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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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73.第9階層 トラップゾーン

「リチャードさん、そこに壁から槍衾が出てくるトラップがあります。それと、そっちにはモンスター発生トラップも。」

「了解です。じゃあ、俺は槍の方を破壊するので、ユリアさんはモンスター発生トラップの解除をお願いします。」

「はい。罠解除は探索者シーカーの本領ですから、任せてください!」

「罠解除が得意なのは盗賊なんじゃ?」

「確かに盗賊も得意ですけど、能力的には探索者の方が上です。解除速度もこっちの方が格段に速いですよ。ほら、こんな風に。」


 ユリアはそう言いながら、さっさとナイフでモンスター発生トラップを解除してしまった。


「おお、速いですね。俺は細かい作業はあまり得意じゃないので、力技で行くしかないですけど……【クラッシュ】!」


 俺はそう呪文を唱え、土壁ごとトラップを破壊した。


『荒業ですな、主君。』

「仕方ないだろ、ローディアス。俺は罠の解除なんてできないんだから。それより、この階層には本当にモンスターがいないんだろうな?」

『はい、それは間違いございません。深さ81から深さ90までの【トラップゾーン】ではモンスター発生トラップを発動させない限り、モンスターとエンカウントすることはないと言い切れます。』

「またグールとかゾンビとかみたいに階層移動した奴がいる、とか怨念の吹き溜まりになってる、なんてことはないんだな?」

『はい。ここまでのモンスターは主君とユリア殿が完全に殲滅なさっていますし、第10階層のモンスターはこちらに来ることができませんので。』

「何でだ?」

『第9階層と第10階層の繋ぎ目に、石壁の言語トラップがあるのです。それは外側からしか解除できない仕様になっておりますので。』

「そういうことか。じゃ、引き続き案内頼む。ユリアさんは罠の発見をお願いします。俺は念の為、魔力探知をしておきます。」

『お任せください、主君。』

「分かりました。」

「じゃあ、行きましょうか。」


 俺はそう言うと、ローディアスの先導に従って歩を進めるのだった。



「リチャードさん、そこから先に矢が飛んでくるトラップがあります。これは解除できないタイプですね。」

「分かりました。じゃあ、これで飛んでくる奴を燃やして落とします。」


 俺はそう言うと、ドラゴンスレイヤーと黒迅の魔槍を取り出し、技能の【炎剣】と【炎槍】を発動させる。そして、自ら矢が飛んでくるトラップのある場所に踏み込んだ。


 ――ヒュッ!


 刹那、無数の矢が四方八方から飛来した。俺はその中で危険度の高い物を選び、剣と槍で斬り払う。大きく外れているのは無視し、ひたすら危険度を高い物を斬り続ける。そんなことを1分程続けていると、矢の発射スピードが遅くなってきた。そして、更に1分経つと、完全に矢の発射が止んだ。どうやら矢が尽きたらしい。


「終わったか。」


 俺はそう言うと、技能を解除した。その時俺は、黒迅の魔槍が真っ赤に染まっているのに気がついた。先端から柄まで真っ赤だ。咄嗟に鑑定すると、その結果は……


【烈火の神槍】 アイテムレアランク:LRレジェンドレア

莫大な炎属性の魔力が込められた黒迅の魔槍の上級武器。リーチが長く、扱いやすい。傷をつけた相手の抵抗力が1000以下の場合はその者を燃やし、5000以下の場合は【鈍重ボーヴァイン】、【麻痺スタン】、【火傷ファイア】のバッドステータスを与える。更に、所持者に闇属性、炎属性への適性と【炎属性無効】、【闇属性無効】のスキルを与え、筋力、物理攻撃力、耐久力を上昇させる。また、所持者が【疾走】、【壁走】スキルを所持していた場合はどちらかのスキルレベルを5上昇させる。


 なんかもの凄い危険度の高そうな武器になっていた。しかもレアランクはLRレジェンドレア。伝説級に珍しく、世界に3つあるかないかぐらいの希少度を表す。


【ダンジョンマスターが武器の改良に成功しました。武器造形スキルをレベルアップします。】


 何か脳内で機械音声が言ったが、今は無視する。


「……改良した訳じゃないんだけど、まあいいか。」


 俺はそう呟くと、その【烈火の神槍】なる新しい武器を異次元倉庫にしまい、また魔力探知を展開してダンジョンを進むのだった。もちろんローディアスの案内に従って。



「リチャードさん、止まってください。ここから先に50個のモンスター発生トラップがあります。」


 深さ89の通路に入って少ししたところで、ユリアがそう言った。


「50個もですか?」

「はい。踏むと発動するスイッチが、床の土の色に似せて混ぜてあります。」

「……それ、全部の場所が分かるんですか?」

「はい。」


 まるで当たり前だろう、とでも言いたげな顔で肯定するユリア。


「凄いですね。俺には1個も分かりません。」

「そんなに凄くないですよ。だって……」

「だって、何ですか?」

「だって、解除の仕方が分からないんですから……」


 先程とは打って変わって悲しそうな顔になるユリア。


「解除の仕方、分からないんですか?」

「はい。普通なら、罠を見れば解除の仕方が自然と頭に浮かぶんですけど、今回は浮かばなくて……」

「ってことは、罠解除スキルのスキルレベルが足りないってことですかね?」

「多分そうです。罠の場所が分かっても、解除できないんじゃ先に進めません……あんな感じじゃないと……」


 そう言ってユリアが指さすのはローディアス。確かに浮遊しているアイツなら床は踏まないから平気だろう。


『ゆ、ユリア殿……いくらなんでも某を『あんな感じ』と呼ぶのはどうかと思うのですが……』

「私はあなたのことを呼んでないですよ。浮遊状態のことを『あんな感じ』って言ったんです。」

『ならばなぜ指さしたのですか!』

「あなたが浮遊状態のいい例だからです。」


 ユリアはきっぱりとそう言い切った。


「おい、ローディアス。そういう話なら後にしろ。」

『しかし……』

「反論は受け付けない。それより、ここの罠について知ってることは無いのか?」

『ここの罠でございますか? ここのモンスター発生トラップは罠解除スキルLv25以上で解除が可能で、1つにつき500体の不死族モンスターが召喚されるという凶悪な性質を持っております。』

「他には?」

『生体反応を持つ者が近付くと自動的に発動します。』

「じゃあなんでお前が近付いてるのに発動しないんだ?」

『某は生体としての存在が希薄ですので……』

「自分で言ってて情けなくないのか、それ。」

『どうせ某は影が薄い。それが宿命でございます。それと、これ以外に知っていることはありません。』

「そうか。分かった。」


 俺はそう言うと、少し考える。近寄ることもできないし、ユリアが解除はできないという。となると……


「面倒だけどこれしかないかな。」


 俺はそう呟くと、ヒールフレイムの杖を取り出し、その先端を地面に向ける。


「取り敢えずここの床を完全に消し去れば、トラップの脅威は消えるはず。」


 俺はそう言うと、闇の魔力をヒールフレイムの杖に込める。そして、


「我が前に立ちふさがる障害よ、全て消え失せるがいい! 【ブラックホール・アトラクタースパウト】!」


 と呪文を唱えた。すると、ヒールフレイムの杖から漆黒の球体が飛び出し、それがダンジョンの床を吸い込みだした。【ブラックホール・アトラクタースパウト】は術者の指定した物体を吸い込み、異空間へ押し込めることができる闇と空間の二重属性魔法。指定した物が無生物であればほぼ何でも吸い込むことができる。俺とユリアは生物だし、ローディアスも存在は希薄だがモンスターだから生物に当たる。よって、俺たちにこの魔法は影響を及ぼさない。30秒もすると、ダンジョンの床は完全に吸い込まれ、下の階が見えるようになった。だが、すぐに床が再生し始める。


「そういえばダンジョンは高い再生能力を有してるんだったな。ユリアさん、完全に再生する前に突破しましょう! ローディアス、案内!」


 俺がそう言うと、ローディアスは間髪入れずに高速で飛び始めた。俺たちは疾走を発動させると、その後を追うのだった。



 そして辿り着いた第9階層最深部。そこには深さ81でローディアスが言っていた通り石壁があり、そこに文字が刻まれている。


「えーっと、【よくぞここまで辿り着いた、強き者よ。だが力だけで突破などできぬ。ここを通りたくば、『I love a redeagle』を過去形の文章にして答えよ。】って書いてあります。」

「簡単ですね。ここは私に任せてください!」


 ユリアはそう言って前に出ると、


「I loved a redeagle.」


と答えた。すると、石壁が光り、新たな文字が現れた。


「えっと、【正しく直すなど簡単なことだ。時制を変えるのではなく、単語一つを完全に別の単語に変える形式で過去形にせよ。】って出てきました。」

「単語一つを完全に変化……ですか? そんなのすぐに思いつきませんよ……」

「ローディアス、ここの問題って、答えの回数制限とか時間制限とかあるのか?」

『ありません。閉鎖トラップでもなく、解けないのならば帰れ、ということです。因みに、謎を解くこと以外でこの石壁を壊すことは不可能でございます。』

「ふーん。ならお試しってことで、言ってみるか。」


 俺はそう呟くと、石壁の前に行く。


「え? り、リチャードさん、もう思いついたんですか?」

「ええ、まあ。」


 俺はそう言うと、


「I love a redswallow.」


 と答えた。すると、その石壁があっという間に消滅し、新たな石壁が現れた。


「さすがリチャードさん! でも、なんで分かったんですか?」

「レッドイーグルの進化前モンスターがレッドスワローなので、それでいいんじゃないか、と思って言ったんです。」

「ああ、そういうことですか!」


 ユリアは感心したように頷く。


「また壁が出てきましたし、こっちの問いに集中しましょう。」


 俺はまた石壁の文字を読み上げる。


「【よくぞ言語トラップを解除した、賢き者よ。だが、賢さだけでは突破などできぬ。ここを通りたくば、『あたかも』『どんより』『ところで』をそれぞれ正しく使用した文を作れ。】ですね。」

「今度は大丈夫です! 私に任せてください!」


 ユリアが自信満々に前に出る。そして、


「あたかも現場を見たかのように語る、どんよりと曇った空だ、私が発言したところで彼は耳を貸さない。」


 と答えた。すると、先程と同じように石壁が光り、新たな文字が現れた。


「えーっと、【正しく使うなど簡単なことだ。間違った使い方で更に文を3つ作れ。さすればここを通る資格を貴様に与えよう。】って出てきました。」

「意地悪ですね、このトラップ。」

「親切なトラップなんて無いですよ。冒険者を帰らせたり始末したりするのがダンジョンのトラップなんですから。まあ、任せてください。」


 俺は石壁の前に行き、


「パスタの買い置きがあたかも・・・・しれない、うどんより・・・・蕎麦が好きだ、ふところで・・・・かい。」


 と答えた。すると、また壁が光り、機械的な声が聞こえてきた。


『素晴らしき文才だ。強く、賢き者よ、約束通り、ここを通る資格を与えよう。健闘を祈る。』

「はあ。」

『では進むがいい。さらだばー!』


 そう声が響き、次の瞬間、壁が砕け散った。だが、俺たちはそれよりも気になることがあった。


「ユリアさん、今……」

「はい。サラダバーって言いましたね。」

「ああいう時って、『さらばだー!』ですよね?」

「あれも演出の1つなんじゃないでしょうか?」

「トラップに演出なんて必要ないような気がするんですけど……」


 俺たちはそう言葉を交わし、首を傾げながらも第10階層へと足を踏み入れたのだった。


【ダンジョンマスターが罠を解除しました。罠解除スキルを解放します。】

【ダンジョンマスターが罠を10以上解除しました。罠解除スキルを2レベルアップ、並びに称号【トラップブレイカー】を入手します。】

【ダンジョンマスターの称号数が20に到達しました。称号【称号収集家】を入手します。】

【死霊のダンジョン、第9階層を攻略しました。】

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:150

階層数:15

モンスター数:401

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         55体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       メディックウルフ     1体

       ポイズンウルフ      1体

       イルネスウルフ      1体

       ハルキネーションウルフ  1体

       フライングウルフ     1体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       アシュラベアー      1体

       キラーバット      10体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     25体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体

       ラングフィッシュ    10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:92

スキル:鑑定眼(Lv5)

    剣術(Lv6)

    鎌術(Lv4)

    槍術(Lv14)

    杖術(Lv2)

    体術(Lv4)

    狙撃(Lv3)

    幸運(Lv5)

    疾走(Lv6)

    壁走(Lv1→Lv6)

    罠解除(Lv3)

    武器造形(Lv1→Lv2)

    全属性魔法(上級)

    念話

    影潜

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

    聖耐性

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

    炎属性無効

技能:炎剣(魔法剣)

   炎槍(槍)

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)

   栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)

   トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)

   称号収集家(称号レア変化率小上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     烈火の神槍(LRレジェンドレア、黒迅の魔槍の炎属性特化上級武器)


著者コメント


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