めつけ、正しい事実を見ようとせず、自らを至上とする人間族が。』

「それはそいつも同じじゃないか?」

『それはそうなのですが……』

「まあいい。それより、そいつが最深部にいるってことは深さ100がこのダンジョンの最深部ってことか?」

『はい。死霊のダンジョンは全10階層、深さ100からなるダンジョンでございます。』

「分かった。なら、そこまではゆっくりしていられるってことだな。」


 俺はそう言うと、手に浄化魔法【キュア】をかけ、異次元倉庫からリックさんに貰った野菜をいくつか取り出す。因みに、異次元倉庫の中では時間が進まない為、野菜も穀物も新鮮なままだ。


「ユリアさん、ここで食事にしましょう。何か食べられない物ってありますか?」

「大丈夫です。アレルギーはありませんし、好き嫌いも無いので。それに、リチャードさんが作ってくださるものなら、何でも大好物です! たとえそれが黒焦げで動き回ってても。」

「いくら俺が料理しても、そんな異次元クリーチャー的な存在の物体は出現しませんよ。あ、ローディアスも何か食べるか?」

『頂けるのであれば……』

「お前って、食べ物を食べられるのか?」

『摂取は可能です。』

「んー、じゃあ、サラダにするか。」


 俺はそう呟くと、野菜を【エアフロー】で空中に浮かせ、【エアカッター】で適当な大きさに切ると、異次元倉庫の中に入っていた皿を取り出してそれに盛った。そして、オリーブオイルを軽くかける。


「はい、出来ました。どうぞ。」


 俺がそう言うと、ユリアはマジックポーチからフォークを取り出して食べ始めた。ローディアスの方は、いつの間にやら皿の上の野菜が減っていくという奇妙な現象が起こっている。変に追求して、予想だにしなかったような答えが返ってきたら食欲も気力も萎えそうなので、俺は敢えて突っ込まずにサラダを口へ運んだ。うん、初めて作ったにしてはまずまずだろう。


「どうですか、ユリアさん?」

「美味しいです! それに、サラダなのに何だか体が温かくなっているような気が……」

「体が温かく? ローディアスもそんな感じがするか? 俺は何も感じないんだけど。」

『いえ。某は肉体概念を失った身でありますので、体が温かいといったような感覚はありません。ですが、魔力が強化されている感覚があります。恐らく、主君の魔力が野菜に上乗せされており、それを摂取した影響だと思われますが。』


 そうローディアスが言うと、ユリアが、


「ろ、ローディアスさん、それ本当ですか?」


 と食い気味に詰め寄った。


『あ、その、これはあくまで仮定です。まあ、この可能性が至極高いとは思いますが……』

「つまり、本当なんですね? 嘘だったら即刻魔石を砕きますよ?」


 ユリアはそう言うと、エリートゴーストの魔石をポーチから取り出した。そしてそれにゴールデンダガーの刃先を近づけると、ニッコリと笑う。


『し、主君、どうか某をお助け下さい……』

「お前が適当なことを言うからこんなことになってるんだろ。まあ、取り敢えず原因調べてみるから、ちょっと待ってろ。」


 俺はそう言うと、サラダを鑑定。すると……


サラダ

保有魔力:700/0


 保有魔力がオーバーフローしていた。ということは……


「ローディアスの言った通り、俺の魔力が上乗せされてるな。」

『やはりそうでしたか。ユリア殿、某の証言は虚偽ではないことがこれで証明されましたぞ。』


 ローディアスがこう言うと、ユリアはゴールデンダガーをしまい、エリートゴーストの魔石を俺に渡す。そして、


「リチャードさん、私の強化につながる料理を作ってくださって、ありがとうございます!」


 と言って抱き付いてきた。


「ユリアさん、抱き付かないでください。」


 俺は努めて冷静な口調でそう言う。ユリアは可愛いし性格もいいので、抱き付かれるのは吝かではないが、ティリにバレた場合を考えると、抱き付かれない方がずっといい。俺の為にも、ユリアの為にも。


「リチャードさん、私に抱き付かれるのは迷惑ですか?」

「別に迷惑ではありませんが、お互いの命のことを考えた場合、止めておいた方が良いと思います。」


 俺がこう言った時、トランシーバーからティリの声が聞こえてきた。


『ご主人様、ご無事ですか?』

「ああ、ティリ。どうかしたか?」

『いえ。もう夜中ですので、ちょっと気になりまして。あ、それと、ここから12km程東に、不穏な気配を感じます。何かこう、とてつもなく強大な魔力と微弱な魔力が混ざったような、交わったような……』


 ティリのこの声が聞こえた途端、ユリアが素早く飛び退いた。


「そうか。それの原因は?」

『分かりません。今急速にその交わりが薄まり、消滅しましたので。あ、それとご主人様、私が見ていないからって、ユリアさんにイタズラとかしちゃダメですよ。もちろん浮気も。』

「する訳ないだろ。例えヴィーナスに言い寄られたって俺の心は揺らがない。俺の帰る場所は、常にティリのいる場所なんだから。ティリと一緒にいられることが、俺の人生の中で最大の幸福だ。」

『はう……ご主人様……』

「また通信するから、ティリはゆっくり休んでくれ。一人が寂しいなら、ルーアちゃんかキャトルと一緒に寝ろ。間違ってもルキナスさんとかセントグリフとかとは一緒に寝るなよ。そんなことになったら俺が嫉妬で狂うから。」

『大丈夫です! ではご主人様、元気なお姿で帰って来てくださいね!』


 この声を最後に、通信は切れた。


「ユリアさん、俺は言いましたよね? ティリは俺のことになると異様に勘が鋭くなる、と。」

「は、はい……」

「恐らくユリアさんが俺に抱き付いたこと、ティリは気付いています。もう少し自重してくださいね? 俺は清楚で清らかなユリアさんが好きですから。」


 俺がこう言うと、ユリアは一瞬で真っ赤になり、まるで糸が切れたマリオネットのようにその場に倒れた。


『主君、ユリア殿が嬉しさと恥ずかしさの絶頂により気絶しましたぞ。』

「それを狙って言ったんだ。分かるだろ?」

『分かりますが……鬼畜ですな、主君。』

「俺がいつ鬼畜な行動をした? 因果関係を明確に示して回答しろ。」

『拒否します。』

「チッ。ならいいが、その代わり周囲を見張っていてくれ。俺は3時間ばかり寝る。流石に疲れたからな。」

『お任せください。』

「じゃあ、頼んだぞ。」


 俺はそう言うと、


「【フィールドバリア】! 【サークルバリア・モード・パーフェクト】! 【ソフトアース】! そして、【スリープ・ドリームモード・グレイト】!」


 と4つの呪文を唱えて、夢の世界へと旅立つのだった。


【ダンジョンマスターが女性を魅了しました。話術スキルを解放、並びに称号【魅惑の微笑み】を入手します。】

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:150

階層数:15

モンスター数:401

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         55体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       メディックウルフ     1体

       ポイズンウルフ      1体

       イルネスウルフ      1体

       ハルキネーションウルフ  1体

       フライングウルフ     1体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       アシュラベアー      1体

       キラーバット      10体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     25体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体

       ラングフィッシュ    10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:92

スキル:鑑定眼(Lv5)

    剣術(Lv6)

    鎌術(Lv4)

    槍術(Lv14)

    杖術(Lv2)

    体術(Lv4)

    狙撃(Lv3)

    話術(Lv1)

    幸運(Lv5)

    疾走(Lv6)

    壁走(Lv6)

    罠解除(Lv3)

    武器造形(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    念話

    影潜

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

    聖耐性

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

    炎属性無効

技能:炎剣(魔法剣)

   炎槍(槍)

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)

   栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)

   トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)

   称号収集家(称号レア変化率小上昇)

   魅惑の微笑み(異性の魅了率小上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     烈火の神槍(LRレジェンドレア、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)



著者コメント


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