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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第5章:マスターと依頼

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62.深さ17~20 冒険者の成れの果て②

「爆ぜろ! 【ファイアボム】!」


 深さ17。俺の呪文によって爆発が巻き起こり、熱風が吹き荒れる。そして、煙が晴れると、もう目の前にグールの姿はなかった。


「これで300だよな?」

『はい、これで300体。グール殲滅完了でございます。』

「お疲れ様でした。」

「いえ、ユリアさんがダンジョンの壁を魔力強化してくださったおかげでファイアボムが撃てたんですよ。助かりました。」


 俺がこう言うと、ユリアは、


「いえ、そんな……」


 と頬を赤らめた。


「これからもあの調子でお願いします。ローディアス、道案内の続き。」

『お任せください。こちらでございます。』


 ローディアスはそう答え、また進み始めた。その先導に従い、俺たちもダンジョン内を進むのだった。



『ん? この気配は……』


 深さ18~19にいたハイゴーストの群れを蹴散らして深さ20に入った時、ローディアスがそう言った。


「どうした? またいないはずの奴か?」

『はい。次はゾンビですね。本来は深さ25~27にいるはずなのですが……』

「何で腐乱死体ばっかりなんだよ……何体いるんだ?」

『ゾンビは合計個体数測定不能でございます。また、グールより強力でして……』

「戦闘能力がそんなに高いのか?」

『いえ。戦闘能力はグールと同程度でございます。』

「じゃあ、何が違うんだ?」

『スキルでございます。奴らの所持スキル【腐液】は、金属を溶かし、肉を腐らせ、骨を劣化させるという非常に厄介な性質を持っておりまして……』

「何だ、そんなことか。じゃあ、こいつらは体液に引き寄せられたりはしないんだな?」

『はい、そのような性質を持っているのはグールだけですので。』

「ならさっきより楽に行けるな。」


 俺はそう言うと、ユリアに向き直り、


「ユリアさんはゾンビについてどのくらい知っていますか?」


 と聞いた。


「ゾンビについて、ですか? えっと、呪術によって操られている死体のモンスターで、意思を持たずに彷徨い歩いているってことぐらいです。」

「んー、まあ正確には好き勝手に彷徨っているんじゃなくて、自らを操っている者の命令に従っているんですけどね。じゃあ、ゾンビの一番面倒な特性は何だか分かりますか?」

「わ、分かりません……」

「奴らはモンスターの中でもなかなかの知能を持っているんです。ですから、囲み込まれたりするんですよ。一斉に腐液を発射されたら、流石に避けられません。」

「リチャードさんでもですか?」

「俺は魔術師ですから、俊敏がそんなに高くないんですよ。たったの・・・・1万8000しかないんですから。」


 俺は俊敏の平均値を知らないのでこう言ったのだが、このセリフを聞いたユリアは途端に目をキラキラさせ始め、


「り、リチャードさん、それって本当ですか?」


 と興奮気味に聞いてきた。


「ええ。俺の俊敏は1万8000です。」

「す、凄すぎです! 1万8000なんて、私の俊敏の倍以上ですよ!」

「え? この程度でユリアさんの倍なんですか?」

「違います! 倍以上です!」

「それは別にどっちでも……それより、ちょっと鑑定させて貰ってもいいですか?」

「はい、どうぞ。」

「では、遠慮なく。」


 了承が取れたので、俺はユリアに向けて鑑定眼を使用する。


ユリア・エステル・ローレライ

種族:人間

職業:探索者シーカー

レベル:34

スキル:剣術(Lv7)

    短剣術(Lv3)

    投擲(Lv2)

    幸運(Lv5)

    疾走(Lv4)

    罠解除(Lv15)

    調理(Lv17)

    炎属性魔法(上級)

    氷属性魔法(上級)

    光属性魔法(中級)

    風属性魔法(中級)

    全属性魔法(初級)

    詠唱破棄

    邪耐性

    恐怖耐性

称号:一級探索者(索敵能力上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   マップメイカー(一度通った道で迷わなくなる)

   北極星の加護(方角を見失わない)

   トラップブレイカー(罠解除成功率中上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

状態:興奮

体力:9400

魔力:7000

筋力:420

耐久:970

俊敏:7600

抵抗:1130


「あー、確かに俺の方が俊敏値高いですね。」

「はい。私の俊敏も探索者の中ではかなり高い値なんですけど、リチャードさんの値はそこすら簡単に超越されていて……やっぱり凄いです……」


 うっとりしたような声で言うユリア。と、その時ローディアスが、


『主君! 奴らが来ましたぞ!』


 と叫んだ。咄嗟にダンジョンの奥に目を向けると、確かにゾンビが奇妙な呻き声のような聞くに堪えない音を発しつつ近付いてきている。


「もう来たのか……奴らは分類上呪系だから、弱点は浄化。取り敢えず一発撃つか。【クリーナップシャワー】!」


 俺がこう呪文を唱えると、ヒールフレイムの杖がレモン色に輝き、清き光が辺り一面に放射された。光をもろに浴びたゾンビたちは苦しそうな悲鳴を上げながら1体、また1体と倒れていく。


「ユリアさんも剣術武技をお願いします!」

「は、はい! でもちょっと時間が……」

「時間は俺が稼ぎます! ユリアさんは武技の発動に集中してください!」


 俺はそう叫ぶと、ドラゴンスレイヤーを取り出して構え、浄化属性を付与。そして、【フレイムウォールコーティング】を無詠唱で発動させ、ゾンビの群れに突っ込んだ。奴らが飛ばしてくる腐液はドラゴンスレイヤーで斬り払う。ドラゴンスレイヤーは通常の剣と違い、ジュエルドラゴンの鱗という希少な特殊素材で作成されている為、腐液がかかっても溶けることはないのだ。それ故、腐液を斬るという芸当が可能になる。背後からの腐液にはドラゴンスレイヤーでは対応できないが、それはフレイムウォールコーティングの熱量で蒸発するので、俺にはカスダメージすら通らない。二重の安心感に包まれたまま俺は次々とゾンビの首を刎ねていく。そして、30体程屠ったところでユリアが、


「来ました! リチャードさん、チャージ完了です!」


 と叫んだ。


「じゃあ、お願いします!」


 俺は大きく飛び下がり、フレイムウォールコーティングを解除してからそう言う。


「はい! 我が剣に来たれ、殲滅の豪炎! 剣術武技Lv7スキル、【メテオブーストスラッシュ】!」


 ユリアがそう叫ぶ。すると、ユリアのシルバーソードが赤く輝き、柄を除く剣全体が深紅の炎に包まれた。それをユリアは構え、


「疾ッ!」


 と叫ぶと同時にゾンビの群れに斬りかかり、炎に包まれた剣を振るう。斬られたゾンビは瞬く間に燃え上がり、灰と化した。だが、メテオブーストスラッシュの本領はまだ発揮されていない。剣が炎に包まれているのは凄まじい攻撃力を表すための演出とほぼ同じ。火力を上げ、破壊力を極限まで高める為にユリアはゾンビを敢えて斬っているのだ。


「ユリアさん、そろそろやってもいいんじゃないですか?」

「そうですね。では行きます!」


 ユリアはそう言うと、その場で高々と跳躍。そして、空中で剣を縦横に振り回した。すると……


 ――ゴオオオオオオオオオオオー!


 という凄まじい轟音と共に、ユリアの剣から燃え盛る隕石がいくつも飛び出した。それは、ユリアが空中で描いた剣筋と同じ軌道でゾンビの群れに突っ込んでいく。こんな攻撃に対応できる能力などないゾンビは、隕石から逃げるのが精一杯で、他の行動に移ることが出来ていない。


「俺も援護しましょうか?」


 俺は着地しても尚剣を振っているユリアにそう聞いたが、返事は、


「いえ、大丈夫です。そろそろアレ・・が発動しますから!」


 だった。


「なら周囲の補強だけしておきますね。【アースウォール】!」


 俺はそう呪文を唱え、ダンジョンの壁、及び天井を土で補強。そして、その2秒後。


 ――ズガアアアアアアアアアアアン!


 突如として轟音が響き渡り、煙が辺り一面に立ち込めた。ユリアの使った武技、メテオブーストスラッシュにより放たれた隕石がゾンビの群れの中で次々に爆発したのだ。そして煙が晴れた時、ゾンビの群れは俺たちの目の前から綺麗さっぱり消滅していた。


「さすがユリアさん。メテオブーストスラッシュ、素晴らしかったです。」

「あ、ありがとうございます! リチャードさんにそう言って頂けると、自信が溢れてくるみたいです!」


 そう言ってユリアは花が咲くような満面の笑みを浮かべた。


「ローディアス、この深さに他のモンスターの気配はあるか? 俺の魔力探知には引っかかってないけど。」

『……気配はありません。完全に殲滅できたようですな。』

「なら良かった。じゃあ……」

『道案内の続きですな?』

「ああ。じゃあ頼む。」

『はい。お任せください、主君。』


 ローディアスはそう言って先導を始める。俺たちはその後を追って、歩を進めるのだった。


【死霊のダンジョン、第2階層を攻略しました。】

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