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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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72.第8階層 死霊の巣窟

『主君、ここからはより一層注意が必要かと存じます。』


 第8階層の通路の始まりで、ローディアスが警告をした。


「今度はなんだ?」

『この階層には、今までに戦ってきた死霊系モンスターが全ているのです。』

「今までの死霊系? ってことは……」

『スケルトン、イートシャドウ、ハンターシャドウ、シノビシャドウ、アサシンシャドウ、トラップシャドウ、ゲートキーパーでございます。』

「ゴースト系は?」

『ゴーストは主君がディストラクションで魂もろとも消滅させていらっしゃいます。ハイゴーストも主君が全て魔石を回収していらっしゃいますし、エリートゴーストは某のみでございます故……』

「ってことは、俺たちが素材を回収していない奴らの怨念の吹き溜まりがこの第8階層ってことか?」

『はい。』

「マジかよ……面倒臭い……」


 俺はそう言いながら、ソウル・ウォーサイズを取り出す。


「ま、でも死霊系ならコイツで行けるだろ。」

『それは某を斬ったウォーサイズですな。』

「ああ。これは死霊系に特効だから、この階層では役に立ってくれるはずだ。死霊系以外には効かないからお前にさえ気を付ければ遠慮なく相手を斬れるし。」


 俺はそう言いながら、ウォーサイズの刃を俺の手首に当てる。そして、手首を分断するように引いた。しかし、手首は斬れず、血さえ1滴も出ていない。


「人間に効果は無いからな。」

『随分思い切ったことをなさいますな、主君。』

「斬れないのは分かってるし、万が一斬れたとしても治せるから。」


 俺はそう言うと、ローディアスに案内を続けさせた。



 ローディアスの案内に従ってしばらく歩いていると、奥からガシャガシャという音が聞こえてきた。

 

「この音……多分スケルトンだな。」


 俺はそう呟くと、ウォーサイズを構え、


「鎌術武技Lv1スキル、【横薙一閃】!」


 と叫んで振るう。すると、巨大な黒い三日月状の閃光が鎌から飛び出した。そして、それがダンジョンの闇の中へと飛んでいった2秒後。


『『『ガシャッ……』』』


 と何かの断末魔が幾重にもなったような音と、何かが崩れ落ちるような音が聞こえてきた。


『攻撃が早いですな、主君。』

「さっさと対応した方が良いだろ。」


 そう言いながら進んでいくと、無数の骨が通路に転がっているのが見えてきた。先程の横薙一閃で無事に核を砕くことができたらしい。


「もう復活しないように、回収しておくか。」


 俺はそう言うと、転がっている骨を異次元倉庫に放り込み、ローディアスに案内を続けさせるのだった。



「鎌術武技Lv2スキル、【ダブルスラッシュ】!」

「剣術武技Lv4スキル、【マッキンリースライス】!」


 深さ79。出現したスケルトンの群れを俺たちの武技があっという間に斬り裂いた。既に1度対戦経験がある為、核のある位置が予測でき、そこに向けて武技を放っているので面倒ないたちごっこをしないで済んでいる。


「まあ、ある程度予想はしてたけど、やっぱり最下層はゲートキーパーか。」

「ゲートキーパーだけじゃありませんよ。イートシャドウ系モンスターもイートシャドウ以外出てきていませんし、槍の攻撃には気を配らないとです。」

「ゲートキーパーの槍術はただでさえ避けるのが難しかったですからね。シノビシャドウやトラップシャドウに動きを封じられている間に攻撃されたらヤバい……でも、だからと言って、ここでディストラクションを使うと魔力が乏しくなりますし……」


 俺はちょっと考えた。聖属性に【リカバリー】という魔法があり、これを使えば魔力や体力を回復させることは可能ではある。しかしデメリットもあり、これがまた大変なのだ。リカバリーを使った後は30分間あらゆる魔法が使えなくなり、武技の威力も軒並み下がる。おまけに称号の効果も発揮されない。即ち、戦闘中に使用するのは自殺行為。それ故、ここでディストラクションを使う訳にはいかないのだ。【龍を討伐せし者】の効果で回復力が上昇しているとはいえ、流石にゲートキーパーと各種イートシャドウ系モンスターを相手にする前では心許ない。


「まあ、考えてもしょうがないですね。」

「なにか作戦はあるんですか?」

「聖と光を重点的に使用して撃破です。ユリアさんは光魔法を撃ってください。それと、危なくなったら自分の身を守ることを優先してください。」

「分かりました。任せてください!」

「あ、それとローディアス、今回はお前を戻してる暇はないから、自分の身は自分で守ってくれ。」

『某とて護身術は心得ております。素人ではございません。』

「なら、絶対に消滅するな。これは命令だ。」

『お任せください、主君!』


 ローディアスはそう言うと、道案内を続けた。



 そして深さ80。入った瞬間、俺は目で見て分かるほどの濃い瘴気の流れを感じた。この場で澱み続けていたのだろう、息苦しさも今までとは段違いだ。


「うう……息苦しいです……」

「そうですね。今までと比べるとかなり瘴気が濃いですし、この状況下では瘴毒状態に陥る可能性が大いにあります。」


 瘴毒状態というのは瘴気による中毒症状で、軽い場合は倦怠感や嘔吐などで済むが、重い場合は死に至ることもある凶悪な中毒だ。通常は体がちょっとずつ瘴気に慣れていくので、瘴毒状態に陥ることは無い。だが、ここのように高濃度の瘴気に瘴気慣れしていない生物がいきなり晒されると、瘴毒状態に陥る可能性が高いのだ。


「瘴毒って……」

「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。瘴毒は状態異常、バッドステータスの一種ですから簡単に解除できます。そんなに重い症状じゃなければ一瞬ですし。」


 俺はそう言いながら、レッドホルスターから神秘の破砕銃を取り出し、奥に向けて乱射する。すると、


「ギギャッ……」


 というシャドウ系モンスターの断末魔が聞こえてきた。


「前にも言いましたけど、相手はこっちの事情なんか汲んでくれません。俺たちは今までと同じように、ただ殲滅するだけですよ。」


 俺はそう言うと、ウォーサイズを構えて闇を睨みつけるのだった。



「ギャギャギャ!」


 少し進むと、ハンターシャドウが影の剣を使って斬りつけてきた。


「おっと、危ないな。」


 俺はそう言いながらドラゴンスレイヤーで剣を受け止める。すると、その剣は盾に形を変えた。


「これは都合が良い。斬らせて貰うよ。」


 俺はそう言って、ソウル・ウォーサイズで盾もろともハンターシャドウを斬った。と、その時、俺の身体が急に強張り動かなくなる。後ろを見てみたが、トラップシャドウはいない。となると、シノビシャドウの【影縛】か。


「【セイントフラッシュ】!」


 俺は呪文を唱え、新しい影を作る。すると、体がスッと軽くなった。縛られていない影で上書きした為、動けるようになったのだ。


「俺たちもいちいちお前らの事情を汲んでやったりはしないんだよ。悪いな。」


 俺はそう言うと、聖の魔力を壁や床に注ぎ込み、火魔法【バーンファイア・ネイバー】を発動させる。この魔法は俺が『敵』と認識する者を焦がし、それを一撃で屠れた場合は、一番近くにいる次の敵を焦がす。しかし、これだけでは足りないので、俺は追加で雷魔法【バーンサンダー・ネイバー】、炎魔法【バーンフレイム・ネイバー】も発動させる。すると、壁に映っていた影から飛び出したシャドウ系モンスターに炎や雷が次々と襲いかかった。あっという間にそいつらは黒焦げになり、消滅。それでも倒しきれなかった奴はユリアがゴールデンダガーで斬り裂いた。


「よし、これで一応OKでしょう。」


 俺がそう言った時、奥から闇の衝撃波が飛んで来た。


「うおっ、危ねえ!」


 避けたら後ろにいるユリアに当たってしまうので、俺は慌てて黒迅の魔槍を取り出してそれで強引に軌道を逸らす。闇の衝撃波は天井に深い抉り傷をつけた。


「殺す気で来てるな……」


 俺がそう呟くと、怨念にまみれた低い声をあげながら、奥から黒い骸骨が出てきた。


『殺そうとしているのは当たり前だ。倒すだけならばまだしも、最期が地味などと暴言を吐いた相手を許す訳にはいかぬのでな。』

「やっぱり貴様か、デスランサー。あと、事実を言って何が悪い。ついでに、俺が言ったのは『最期』じゃなくて『最後』だ。」

『フン、そんなことどうでもいいわ。第4階層の戦いでは不覚を取ったが、今度こそ貴様の命、奪ってくれる!』


 そう言うや否や、デスランサーは瘴気を集めて禍々しいオーラを放つ槍を作り出すと、こちらを突いてきた。


『この【昏き瘴槍】で突かれた者は100%の確率で重篤な瘴毒状態に陥る。一度でも傷が付けば、それで終わりだ! 槍術武技Lv18スキル【神速めった刺し】!』


 デスランサーはそう叫ぶと、先程よりも鋭い突きを何度も放ってくる。俺は疾走スキルを発動させて速度を上げ、サイドステップやバックステップで躱すが、相手の突きの方が速度は上。それでもどうにか躱し切り、大きくバックステップをすると、ユリアにぶつかった。


「キャッ!」

「あ、す、すみませんユリアさん!」


 俺が慌ててユリアにそう言った時、デスランサーの昏き瘴槍の穂先が俺の中心を貫いた。


「ガハッ!」


 俺は喀血した。力が上手く入らない。


「り、リチャードさん! しっかり!」

『ククッ、小娘。貴様が邪魔をしたことに気付いているか? 所詮貴様など無力な産廃よ。滑稽なことだ!』


 高笑いするデスランサー。俺はその声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じ……


「俺の仲間を小娘だの産廃だの、汚い言葉で語るんじゃねえ! この雑魚が!」


 と叫んで目をカッと開いた。そして、昏き瘴槍の穂先を思い切り押し戻す。何とか抜けたようだな。


『な、なぜ生きている? 今、貴様は完全に……』

「残念だったな。【瘴気喰らう者】の効果で瘴気の悪影響が中減少している俺を殺すにはこの瘴毒の症状は軽すぎる。それとお前、腕が落ちてるぞ。」


 俺は貫かれた傷を【ウルトラヒール】で癒し、瘴毒の症状も治してニヤリと笑う。


『……貴様、我を愚弄するか!』

「本当のことだ。貴様如き雑魚、愚弄する価値も無い。ああ、因みに言っておくが、落ちてるっていうのは技の腕前じゃない。お前の腕、物理的に・・・・落ちてるんだ。」

『何?』


 そう言って自らの腕を見るデスランサー。その隙を俺は見逃さなかった。


「貰った!」


 俺はそう言って、ソウル・ウォーサイズを振るう。その刃は狙い通り、奴のまだ繋がっていた・・・・・・・・両腕を斬り落とした。


『ぐああああああっ!』


 苦しげな叫び声をあげるデスランサー。


『き、貴様……先程の言葉は……』

「敵の言うことを信じたのか? バカだな、流石は骸骨。まあ、その程度の知能しか持ってないってことはお前の姿を見りゃ丸わかりだがな。」

『貴様……グアッ?』

「黙れ。お前の声を聞いていると耳が腐る。」


 俺はそう言うと、黒迅の魔槍でデスランサーを串刺しにする。


「さあ、お別れの時間だ。塵と消えろ! 【アラウンドフレイム】!」


 俺はそう叫んで、炎の魔力を黒迅の魔槍に注ぎ込む。すると、黒迅の魔槍がだんだんと赤い光を放ち始め、少ししてから全体が炎に包まれた。その炎はあっという間に大きく燃え上がり、槍を握っている俺と刺さっているデスランサーをも包み込む。


『ギャアアアアアアアアー!』

「目障りな雑魚は、潔く退場しろ!」


 俺はそう叫ぶと、黒迅の魔槍に更に炎の魔力を込める。その炎はデスランサーを昏き瘴槍もろとも灰に変えた。


「ふう、熱かった。炎耐性があっても火傷はするんだな。」


 俺は黒迅の魔槍を握っていた手を見ながらそう呟く。


「リチャードさん、すみません、私のせいで……」

「ユリアさんのせいじゃありません。それに、倒せたんだから結果オーライです。さあ、ローディアス、案内の続きだ。」


 俺はそう言ってローディアスを進ませる。それに従って歩く俺の脳内では、いつものように機械的な声が響いていた。


【ダンジョンマスターが鎌術武技を使用しました。鎌術スキルをレベルアップします。】

【称号【強奪者の素質】発動により、シノビシャドウのスキル、【影潜】を強奪しました。】

【称号【強奪者の素質】発動により、デスランサーのスキル、【槍術】を強奪しました。槍術スキルを10レベルアップします。】

【ダンジョンマスターがスキル3つの強奪に成功しました。称号【栄誉の強奪者】を入手します。】

【ダンジョンマスターが槍に炎を纏わせました。技能【炎槍】を習得します。】

【死霊のダンジョン、第8階層を攻略しました。】

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:150

階層数:15

モンスター数:401

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         55体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       メディックウルフ     1体

       ポイズンウルフ      1体

       イルネスウルフ      1体

       ハルキネーションウルフ  1体

       フライングウルフ     1体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       アシュラベアー      1体

       キラーバット      10体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     25体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体

       ラングフィッシュ    10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:87→92

スキル:鑑定眼(Lv5)

    剣術(Lv6)

    鎌術(Lv3→Lv4)

    槍術(Lv4→Lv14)

    杖術(Lv2)

    体術(Lv4)

    狙撃(Lv3)

    幸運(Lv5)

    疾走(Lv6)

    壁走(Lv1)

    武器造形(Lv1)

    全属性魔法(上級)

    念話

    影潜

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

    聖耐性

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

技能:炎剣(魔法剣)

   炎槍(槍)

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)

   栄誉の強奪者(倒した相手のスキル、称号奪取率中上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     黒迅の魔槍(URウルトラレア、闇属性能力及び筋力上昇)

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