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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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51.帰路と強大戦力

「リチャード様、リチャード様がマスターをしているダンジョンはどんなダンジョンなのですか?」


 帰り道途中の山の中で、キャトルが急にそう聞いてきた。


「ティリ、説明頼んでもいいか?」

「はい。かしこまりました。ご主人様のダンジョンである【友好獣のダンジョン】は階層数14、深さ140の地底系ダンジョンで、ベースモンスターは魔狼族基本モンスターのウルフ。最強モンスターはキングモールのレア進化種であるジェネラルメタルモールです。他にもフレイムイーグルなどの鳥系モンスターやジャイアントワームなどの蟲系モンスター、更にはイートシャドウなどの死霊系モンスターまで、様々な種類のモンスターが配置されています。」


 さすがティリ。スラスラと答えてくれた。


「モンスター系統が統一されてないんですね。」

「ええ。ご主人様は常識にとらわれず、新しいタイプのダンジョンを作成なさったんです。」


 説明しつつ俺を褒めるティリ。やはりティリに褒められると素直に嬉しいな。そんな事を思っていると、


 ――グワアアアアアアアアアアアアー!


 という、おぞましい叫び声がどこからか聞こえてきた。


「な、何だ今のは?」

「え? 何がですか?」

「ティリ、聞こえなかったのか? なんか凄い雄叫びみたいなのが……」

「そんなの聞こえませんでした。キャトルさんはどうでしたか?」

「音は聞こえませんでした。でも、進行方向に凶暴な獣がいるのが見えます。」

「凶暴な獣? どんな姿か分かるか?」

「えっと……足が8本あって、うち2本を歩行に使い、残り6本を腕のように使っているクマです。」

「腕が6本の2足歩行グマ? 見たことないな。ティリ、そういうモンスター知ってるか?」


 こう俺が聞くと、ティリはコクッと頷いた。


「はい。この辺りの山を生息域にしている8本足の獣系モンスターなんて、1種しかいませんから。」

「なんて奴だ?」

「アシュラベアーです。アシュラベアーは常に2足歩行のクマ型モンスターで、三面六臂、即ち3つの顔と6本の腕を持っています。直径1mある大木をも倒してしまう6本の豪腕から繰り出される攻撃は防ぐのがとても難しいとされ、ギルドでは高額の討伐報酬が用意されていますね。内臓は薬の材料にもなります。ランクはAです。」

「Aランク? フライングドラゴンより高いじゃないか!」

「単純な強さだけじゃなく、敏捷性なども視野に入れて考えられたのがランクなので、ぶっちゃけあんまり強さとは関係ないです。まあ、アシュラベアーはそれなりに強いですけど。」

「それなりってどれくらいなんだ?」

「それなりはそれなりです。例えるならそうですね……シルヴァと互角以上の戦いができるかと。」

「うちの最強モンスターより強いのか……」

「まあ、ご主人様の敵ではないですよ。」

「買い被りすぎじゃないか? 俺はそこまで強くないよ。」

「きっと大丈夫です。それより、もう話してる暇はないみたいですよ。ほら。」


 ティリはそう言って前方を指差す。そちらを見ると、ここから200m程離れたところに、6本の腕を持つ茶色い生物が仁王立ちしていた。


「アレがアシュラベアーか。」

「はい。因みに、1回見つかったら逃げるのはほぼ不可能ですね。死角がほとんどないので。」

「そういうのはもうちょい早く言ってほしいんだけど……まあいいや。やり合うしかないよな。」


 俺はそう言うと、異次元倉庫からドラゴンスレイヤーを取り出す。そして、キャトルとティリを残してドーイバイクから降り、それに防御魔法をかけるとアシュラベアーと対峙した。


「グオオオオオオオオオー!」


 アシュラベアーは大きく咆哮をあげ、こちらを威嚇する。しかし、俺はそれを無視してそちらへと歩を進めた。すると、アシュラベアーは、


「グオオオオオオオオオー!」


 と再度咆哮をあげ、進路上にある邪魔な木を6本の腕で薙ぎ倒しながらこっちへ一直線にかかってきた。


「筋力ありそうだから接近戦だと不利だよな……まずは【フィールドバリア】!」


 俺は範囲防御の呪文を唱える。突っ込んできていたアシュラベアーは既に俺の前3mまで迫っていたが、発動した防御魔法により弾き飛ばされ、尻もちをついた。チャンスとばかりに俺は魔法を解除し急接近。そして、ドラゴンスレイヤーに光属性を付与すると、


「【フラッシュライトニング】!」


 と呪文を唱え、同時にドラゴンスレイヤーを振るった。すると、その魔法剣から三日月状の光が飛び出す。そして、それはアシュラベアーの顔面に当たり、激しく輝いた。


「グワッ!」


 アシュラベアーの悲鳴。そして、光が消えたとき、アシュラベアーの両目は真っ赤に染まっていた。目潰しが目的だったのだが、どうやら本当に目を潰してしまったようだ。


「これでいけるか。」


 俺が少し油断したとき、アシュラベアーが起き上がる。そして、それと同時に右側の3本の腕が俺に向けて振るわれた。


「うおっ? 危ねえ!」


 俺は咄嗟に地面に伏せて躱す。目を潰したはずだが、腕は明らかに俺の首筋を狙って振るわれていた。その時、俺はティリの説明を思い出した。


【アシュラベアーは三面六臂、即ち3つの顔と6本の腕を持っています。】


「顔が3つなら目は6つか……」


 俺は忌々し気にそう呟く。最初に正面の目を潰してしまった為、残りの顔の目を潰すのは難しくなった。俺の手法がバレたからだ。横に回り込もうとしても、常に相手は目が潰れた正面の顔をこちらに向けてくる。その上、向こうは的確にこちらの急所を狙って攻撃を与えることが可能。このままではジリ貧だ。


「どうするか……取り敢えず【サークルバリア・モード・パーフェクト】!」


 俺は一旦後退し、範囲防御の魔法を唱えた。フィールドバリアより防御力は上なので、少し考える時間を取ることができる。しかし、いい案が思い浮かばない。強靭な筋肉の鎧に覆われたあの身体を一撃で斬るのは不可能だろう。遠距離魔術は読まれ、防御される。近距離では敵の方が有利。どうすればいいのか。焦って考えがまとまらない。おまけにバリアはバチバチと火花をあげている。アシュラベアーが攻撃を加えているのだ。このままでは、バリアもそう長くはもたないだろう。


「こうなったら……危険だけどこれしかない!」


 俺はそう言うと、ヒールフレイムの杖を取り出し、思い切り叫んだ。


「【フレイムウォールコーティング】!」


 俺の呪文に呼応し、ヒールフレイムの杖が激しくフラッシュする。この魔法は自らの身体を炎で包み込む魔法だ。炎に包まれている間は自らの魔力と体力が削られていくが、筋力と耐久力が上がる。


「これでケリをつける!」


 俺はそう叫ぶと、バリアを消す。そして、アシュラベアーに突進した。アシュラベアーは一瞬怯む。その隙に俺はタックルを決めた。


「グオオオオオオオオオー!」


 アシュラベアーの絶叫が響く。俺の身体が纏っている炎によって、奴の身体も炎に包まれたのだ。奴はめちゃくちゃに腕を振り回す。しかし、それは俺には当たらない。今がチャンスだ!


「【正拳突き】!」


 俺は拳を握りしめると、思い切り腕を突き出した。その威力は凄まじく、4mを超える奴の巨体が吹き飛ぶ。


「グオオ……」


 アシュラベアーは弱々しい唸り声をあげる。ちょっと可哀想だが、ここで気を抜いたら殺されるのは俺たちだ。


「悪いが、お前を逃がす訳にはいかない。【フレイムトルネード】!」


 俺はとどめとなる呪文を唱えた。ヒールフレイムの杖から炎を纏った竜巻が飛び出す。それはゴウゴウと音を立てながら大きくなり、アシュラベアーを包み込んだ。この竜巻は対象が意識を失うまで消えることはない。普通の状況では意識を失うことを『気絶』というが、今の状況で意識を失うこと、それは即ち『死』だ。


「本当は穏便に解決したいんだけどな……」


 俺はそう言いつつソウル・ウォーサイズを取り出し、その刃をもう息はないであろうアシュラベアーの心臓部に突き刺した。すると、ソウル・ウォーサイズが虹色に輝き、同時にアシュラベアーの身体から白い光球が浮かび上がる。そして、その光球はソウル・ウォーサイズに吸い込まれ、俺の脳内には機械的な声が響いた。


【Aランクモンスター、アシュラベアーの魂を捕獲しました。】


「これで捕獲完了か?」


 俺はそう言いながら、ソウル・ウォーサイズを掲げて、


「【サモン・アシュラベアー】!」


 と叫ぶ。すると、ソウル・ウォーサイズが金色に輝き、俺の驚くほど近くにアシュラベアーが現れた。


「グオオオオオ!」


 アシュラベアーはそう吼えると、俺に向かって頭を下げる。どうやら敵意無しアピールをしているらしい。俺がフライを使用して浮かび上がり頭を撫でてやると、アシュラベアーは嬉しそうに6つの目を細めた。


「よし、お前の名前は【ベアゴロー】だ。いいな?」

「グオオ!」


 アシュラベアーは元気よく吼え、頷く。ベアゴローという名前が気に入ったようだ。


「じゃあ、一旦この中に戻ってくれ。ダンジョンに戻ったらまた出してやるから。」

「グオ。」


 ベアゴローはそう吼えて頷くと、空気に溶け込むように消えていった。俺はそれを確認すると、ドーイバイクの方に歩き出す。すると、その瞬間、脳内で機械的な声が一斉に話し始めた。


【ダンジョンマスターが武器を使用しました。剣術、鎌術スキルを解放します。】

【ダンジョンマスターが体術を使用しました。体術スキルを解放します。】

【ダンジョンマスターがモンスターを撃破しました。体術スキルをレベルアップします。】

【ダンジョンマスターが魂を浄化しました。体術スキルをレベルアップします。】


「ダンジョン外だとウィンドウ表示がアナウンスで脳内に流れるのか……」


 俺はそう呟くと、少し頭痛を感じながらも再びドーイバイクに向かい、防御魔法を解除する。すると、ティリが飛びついてきた。


「ご主人様! あんな危ないことはしないでください!」

「ごめん。でもさ、あのくらいしないと倒せなかったと思うよ。正拳突きの威力もあそこまで出なかったと思うし。」

「確かにそうですね。【正拳突き】は体術スキルLv1の技ですから。でも、何であの技を使えたんですか?」

「あの時脳内に技の名前とやり方が浮かんだんだよ。」

「戦闘中にスキルを獲得ですか? ご主人様は凄すぎます……」


 ティリは目を丸くしながらそう言った。


「まあ、もう邪魔する奴はいない。今度こそダンジョンに帰るぞ。」


 俺はそう言うと、ドーイバイクのエンジンをかけ、フェリアイルステップへと進み始めたのだった。



「リチャード様、ここにダンジョンがあるんですか?」

「うん。このフェリアイルステップにダンジョンがある。」


 10分後、俺たちはフェリアイルステップに到着した。


「やっぱりちょっと懐かしく感じるな。じゃあ、入り口に向かって……」


 俺がそう言ったとき、突如として何かの咆哮が聞こえた。


 ――グワアアアアアアアアアアアアー!


「またアシュラベアーか?」


 俺は慌てて辺りを見回す。そして、空を見上げて驚愕。


「れ、レッドワイヴァーンだと……?」


 フェリアイルステップの上空で、ルーアちゃんに大火傷を負わせたあの神速の龍が旋回していたのだった……

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:21→28

スキル:鑑定眼(Lv2)

    剣術(Lv1)

    鎌術(Lv1)

    体術(Lv3)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     神秘の聖銃(SRスーパーレア、邪属性に特効)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)

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