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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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63.深さ21~29 冒険者の成れの果て③

『主君、ここからは厄介なモンスターが現れます故、今まで以上に警戒された方がよろしいかと存じます。』


 第3階層、深さ21のルートを半分ほど進んだところでローディアスがそう言った。


「なんでそう言い切れるんだ?」

『それは、この第3階層が全て冒険者の成れの果てのモンスターで占められていたからでございます。』

「グールだってゾンビだって撃破してきたんだから、寧ろ相手が減っていいくらいじゃないのか?」

『まだ1種、出てきていないモンスターがいるのです……』

「どんなモンスターだ?」

『スケルトンでございます。骸骨の如き風貌で、自らの身体の一部を用いて作成した武器を使用してきます。』

「身体の一部? ってことは、スケルトンは身体の一部が必ず欠損しているってことか?」

『それが……骨だけであるにも関わらず、異様なほどの回復力を有しておりまして、足1本くらいならば即座に再生してしまうのです。堅牢な骨の内部にある核を剥ぎ取らない限り……』

「それって逆に言えば、核を剥ぎ取れば倒せるってことだよな?」

『ま、まあ、そういうことになりますが……』

「じゃあ多分平気だ。」

『そんなにあっさり言えるものではありませぬ! ユリア殿だってそう思われるのではないですか?』

「え? わ、私ですか?」

「大丈夫だって。ですよね? ユリアさん。」

「ええー……」


 ユリアは泣きそうな顔で俺とローディアスを見比べる。


『危険だと思われますよね?』

「大丈夫だと思いますよね?」

「え、えっと……」

『危険でございますね?』

「大丈夫ですよね?」

「う、うう……うわあああああん!」


 ユリアは俺たちの圧力に耐えきれなくなったのか、泣き出してしまった。


「おい、ローディアス、ユリアさんが泣いちゃったぞ。」

『某のせいだと言いたいのですか、主君?』

「いや、そうじゃない。ただ、ユリアさんが泣いてしまったということをお前は理解していないみたいだから伝えただけだ。」

『そのくらいのことは理解しております!』

「なら、どうすれば良いかもわかるよな? エリートなんだから。」

『謝罪しろ、と言いたいのですか?』

「んなことだったらこんな回りくどい事はしねえよ。」

『でしょうな。主君でしたら某の頭を押さえつけ、無理やりにでも謝らせるでしょうし。』

「分かってるならもっとまともな回答をしろ。」

『……泣き止ませろ、と言いたいのですか?』

「そう。泣き止ませてあげてくれって言いたいんだ。」

『そのくらいならば朝飯前でございます。お任せ下さい、主君!』


 そう言うとローディアスはユリアに近付き、何かを囁く。するとユリアは、


「うわあああああああああん!」


 と先程より大きな声で泣き出した。


「おい、ローディアス! お前何言いやがったんだ!」

『主君が、泣き続けるようなら今すぐパーティを解散するぞ、と言っていると……』

「バカかお前は! この状況でそんなこと言ったら更に泣くってことぐらい容易に察しがつくだろ!」

『し、主君、どうか怒りをお鎮めください……』

「取り敢えずお前には制裁を加える。その場で歯を食いしばれ!」


 俺はそう言うと、ローディアスに平手打ちを喰らわせた。力はセーブしたつもりだったが、ローディアスは錐揉みしながら吹っ飛び、ダンジョンの壁に激突。壁にめり込んだ状態で気絶した。


「あの程度で気絶かよ……情けないな。」


 俺はこう呟いてから、


「【スリープ・ドリームモード・グレイト】!」


 と幻惑属性魔法の呪文を唱える。すると、ヒールフレイムの杖から青紫色の眠りの霧が飛び出し、ユリアを包み込んだ。咄嗟のことで対応できなかったユリアは、為す術なく眠りにつく。


「ふう……これで目覚めた時には泣いていたことも忘れてるだろうな。あとは取り敢えず、軽度結界でも張るか。【エアウォール】!」


 俺はそう唱えて空気で結界を張ると、ユリアの隣に座るのだった。



「ユリアさん、ユリアさん!」

「んん……むにゃむにゃ……」

「起きてください! ユリアさん!」

「むにゃむにゃ……はっ!」

「やっと起きてくれましたか。」

「んん……リチャードさん、私は何を?」

「ローディアスが瘴気吸収をしようとして、間違えて眠りの魔法を発動させてしまったんですよ。慌ててバリアを張ったんですけど間に合わなくて……申し訳ないです。」

「い、いえ! 守ろうとして頂けただけでも十分です! 悪いのはエリートゴーストの方ですし!」

「そう言って頂けると救われます。じゃあ奥に進みましょう。おい、ローディアス、いつまでのびてるつもりだ?」

『あと5時間程でございます。』

「ユリアさん、魔石を砕……」

『道案内を続けさせて頂きます! こちらへどうぞ!』


 ローディアスは慌てたようにそう叫ぶと、壁から抜け出して先導を始めた。



『ガシャガシャガシャ!』

「貫け! 【エアショット】!」

「剣術武技Lv1スキル、【スラッシャー】!」


 深さ29に到着した俺たちは、スケルトンの群れと戦闘していた。因みに、深さ21~28にはゾンビが数体いただけだったので簡単に突破できたのだが、スケルトンは核を剥ぎ取らない限り何度でも復活してくるので、なかなか数が減らない。


「リチャードさん、これじゃあ埒が開きません!」

「んー……仕方ない。バリアを張ります! ユリアさん、下がってください!」

「は、はい!」


 俺の言葉にユリアは返事をすると、後ろに下がる。


「よし、今だ! 激流よ押し流せ、【ウォーターデリュージ】!」


 俺がこう叫ぶと、膨大な量の水が杖全体から溢れ出し、スケルトンを瞬く間に押し流した。俺はその間に【サークルバリア・モード・パーフェクト】を無詠唱で張る。


「ふう、これで一息つけます。」

「このバリアって、効果時間はどのくらいですか?」

「15分が限界です。それと、この魔法は連続で使用ができません。最低でもクールタイムが5分は必要です。」

「じゃあ、このバリアが継続されている間に何か作戦を考えないと……」

「かなりヤバいですね。」

「ヤバいって言ってる割には落ち着いてませんか?」

「もう思いついてますからね。」

「え? もう思いついてるんですか?」

「ええ。1つ目は、俺が囮になって敵を引きつけている間にユリアさんが突破し、挟み撃ちにする。2つ目は、地道に1体ずつ粉砕していく。3つ目は、諦めて撤退する、です。」

「その中で選ぶなら、1つ目はあり得ません。論外です。リチャードさんが犠牲になってしまうかもしれないことなんてできません。」

「俺は別に平気ですけどね。まあ、ユリアさんが嫌だっていうならやりませんが。」

「じゃあやらないでください。」

「分かりました。じゃあ1つ目は却下ということで、2つ目か3つ目ですね。」

「そうなりますね。」

「この2つで考えると、3つ目はなんとなく勿体ない感じがしませんか? せっかくここまで来たのに撤退なんて……」

「でも、1体ずつ粉砕していくのは相当大変ですよ。まだ100体はいますし。」


 そう言って、ユリアは骨の棍棒や槍でバリアに攻撃を加えているスケルトンを指差す。


「確かにまだまだいますしね……」


 俺はそう言い、少し考える仕草をする。実を言うと、策はもう1つあるのだが、それはあまりしたくないのだ。かなり危険でもあるしな。


「ユリアさんは何か思いつきませんか?」

「うーん……斬っても復活してきちゃうから、私の奥義との相性が悪いですし……」

「あー、【サクリファイス・スラッシュ】だと犠牲にした分が無駄になる可能性、結構高いですね。」

「そうなんです。」

「じゃあ、気は進まないけどアレ・・しかないかな……」

「アレ? アレって何ですか?」

「ちょっと説明は難しいです。実際に見てもらった方が分かりやすいですから、そのことについては考えないでください。それより、ユリアさんは怖いの大丈夫ですか?」

「怖いのですか? 一応恐怖耐性を持ってはいますけど、耐性値を上回られると怖さを感じてしまいます。」

「んー、となるとちょっと怖いかもしれませんね。でも、我慢して貰えますか?」

「はい。できる限り頑張ります。」

「それと、もう1つ。俺が戦闘している間、何があろうと絶対に声をかけないでください。」

「気が散るからですか?」

「違います。声をかけられたら、俺はきっとユリアさんのことを傷付けてしまいますから。どんなに傷付けられても俺のことを信用し続けられる、俺に失望しない、そういう覚悟があるなら声をかけても構いませんが……まずそれは不可能でしょう。ですから声はかけないでください。」


 俺はそう言うと、闇の魔力をヒールフレイムの杖に込める。そして、


「これから俺が呪文を唱えたら、魔力供給が途絶えてバリアが消えます。そうしたら、俺は敵に突っ込みますので、その間、自分の身は自分で守ってください。」


 と言った。


「はい、分かりました!」

「あ、そうだ。ローディアス、お前もユリアさんを守っていてくれ。」


 ここまで全く話していなかった為、存在そのものを忘れかけていたローディアスに俺はそう声をかけた。


『お任せください、主君。某の全存在を賭けて、ユリア殿を守護いたします。』

「頼んだぞ。」


 俺はそう言うと、呪文を唱えた。


「闇よ、我が心を蝕め! そして我が力を解き放て! 【リミッターダークブレイク】!」


 呪文に呼応して、ヒールフレイムの杖から闇のオーラが噴出し、俺の身体をゆっくりと包み込み始める。それと共に、俺の中に眠っていた凶暴性が発現し、瞳が赤く輝いた。


「骸骨如き、いくら集まろうが雑魚でしかない。俺という存在を敵に回したこと、後悔しながら消滅するがいい!」


 俺は地の底から響くような低い声でそう叫ぶと、ドラゴンスレイヤーを構えてスケルトンの群れに突っ込む。向こうの攻撃を紙一重で躱して、骨ごと核をぶった斬る。パンチを繰り出し、肋骨ごと核を打ち砕く。そんな感じでスケルトンを屠っていると、奴らは近接戦では勝ち目がないと思ったのか、少し離れたところに集まり始めた。


「ククッ、魔術師相手に遠距離戦を挑むか、馬鹿どもが。集まったら魔術師にとっては格好の的であることも理解できないんだな。」


 俺はそう言うと、ドラゴンスレイヤーに聖と光の魔力を注ぎ込む。そして、


「その能なしさに敬意を表し、後悔する暇もない程の絶望を与えてやろう! 剣術武技Lv4スキル、【マッキンリースライス】!」


 と叫んで剣を振るった。すると、剣の切っ先から虹色の光線が幾重にも飛び出し、スケルトンの群れはあっという間にその光線によってバラバラに。核もしっかり砕けているらしく、復活してくる奴はいない。それを確認した俺は、魔法を解除した。するとその途端、全身が激痛に襲われ、俺は倒れてしまった。慣れないことはするものじゃないな。


「リチャードさん、大丈夫ですか?」


 駆け寄って来てユリアは俺にそう声をかける。


「この状態が大丈夫に見えますか?」


 俺はちょっと意地悪く返す。


「み、見えません……」

「なら、大丈夫ですかって言い方は適切じゃないですよね? まあ、別にいいですけど。」


 俺はそう言うと、立ち上がってローブを払う。


「え? な、何でもう回復してるんですか?」

「ああ、称号の効果で魔力がちょっと回復したので、【ハイヒール】で痛みを引かせたんです。まだダメージは残ってますけど、痛みはないので行動に支障をきたすことはありません。」

『主君、無茶は身体に毒ですぞ。』

「分かってるよ。それよりお前は道案内の続きをしてくれ。ただ、ゆっくりと頼む。」

『お任せください。この下、深さ30にはモンスターはいませんから、ゆっくりと案内できます。』


 そう言って進むローディアス。それを追う俺の脳内では、機械的な声が響いていた。


【ダンジョンマスターがLv4の剣術武技を使用しました。剣術スキルをレベルアップします。】

【ダンジョンマスターが自らの身を張りました。称号【気高き守護者】を入手します。】

【ダンジョンマスターの称号数が10に到達しました。称号【称号収集家助手】を入手します。】

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:150

階層数:15

モンスター数:401

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         55体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       メディックウルフ     1体

       ポイズンウルフ      1体

       イルネスウルフ      1体

       ハルキネーションウルフ  1体

       フライングウルフ     1体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       アシュラベアー      1体

       キラーバット      10体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     25体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体

       ラングフィッシュ    10体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

キャトル・エレイン・フィラー(吸血鬼、従業員)

セントグリフ・クレイティブ・カール(幽霊)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:56→59

スキル:鑑定眼(Lv4)

    剣術(Lv4→Lv5)

    鎌術(Lv3)

    杖術(Lv1)

    体術(Lv4)

    狙撃(Lv1)

    全属性魔法(上級)

    念話

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)

   霊の天敵(霊族モンスターへの攻撃力小上昇)

   瘴気喰らう者(瘴気系の悪影響中減少)

   気高き守護者(防御魔法の威力小上昇)

   称号収集家助手(称号獲得率中上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     神秘の聖銃(SRスーパーレア、邪属性に特効)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

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