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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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45.鍛冶屋の悩み

「いいかげん出て行け!」


 ヤスパースに入り、ルキナスさんの友人であるヨーゼフさんの店、ガートン鍛冶屋に到着した瞬間、中からそんな怒鳴り声が飛んで来た。


「何かあったのかな?」


 そう言うと、ティリは俺の目の前まで飛んで来て、


「ご主人様、街で厄介ごとに巻き込まれるのは危険ですよ。」


 と警告してきた。


「でもさ、ヨーゼフさんは俺の正体知ってるよ。だから大丈夫じゃないかな?」

「じゃあ、ジャンケンで決めましょう。私が勝ったら今は入らない、ご主人様が勝ったら今入るってことで。」

「分かった。」


 俺たちはジャンケンをする。結果、ティリがパーで俺はチョキだった。


「俺の勝ちだな。じゃあ入るぞ。」

「はい。残念です。ご主人様はグーを出すと思ったんですが……」


 そう言うティリを肩に乗せ、俺はガートン鍛冶屋に入る。すると、そこには、


「だから、出て行けと言っとるんだ! さっさと出て行け!」


 と顔を真っ赤にして怒鳴っているヨーゼフさんがいた。その視線の先には、眼鏡をかけた剣闘士スタイルの男が1人。


「何でだよ! ここで買った武器はいつでもメンテナンスしてくれるんだろ? だったらリメイクだってしてくれてもいいじゃねえか!」

「俺がするのはメンテナンスだけだ! リメイクしたいなら自分でしろ! このクズ剣闘士が!」

「あぁ? 誰がクズだ! このB-ランク、一級剣士の俺様に舐めた口ききやがって! もう我慢ならねえ! テメェの首、今すぐ刎ねてやる!」


 そう言うなり、腰の長剣を抜いて斬りかかる男。このままではヨーゼフさんが危ない。そう思った俺は咄嗟に、


「【スキンメタル】!」


 と肉体強化の呪文を唱えて皮膚を硬化させると、ヨーゼフさんと男の間に腕を突っ込んだ。ガキンッと金属的な音が響き、俺の腕に男の振った長剣が当たる。


「なっ?」


 男は驚きの声をあげる。まあ、腕に剣の刃が止められたんだから当然か。


「何だテメェは!」

「俺は客ですよ。この鍛冶屋の。」

「だったらテメェには関係ねえだろ! すっこんでろ!」

「まあまあ、何があったのかくらいは話してくれてもいいじゃないですか。」


 俺がそう言ってちょっと睨むと、男は少し気圧されたような顔をして話し出した。


「俺はこの間、この店でミスリルソードを買ったんだがな、刃が短くて使い勝手が悪いんだ。だからこの店で使いやすいようにリメイクして貰おうと思って来たんだが……」

「俺の作った武器にケチをつけるな! そもそも、そのミスリルソードは貴様が求める刃の長さを聞いて特注で打ってやったのだぞ!」

「店主がこの調子でよ。」

「はあ、そうですか。ちょっと見せて貰いますね。」


 俺はそう言うと、そのミスリルソードを鑑定。


【ミスリルソード(優)】 アイテムレアランク:SRスーパーレア

非常に斬れ味の良いミスリル製の長剣。所持者に刀剣抵抗をもたらす効果があり、刃の長さも適正である逸品。


「とてもいい武器だと思いますよ。刃の長さも適切ですし。」

「んな訳ねえだろ! 俺様に扱えねえ武器がいい武器だと?」

「そう言っていますけど?」

「そんなはずねえ! この一級剣士の俺様に扱えねえこの長剣がいい武器な訳があるか!」


 わめく男。こいつ、自分が使いづらい武器はいい武器じゃないと思うとか、自意識過剰すぎる。イラついたので俺は口調を敬語状態からいつもの状態に戻すことにした。


「……呆れたな。」

「あ?」

「呆れたっつったんだよ。お前みたいなクズ野郎が一級剣士だ? 笑わせる。武器にケチ付ける前に自分の実力を疑え、この能なしの口たたきが。」

「んだと? 生意気な野郎だな! 俺の名も知らねえくせに!」

「品性に欠けるな、クレイジー野郎。相手のことを知らないで喧嘩を売るバカな冒険者なんて、一級以上のランクにはいやしねえよ。まあ、一級剣士だなんて嘘を吐くお前はそうじゃないんだろうがな。」

「んなっ?」

「お前の名前はグレイス・ロスト・ロトムだろ。Lvは12だから、まだ一級の域はおろか、二級の域にすら達していない。お前がその剣を扱えないのは剣が悪いんじゃない。お前の腕が悪いんだよ。」

「な、何でそのことを……」

「俺からしたら相手の情報を知るくらい簡単なことだ。方法は企業秘密だがな。兎に角、武器にケチ付けてる暇があるなら、自己鍛錬でもしてろ。一級剣士や大剣士になれる奴ってのは、自分の実力を過信したりしない。常に上を目指して、今この瞬間も寸暇を惜しんで努力してる奴なんだよ。武器が悪いと決めつけて鍛冶屋に文句垂れ込んでるお前は、その時点で負け。残念だったな。」


 俺がこう言い放つと、男、グレイスは顔を真っ赤にして怒鳴った。


「うるせえ! このヘボ魔術師! 死ねっ!」


 そう言ってミスリルソードを振るうグレイス。だが、俺はその剣筋を見切って躱す。反撃はしない。ひたすら回避に専念する。


「クソッ! 何で! 何で当たらない?」

「腕が悪いっつっただろ。聞いてなかったのか?」

「うるせえ! 黙れ!」

「五月蝿いのはお前だ。」


 俺はそう言うと、スキンメタルで再び皮膚を硬化させ、ミスリルソードの刃を掴む。そして、


「一級探索者シーカーの剣術武技と比べたら、お前の剣撃なんざ児戯より低レベルだ。その程度の実力で俺を怒らせたらどうなるか、身をもって思い知れ。」


 と言い、ファイアボールを発動。あっという間も無く、グレイスの身体が炎に包まれる。そして、炎が消えたとき、グレイスは見るも無残な姿で転がっていた。突っついたらピクッと動いたから、死んではいないな、うん。


「ティリ、ちょっとここで待っていてもらえるか?」

「ご主人様はどちらへ?」

「ちょっとレオナルドさんのところまで。」


 俺はそう言うと、拘束属性魔法【チェーン・バインド】でグレイスを縛り上げ、【フライ】で浮かすと領主の館へと向かった。



「リチャードさん、犯罪者捕縛お疲れ様です。しかし、なぜここへ引っ張ってきたんですか?」

「俺、この街で警吏がいるところ知らないんですよ。身分上、会いたくも無いですし。だから、取り敢えずレオナルドさんのところへと思って。」

「まあいいですが。今回は鍛冶屋に斬りかかった、即ち殺人未遂になりますので、こちらで罪状をまとめてポリスセンターに送致しておきます。」

「じゃあ、よろしくお願いします。」


 俺はそう言うと、領主の館を後にし、再びガートン鍛冶屋へと向かったのだった。



【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:19→21

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

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