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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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69.第5階層 堅牢なる装甲と鉄壁の防御

『主君、この階層にいるのは難敵でございます。』


 深さ41、第5階層に踏み込んだとき、ローディアスがこう言った。この流れはもう定番だな。


「難敵? どんな奴だ?」

『リビングメイルでございます。』

「リビングメイルか……防具が生体化した奴だよな?」

『はい。リビングメイルは防具に瘴気が憑いて生体化したもので、そもそも命の概念が無い為不死族に分類されます。また、名にメイルとありますが、鎧だけではなく防具全般、例えばゴルジェなどもリビングメイルになります。』

「そういう系統全体がなるのか……盾とかもか?」

『盾は系統性質上は防具なのですが、盾術武技に【シールドバッシュ】という攻撃技がありますので、普通はなりません。』

「そうか。」


 俺は溜息を吐きながらそう言う。リビングメイルは命の概念のみならず感情も無いので、破壊し尽くされるまで何があろうと攻撃し続けてくるのだ。おまけに元が防具なので防御力が高く、一撃で破砕するのはほぼ不可能。つまり、ザックリ言ってしまえば面倒臭い相手ということだ。


「リチャードさん、突破できますかね?」


 ユリアが少し不安そうな顔で聞いてくる。


「んー……堅いですから、闇堕ちしても突破できない可能性があります。まあ、あれは肉体的に負担が大きいので、今日はもうやりませんけど。」

「じゃあどうするんですか?」

「2つ方法があります。1つ目は、こういう超攻撃特化系の武器で強行突破する。」


 俺はこう言いながら、深さ40で得た戦利品、デスランサーが使用していた槍を異次元倉庫から引っ張り出す。


【黒迅の魔槍】 アイテムレアランク:URウルトラレア

闇魔力が大量に込められた魔槍。傷をつけた相手に【鈍重ボーヴァイン】や【麻痺スタン】など、動きを鈍らせるバッドステータスを与える効果がある。更に、所持者に闇属性への適性と【闇属性無効】のスキルを与え、筋力を上昇させる。また、所持者が【疾走】スキルを所持していた場合はそのスキルレベルを5上昇させる。


「2つ目は、攻撃を受けないようにする、です。」

「え? そんなの無理ですよ!」

「何で決めつけるんですか? やる前から諦めてちゃ、何もできませんよ。」


 俺はそう言うと、


「【クリングフィート】!」


 と呪文を唱えて足に魔法をかけ、壁を歩いて見せた。


【ダンジョンマスターが壁を歩きました。壁走スキルを解放します。】


 機械音声がなんか言ったが、今は無視する。


「こんな感じで天井にくっつけば、浮遊型のリビングメイル以外からは攻撃を受けることが無いので、安全に討伐ができます。」


 俺はそう言いながら天井まで歩き、そこで魔法を解除すると、1回宙返りをして地面に着地。


「こんな風に、解除も簡単ですから、これを使って行きましょう。但し……」

「何ですか?」

「この魔法は持続時間が30分なんです。ですから、そのうちに殲滅できないと、鎧の群れの中に落下して嬲り殺される、という最悪のパターンへまっしぐら。」

「……怖いことを言いますね。天井からの攻撃の作戦はあるんですか?」

「勿論ありますよ。」


 俺はこう言うと、ローディアスに案内を続けさせた。



「【アースニードル】!」

「剣術武技Lv3スキル、【ソードブーメラン】!」


 深さ49。俺の呪文で地面から土の針が無数に生え、それに刺さって動けなくなったリビングメイルをユリアの投げたシルバーソードが斬り裂いていく。


「そろそろいけますかね?」

「もう大丈夫だと思います。」


 俺の問いにユリアは戻ってきたシルバーソードをキャッチしながら頷く。


「じゃあ、やっちゃいますね。【エクスプロージョン】! 併せて【エアガード】!」


 呪文に呼応してヒールフレイムの杖から爆発の魔力が込められた火炎球が飛び出し、リビングメイルの群れに突っ込む。そして、その一秒後。


 ――ズガアアアアアアアアン!


 と爆音が響き、煙が立ち込めた。炎と爆発の二重属性魔法、【エクスプロージョン】は連発ができないが、一撃で指定範囲内のものを粉砕することができる有用な中級魔法で、もし指定範囲内にあるものに傷があった場合はそれを内部から破壊するという追加効果を持っている。俺たちはリビングメイルの群れに遭遇する度、アースニードルとソードブーメランのコンボで傷をつけ、エクスプロージョンで爆砕して始末していた。クリングフィートも使ってはいるが、あまり必要ないように思える。しかし、俺はどこか得体の知れない恐怖を感じていた。


「なんかあっさりしすぎてるんだよな……」


 俺はそう呟きながら風属性基本魔法【ウィンド】で煙を晴らす。そこにはもう、リビングメイルの姿はなかった。


「ここも一撃で終わりか……多分、この下の深さに強力なのが控えてるんだろうな……」


 俺はそう言って溜息を吐くと、ローディアスに案内を続けさせるのだった。



 そして辿り着いた深さ50。この深さに入った瞬間、俺は息苦しさを感じた。その息苦しさは奥に行くにつれて強くなってくる。瘴気や邪素が濃くなってきているのだ。


「この瘴気濃度……きっと相当ヤバい奴だ……」


 俺はそう呟いた。これだけ濃い瘴気があるということは、その瘴気に適応できるだけ強力なモンスターだ、ということだからな。


「おい、ローディアス。ここにどんなのがいるか分かるか?」

『申し訳ありません、主君。某は主に第3階層にいましたので……』

「知らないのか。じゃあしょうがない。」


 俺はそう言いながら、奥に杖の先端を向け、


「【セイントアロー】!」


 と唱えて聖の矢を何本か飛ばした。それは風を切りながらダンジョンの闇の中へと消えていく。そのまま数秒待ったが、何も起きなかった。


「さすがに当たらないか。」


 俺はそう呟くと、魔力探知を展開する。引っかかったモンスターは3体。1体はローディアスなので、この階層にいるのは2体だけらしい。


「1つの深さを任せられてるってことは、やっぱ強いんだろうな。魔術付与した武器でやった方が良いか。」


 俺はそう言いながら、ドラゴンスレイヤーを取り出す。それを見て、ユリアもゴールデンダガーを取り出した。


「ローディアス、どのくらい先に相手がいるか分かるか?」

『……ここから3km程進んだところです。いかがしますか?』

「こっちから行った方が良いだろ。案内の続きを頼む。」

『お任せください。』


 そう言って進むローディアスの先導に従い、俺たちはまた進み始めるのだった。



 そして、5分ほど歩いたところで俺たちは2体のリビングメイルとエンカウントした。漆黒の煌めきを持つ金属鎧と盾だ。鑑定してみたところ、金属鎧の方にはケンロウ、盾の方にはテッペキという名前があった。


「ユリアさん、奴らはネームモンスターです。」

「今までの戦法で行けますかね?」

「多分無理です。あの鎧も盾も防御特化タイプですから。」


 俺はそう言うと、1発ファイアボールを放つ。すると、テッペキの方がケンロウを守るように前に出て、ファイアボールを防いだ。その衝撃でファイアボールは弾け、燃え上がったが、テッペキの表面には傷一つない。


「やっぱこうなるよな……融かして倒すなら高熱のインフェルノだけど、ここでインフェルノ使ったら確実に天井が崩落するからな……」


 俺はそう呟くと、


「【フレイムバースト】!」


 と叫んで火炎流を放つ。しかし、これも防がれてしまった。


「これも完全防御とか魔術防御力が高すぎる……」


 俺はそう言うと、ユリアに、


「ユリアさん、こいつらは魔術師の俺とは相性が悪すぎます。武器で倒す準備をするので、その間相手をお願いしていいですか?」


 と聞いた。


「勿論です。でも、私1人で2体をですか?」


 ユリアはちょっと不安そうだ。


「5分でいいから時間を稼いでください。それとローディアス、お前も5分でいいから援護しろ。」

『お任せください!』

「よし、じゃあ頼みます。」


 俺はそう言うと、魔力の一点集中を始める。


「やるっきゃない!」


 ユリアはそう叫ぶと、ゴールデンダガーを取り出して、


「短剣術武技Lv3スキル、【高速斬撃】!」


 と叫びながらテッペキに斬りかかった。激しい音が響き、火花が飛び散る。すると、そこへケンロウがガシャガシャと音を立てながら近づいてきた。ユリアは咄嗟のことで反応できずにいる。危ない、と思ったその時、


『我が邪の魔力、我が敵を阻め! 【ダークマグネット】!』


 とローディアスの詠唱が聞こえた。それと同時にケンロウとテッペキの動きが止まる。邪の魔力で固定し、動きを封じたのだ。


『今です、ユリア殿!』

「はい!」


 ユリアはそう言うと、ゴールデンダガーをシルバーソードに持ち替え、連撃を繰り出した。激しく火花が飛び散る。そして、ユリアは大きく飛び下がると、


「【サクリファイス・スラッシュ】!」


 と叫び、テッペキに向かってもの凄い速さで斬りかかった。


 ――ガキイイイイン!


 今までとは違う、堅い音が響いた。見ると、テッペキの表面に斜めに抉ったような跡が付いている。サクリファイス・スラッシュがクリーンヒットしたらしい。


「やった!」


 ユリアが拳を握りしめてガッツボーズをする。そして、


「剣術武技Lv2スキル、【ブリングダウン】!」


 と叫びながら剣を振りかぶった。しかし、その刃がテッペキに届く前にケンロウが出てきて、腕の部分でテッペキを庇った。ケンロウはテッペキよりも硬いらしい。その証拠に、シルバーソードはブリングダウンの衝撃を跳ね返され、甲高い音を立てながらユリアの手から離れて天井に突き刺さってしまった。


「あっ!」


 ユリアはシルバーソードの柄に手を伸ばすが、当然ながら届かない。


『ガシャガシャ!』


 武器を失ったユリアにケンロウが襲いかかる。しかし、その攻撃が届く前にユリアは一瞬で俺の横まで戻ってきていた。【疾走】を使ったらしい。


「リチャードさん、まだですか?」

「あと1分です。」


 俺はそれだけ言うと、魔力の一点集中を続ける。


「わ、分かりました!」


 ユリアは再びゴールデンダガーを構える。そして、


「短剣術武技Lv2スキル、【ショックアタック】!」


 と叫ぶと、ケンロウに接近して、その右腕にゴールデンダガーの先端を向ける。すると、ケンロウの右腕が吹き飛び、爆発した。


「続けて、短剣術武技Lv1スキル、【スタッブ】!」


 ユリアはそう言うと、今度はケンロウの胸部にゴールデンダガーを突き刺そうとする。残念ながら刺さらなかったが、傷をつけることに成功した。そして、その瞬間、魔力の一点集中が完了した。


「ユリアさん、溜まりましたよ!」


 俺はそう叫ぶ。ユリアはすぐに戻って来た。


「じゃあ、後はお願いしてもいいですか?」

「ええ。ちょっと変な魔法ですけど、見ても幻滅しないでください。」


 俺はそう前置きすると、


「地の底に眠る汚泥よ、我が敵を縛る枷となれ! 【ラングドシャ】!」


 と唱えた。そして、息を大きく吸い込むと、口を少しすぼめて泥を発射するように吐き出した。ラングドシャは、その名の通りラングから土砂ドシャを吐き出すことができるようにする土属性魔術だ。見ようによってはちょっとヤバい人にも見えるので、普段使うことはないが、動きを鈍らせたい場合は効果抜群。実際、これでテッペキとケンロウの動きを鈍らせることに成功したしな。


「よし、チャンス!」


 俺はそう言って黒迅の魔槍の先端に一点集中した魔力を込め、


「槍術武技Lv1スキル、【突進突き】!」


 と叫びながら突っ込んだ。テッペキが防御しようと前に出てきたが、思いっ切り突き出したランスがいとも簡単に貫通。俺はそのまま勢いを弱めずにケンロウに向かっていき、ケンロウの胸部を串刺しにした。


「これで最後だ! 槍術武技Lv3スキル【スイングランス】!」


 俺はそう叫ぶと、テッペキとケンロウが刺さったままの黒迅の魔槍を振り回し、奴らの身体を壁に叩きつけた。威力は充分だったようで、テッペキもケンロウも粉々だ。


「殲滅完了。」


 俺はそう言うと、フライで浮かび上がり、天井に刺さっていたシルバーソードを抜いてユリアに渡す。そして、ローディアスに案内を続けさせるのだった。


【ダンジョンマスターが槍術武技を使用しました。槍術スキルをレベルアップします。】

【ダンジョンマスターのスキル数が20に達しました。称号【スキル収集家助手】を入手します。】

【ダンジョン第5階層までのモンスターを全て殲滅しました。幸運スキル(Lv5)を解放します。】

【死霊のダンジョン、第5階層を攻略しました。】

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:150

階層数:15

モンスター数:401

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         55体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       メディックウルフ     1体

       ポイズンウルフ      1体

       イルネスウルフ      1体

       ハルキネーションウルフ  1体

       フライングウルフ     1体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       アシュラベアー      1体

       キラーバット      10体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     25体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体

       ラングフィッシュ    10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:85→86

スキル:鑑定眼(Lv5)

    剣術(Lv5)

    鎌術(Lv3)

    槍術(Lv3→Lv4)

    杖術(Lv1)

    体術(Lv4)

    狙撃(Lv3)

    幸運(Lv5)

    疾走(Lv1→Lv6)

    壁走(Lv1)

    武器造形(Lv1)

    全属性魔法(上級)

    念話

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

    聖耐性

    邪属性無効

    地属性無効

    闇属性無効

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔術の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)

   ウェポンメイカー(武器造形成功率中上昇)

   影の支配者(闇属性魔術の威力中上昇)

   嵐神の加護(風、嵐属性の威力大上昇)

   強奪者の素質(倒した相手のスキル、称号奪取率小上昇)

   邪を祓いし者(浄化属性魔術の威力中上昇)

   神獣との契約者(戦闘勝率大上昇)

   スキル収集家助手(スキル獲得率中上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ウィンドナックル(レア、風属性物理攻撃可能)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

     神秘の破砕銃(URウルトラレア、神秘の聖銃の上級武器)

     黒迅の魔槍(URウルトラレア、闇属性能力及び筋力上昇)

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