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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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50.紹介と朝食

「ご主人様、朝ですよ。お起きになってください。」


 翌朝、俺はティリに声をかけられて目が覚めた。俺の横ではユリアが丸くなって寝ている。


「ああ。おはよう、ティリ。起こしてくれてサンキューな。」

「いえ。この位の事は当然です。ところで……」

「ん? 何だ?」

「昨晩、なんか階下へ行かれたような気がしたのですが、何をなさっていたのですか?」

「え? 気付いてたのか?」

「はい。なんかご主人様が動く音が聞こえたので目が覚めました。」

「そうか、起こしちまってたか。悪かったな。」

「いえ。それより、何をなさっていたのか気になります。秘密のことでしたら仰らなくても結構ですが……」

「いや、秘密じゃない。丁度紹介しようと思ってたし。」


 俺はそう言うと、異次元倉庫を開け、


「キャトル、朝だぞ!」


 と声をかけた。すると、中から吸血鬼の少女、キャトルが顔を出した。


「恩人様、もう朝ですか?」

「うん。」

「人間の方は早起きなんですね。私たちはあと11時間後くらいに起きるんですが……」

「吸血鬼と人間は体内時計のできが違うだろうからそれは否めないけど、人間世界にさっさと馴染んだ方が良いと思うよ。」


 俺はそう言うと、ティリにキャトルを紹介する。


「ティリ、この子は昨日この家の台所に侵入してきた吸血鬼のキャトル・エレイン・フィラー。うちで働いて貰うことにした。」

「初めまして、妖精さん。キャトルといいます。よろしくお願いします。」


 そう言って頭を下げるキャトル。するとティリは、


「【アクアトピア】!」


 と叫んだ。キャトルに大量の水が降り注ぐ。


「え? キャッ! だ、【ダークシールド】!」


 キャトルは慌てて闇属性の魔法で防御し、ティリに文句を言った。


「きゅ、急に何をするんですか!」

「おお、私のアクアトピアを防ぐとは、なかなかやりますね。合格です。」

「どういうことですか?」

「ご主人様に仕えるに値する強さかどうか、試させて貰いました。私はご主人様の従者であり秘書である妖精のティリウレス・ウェルタリア・フィリカルトと申します。以後よろしくお願いしますね、キャトルさん。」


 そう言ってティリは優雅に一礼。


「ティリ、今日は殺意を向けないんだな。何かいい事でもあったのか?」

「いえ。私はご主人様の信念に従ったまでです。『仲間は無条件に信じるもの』ですよね? ご主人様が働いて貰うと決めたということは、キャトルさんは仲間ということです。だから、殺意を向ける必要はないかな、と。」

「ティリも俺の考え方を理解したか。偉いぞ。」


 俺はそう言ってティリを撫でる。いつものようにティリは顔を蕩けさせた。可愛い。


「んん……もう朝ですか?」


 こんなことをしていたら、ユリアが目覚めた。


「おはようございます、ユリアさん。」

「おはようございます、ユリア様。」

「あ、おはようございます、リチャードさん、ティリさん。」


 ユリアはそう挨拶してから、キャトルに目を向けた。


「リチャードさん、そちらの方は?」

「ああ、この子は昨日雇ったうちの従業員です。定職が無いって困ってたので、うちで働いて貰おうと思って。」

「初めまして。キャトルと申します。」

「は、初めまして。ユリアです。」


 ユリアは少し困惑していたが、取り敢えず挨拶。そして、


「リチャードさん、従業員ってどういうことですか?」


 と聞いてきた。


「ああ、俺の本職は冒険者ですけど、家で仕事もしてるんです。ちょっと人手が足りないので、人を探してたんですよ。」

「えっと、それはどんな……」


 ユリアはそう言いかけたが、すぐにハッとした顔になり、


「あ、すみません! 詮索はしないって言ってたのを忘れてました!」


 と謝ってきた。


「セーフです、ユリアさん。」

「よ、良かったです……あ、じゃあ朝ご飯を作りますね。キャトルさんは何か食べられない物とかありますか?」

「あ、いえ。特にありません。ニンニクはちょっと苦手ですが。」


 キャトルはそう答えた。やっぱり吸血鬼。ニンニクは大丈夫と昨夜言っていたが、やっぱり弱点だから気にしてるのかもしれないな。


「分かりました。じゃあ、ニンニクを使わないようにしますね。」


 ユリアはそう言うと、階下へと降りて行った。


「さて、じゃあユリアはいなくなったけど取り敢えず、【サウンド・シャットダウン】!」


 俺が唱えた呪文によって白く輝く壁が現れ、俺たち3人を囲った。これにより、俺たちの声は俺たち以外には聞こえなくなる。


「恩人様、これは?」

「ちょっと他の人に聞かれちゃまずいことを話すから。あと、俺の事を恩人様って呼ぶのはやめてくれ。」

「では、何とお呼びすれば?」

「そのことも含めて話させて貰う。俺はリチャード・ルドルフ・イクスティンク。フェリアイルステップにある、【友好獣のダンジョン】のダンジョンマスターだ。」

「え? だ、ダンジョンマスター?」

「私はダンジョン付きの妖精のティリウレス・ウェルタリア・フィリカルトです。今はご主人様のダンジョンである【友好獣のダンジョン】に住んでいます。」

「て、ティリウレスさんもダンジョン関係者なんですか?」

「そう。ティリはサブマスターでもある。で、キャトルには今日からダンジョンで働いて貰うよ。別に危険なことは言わない。血も定期的にあげるし、別途給料も支払う。それ以外に、外出したいときは言えば許可する。他にも待遇に不満があったら、できる限り対処するよ。」

「お、お仕事の内容は……」

「色々あると思うけど、具体的な内容はダンジョンに着いてから考える。まあ、それは兎も角、ダンジョンで働くのは怖い? 働きたくないなら断っても構わないよ。昨日の血の対価ってことは考えないでいいから。」

「断ったら公開処刑に?」

「しない。危害は加えないから、自分の気持ちを優先して。」


 俺がこう言うと、キャトルは少し考えるような仕草をした後、


「結論を出しました。」


 と言った。


「どっち?」

「リチャード様のダンジョンで、働かせて頂きます。」

「理由は?」

「リチャード様は、見ず知らずの私に血をくださいました。また、職も提供してくださると仰いました。それだけでもありがたいのに、更に私に選択肢をくださいました。そんな優しい雇用主は、あなたを除いて他にいないと思います。ダンジョンが怖くないと言ったら嘘になりますが、一生懸命頑張ってみたいんです!」

「OK。しっかり考えたみたいだね。じゃあ、これからよろしく。期待してるよ。」

「はい!」


 キャトルはしっかりと頷いた。と、そこへユリアが戻ってきた。俺は慌てて魔法を解除する。


「リチャードさん、ティリさん、キャトルさん、朝ごはんができました。」

「ありがとうございます、ユリアさん。」


 俺はそう言うと、ティリを肩に乗せて階段を降りる。キャトルも俺に続いた。



「今朝も凄いですね……」

「張り切りすぎました。ちょっと作りすぎちゃったかもしれません。」


 そう言ってはにかむユリア。ダイニングテーブルには昨晩同様、料理が所狭しと並べられている。


「冷めないうちにどうぞ、召し上がってください。」

「はい、頂きます。」


 俺はそう言ってフォークを手に取る。と、その時、妙なことに気付いた。キャトルの前のフォークとスプーンだけ、銀製ではなく木製なのだ。


「ユリアさん、何でキャトルのだけ木製なんですか?」

「え? だって、キャトルさんは吸血鬼でしょう? 朝日を浴びても平然としていらっしゃったので、弱点は克服してるのかも、と思ったんですが、ニンニクが苦手だと仰っていたので、なら銀製品も使わない方が良いかな、と思いまして。」

「お、お気遣いありがとうございます。」


 キャトルはそう言うと、木製のフォークとスプーンで料理を食べ始めた。


「うわあ……すごく美味しいです! これはきっと宮廷でも通用する味ですよ!」


 ユリアの料理を褒めるキャトル。吸血鬼の口にも合うんだな。 


「お口に合ったようで何よりです。おかわりもありますから、もっとどうぞ。」


 昨日と同じセリフを言うユリア。俺たちはそれに応え、食べ進めるのだった。



「ユリアさん、お世話になりました。俺がクエスト受ける時は、取り敢えず伝えに来ますので。」

「はい。あ、でも、私がダンジョン探索クエストを受ける時は、どうすれば良いですか? リチャードさんのお家を私は知りませんから……詮索はできないですし……」

「ああ、心配ありません。手紙を書いて、ケインさんに渡してください。あの人なら、俺の元に手紙を届けてくれますから。」

「ケインはリチャードさんのお家を知ってるんですか?」

「あの人は郵便局長ですからね。この辺の10の街全部に郵便物届けてるっていう立場上、名前見れば家が分かると思います。」

「……何か釈然としませんが、分かりました。じゃあ、リチャードさん、また今度お会いしましょう!」

「はい。ありがとうございました、ユリアさん。」


 俺はそうユリアに言うと、キャトルをドーイバイクに乗せて、ダンジョンへの帰路につくのだった。


 

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:21

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

    呪耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:アイアンナイフ(ノーマル、鉄製のナイフ)

     ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

     神秘の聖銃(SRスーパーレア、邪属性に特効)

     ソウル・ウォーサイズ(SSRダブルスーパーレア、死霊系に特効)

     ドラゴンスレイヤー(SSRダブルスーパーレア、全属性対応)


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