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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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54.対レッドワイヴァーン 豪炎と煉獄

「さて、腹ごしらえは済んだようだな。」


 1時間後、戻って来たレッドワイヴァーンに俺はそう声をかける。


『む、なぜ貴様は我が食事をしてきたと知っている?』

「お前の牙についてる血を見りゃ一目瞭然だっての。レーザーホースを食ってきたんだろ? お前はここのレーザーホースが好物っぽいし。」

『我の好みを見抜くとは……やはりダンジョンマスターの能力は凄まじいのだな。』

「いや、お前この間ここに来た時もレーザーホース喰ってたじゃねえか。炎吐いてまで。あれ見てて分からない方がどうかしてると思うぜ。」

『ぬうっ……』

「ってか、あそこの草を復活させるのにどれだけ手間がかかったと思ってんだ、お前。人の住んでる土地の近くを勝手に燃やすんじゃねえよ。」


 俺は呆れ気味にそう言う。ルーアちゃんに大火傷を負わせたこいつのフレイムブレスは、この草原の草を1アールほど燃やしやがったのだ。別に俺が草を復活させる必要などなかったのだが、燃えたまま放っとくのはなんか気が咎めたので、DPを消費して草の種を適当に購入し、それをワームたちに運搬させ、灰に埋めさせた。すると、灰が肥料になったらしく、草原は意外と早く復活。しかし、モンスターへの指示に結構手間取ったのだ。


『クッ……正論を言われると無性に苛立ちが募るな。』

「生物は図星をさされると怒るというが、それは逆ギレってもんだ。まあ、お前が本気になってくれた方が俺は楽しいけどな。」


 俺はそう言いつつ、鑑定を発動。


レッドワイヴァーン ランクA+

名前:レッディル

保有魔力:???/???

称号:豪炎を制する者(炎属性の攻撃力大上昇)

スキル:フレイムブレス(ファイアブレスの上位互換スキル)

    マッハフライ(音速飛行を可能とするスキル)

    龍爪(爪を硬化するスキル)

状態:正常


 やはりどこぞの主とやらにダンジョン調査のため派遣されるだけあって、それなりに強いな。


「お前、称号持ちか。」

『む、鑑定をしたな? 話の途中で覗き見るとは、卑怯な奴め。詐欺師の才能があるな。』

「んなもんに興味はない。悪事は嫌いだ。それより質問をさせろ。スターライトを鑑定したときも思ったんだが、なんで保有魔力が見えないんだ?」

『貴様の鑑定眼スキルのレベルが低いのだろう。我々ドラゴン族の保有魔力の鑑定には、Lv10が必要だからな。』

「…………」


 俺は絶句した。Lv10も必要なんじゃ、俺のLvで見えないのは当たり前だ。


『無駄話で時間を潰すのはこの辺りにして欲しい。』

「ああ、分かったよ。じゃあ、戦闘と行こうか。ただ、ルールだけ確認させてくれ。」

『うむ。双方の命を奪わない、双方の仲間を狙わない、全力で戦う。これでいいか?』

「一つ追加だ。炎を吐いたりするのは構わないが、草を燃やすな。」

『……クッ、仕方ない。了解した。』

「じゃあ、上空でやり合おうか。」


 俺はそう言うと、フライを使用して空中へと飛び上がる。レッディルというらしいレッドワイヴァーンも追うように飛んで来た。


『いくらダンジョンマスターとはいえ、貴様は人間。先手は譲ってやろう。』

「余裕だな、お前。ま、そう言うなら遠慮なく。激流よ降り注げ、【アクアトピア】!」


 俺の呪文により、大量の水がレッドワイヴァーンに降り注ぐ。


『こんなもので我が怯むと?』

「思う訳ねえだろ。俺の攻撃はこれからが本番だ。全ての分子よ静止しろ、【ゼロケルビン】!」


 この呪文に呼応し、ヒールフレイムの杖から冷気が噴出する。それは降り注ぐ水を氷柱や氷塊に変えた。レッディルに突き刺さる氷柱、激突する氷塊。それらは少しずつだが確実にダメージを蓄積させていく。


『グオ……なかなかやるな、生活魔法と冷却魔法の混合如きでここまで……だが、我を倒すには及ばんな! 【ヴォルカニック】!』


 そうレッディルが叫ぶと、彼の全身から灼熱の炎が噴き出した。それは氷を瞬く間に溶かし、溶けた後の水すらも蒸発させる。凄まじい熱量だ。


「チッ、ゼロケルビンは使うべきじゃなかったか。威力の割に魔力消耗が大きいんだよな、あれ。俺の全魔力の0.07%も持っていきやがったし……」


 俺はそう呟く。まあ、この程度の魔力消耗は別に何ともないんだが、こいつと戦うには一撃に大きく力を入れておきたかったから、少しの消費にも気を遣ってしまう。


『あれを使って1%も魔力を消耗しないとは……やはり、貴様は面白い! この我をここまで熱くさせる戦いは、我が龍生でも初めてだ!』

「そうか、お褒めに預かり恐悦至極だ。まだまだ行くぜ!」


 俺はそう言うと、ヒールフレイムの杖をしまってドラゴンスレイヤーを取り出し、そちらに魔力を込めるのだった。



「行けっ! 【フレイムスラッシュ】!」

『迎え討て、【フレイムブレス】!』


 2時間後、まだ俺とレッディルの戦闘は続いていた。俺は魔力を2割以上消費、レッディルもブレスの為の体内熱量をかなり消費してしまったようだ。実際、今のも相討ち。双方が打ち消し合って、共に消滅した。


「なかなかやるじゃねえか、お前。」

『そう言う貴様もな。』


 俺たちはそう言いあいながらも、次の攻撃モーションに移る。


「燃やし尽くせ! 【フライファイア】!」

『斬り裂け! 【フレイムエッジ】!』


 豪炎を放射するが、レッディルが吐き出した炎が瞬時に刃の形となり、こちらの炎を斬り裂く。


「炎で炎が斬れるとか有り得ない……物理法則無視しすぎだろ、ドラゴンは……」


 俺はそう言いながらドラゴンスレイヤーを構え、炎属性の魔力を込めると、


「今度こそ決める! 剣術武技Lv1スキル、【スラッシャー】!」


 と叫んで横薙ぎに振るった。スラッシャーは本来、斬撃の衝撃波を前方に飛ばす武技だが、今は炎属性が付与されているため、飛ぶのは衝撃波だけではない。ドラゴンスレイヤーから飛び出したのは、半月状の形を成す炎。それはもの凄い勢いでレッディルに迫っていく。


『その程度で我は倒せぬぞ、ダンジョンマスター!』


 レッディルがそう言うと、途端に奴の爪が赤からメタリックな色合いに変わった。【龍爪】の効果なのだろう、いかにも硬そうだ。


『これしきの炎、受け止めてくれるわ!』


 叫びながら前足の爪をクロスさせ、迫る炎を止めようとするレッディル。だが、それこそ俺の思う壺だ。


「甘い! 【サンダークラッシュ】!」

『何っ?』


 俺の叫びに驚いたように声をあげるレッディル。だが、もう遅い。俺の放った雷の魔力が硬化している爪に直撃したのだ。そこから全身に電気ショックが走ったらしく、レッディルは身体を震わせる。その間に炎の刃が彼の身体に到達した。


『グオオオオオオオオオー!』


 鱗を斬り裂かれ、レッディルは悲鳴のような咆哮を上げる。今がチャンスだ!


「これで最後だ! 灼熱の炎よ弾けろ! 【インフェルノ】!」


 俺はとどめとなる呪文を叫ぶ。はっきり言って、この魔法は使いたくなかったのだが、この際仕方がない。それに、この魔法を使うということは、俺が大暴れできたということの証明のようなものだからな。


『グッ……負けるか! 【フレイムウォール】!』


 レッディルは慌てたように口から炎を吐き出し、壁を作り出して防御しようとするが、そんなものは障害にもならない。俺の使用した魔法、インフェルノはクラッシュ・キャッスル5発分と同じくらいの魔力を一撃で消費する程の犠牲を必要とする。その為、連発はほぼ不可能なのだが、その分威力は莫大だ。煉獄インフェルノの名の通り、この魔法で作り出した炎は対象を燃やし尽くすまで消えることはない。まあ、今回は威力を抑え気味にしたので焦げるくらいで済むだろうが。


「貫けっ!」


 俺の叫びと共に突撃していく特大の火球。それはあっさりと炎の壁を呑み込み、レッディルを包み込んで爆発した。


『グワアアアアアアアアアアアアー!』


 絶叫。そして、レッディルの巨体が地面に向かって墜落していく。俺は咄嗟に、


「【エアクッション】! 【ソフトアース】!」


 と唱え、まずエアクッションの効果でレッディルの落下速度を抑える。そして、ソフトアースの効果で柔らかくなった地面に彼の身体を降ろした。と、その時、またしても脳内に機械的な声が。


【ダンジョンマスターが剣術武技を使用しました。剣術スキルをレベルアップします。】

【ダンジョンマスターが高硬度の物体を砕きました。称号【破壊神の破砕腕】を入手します。】

【ダンジョンマスターの称号数が5に到達しました。称号【称号収集家見習い】を入手します。】

【ダンジョンマスターが最上級氷魔法、最上級炎魔法を戦闘で使用しました。称号【氷炎の支配者】を入手します。】


 なんか色々とあったが、俺は後で確認することにして、レッディルに声をかけた。


「さあ、負けを認めるか?」

『グウッ……仕方ない、認めよう。貴様の力は人間の域を明らかに超えているな。今の我では太刀打ちできん。だが、負けたというのに我は今とても満足した気分だ。』

「俺もだ。お前と全力で戦えた。俺が全力を出せる相手なんて今までいなかったからな。お前という好敵手と全力でバトルができた。それだけで満足だ。」

『同感だ。だが、貴様……いや、リチャード、汝は我に勝利した。戦利品を与えよう。』


 そう言うと、レッディルは身体を震わせて全身の真っ赤な鱗を振るい落とし、俺に渡してきた。


『もとよりそろそろ脱皮の時期であったからな。どうせ我は使わぬものだ。好きにしろ。すべて合わせれば少なく見積もっても1億ゴルド程の価値だ。』


 そう言うと、レッディルは、


『我の主の名はリーン・クレイティブ・カール。モータント大陸にある【ドラゴンの巣窟】のダンジョンマスターだ。主は自らの兄を人間に殺されてから人間族という種族そのものを憎んでいる。これからも度々汝に迷惑をかけてくるだろう。』


 と言って、少し申し訳なさそうな顔をした。


「成程な。まあ、迷惑をかけられたところで、それは構わない。良い暇つぶしになるからな。」

『……汝にとってはそうかもしれぬな。だが、主は容赦をせぬ龍だ。くれぐれも気を付けるのだな。』

「その忠告、ありがたく受け取っておこう。」


 俺はそう言うと、レッディルに近付き、


「お前とまた会えることを楽しみにしてるぜ、レッディル。」


 と言って、拳を突き出す。


『うむ。また全力で戦おうではないか。』


 そう言いながら、レッディルも前足を握り、俺の拳に軽く当てると、翼を広げて飛び立っていった。


「ご主人様! すっごく格好良かったです! やはりご主人様の戦っているときのお姿は素敵です!」

「リチャード様! 凄かったです! えっと、あの……とにかく凄かったです!」

「ありがとう、2人とも。俺も初めて全力を出せたし、気分が良いよ。あいつっていう好敵手ライバルにも出会えたことだしな。じゃあ、今度こそ帰るぞ。」


 俺はそう言うと、ドーイバイクに乗りこみ、ダンジョンの入り口に向けて進むのだった。


【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:37→50

スキル:鑑定眼(Lv2)

    剣術(Lv1→Lv2)

    鎌術(Lv1)

    杖術(Lv1)

    体術(Lv4)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)

   スキル収集家見習い(スキル獲得率小上昇)

   龍を討伐せし者(物理耐久力、回復力大上昇)

   破壊神の破砕腕(物理攻撃力大上昇)

   称号収集家見習い(称号獲得率小上昇)

   氷炎の支配者(氷、炎属性の攻撃力大上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     神秘の聖銃(SRスーパーレア、邪属性に特効)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

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