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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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43.提供と懇願

「まさか生きているうちにミスリル貨を持つことができるなんて、夢のようです……!」


 ギルドから出た瞬間、ユリアはそう言った。夢のようだなどと言ってはいるが、その表情は落ち着いている。声音も普通だ。


「ユリアさんはそのミスリル貨、何に使うんですか?」

「装備の新調に使います。今回のダンジョン調査で剣もナイフも無くなってしまいましたから。リチャードさんは何にお使いになるんですか?」

「俺も装備の新調ですね。このルビーの杖を使っていると、どうしても使用する魔術属性が炎に偏りがちになっちゃいますので。」

「ということは、やっぱり杖を?」

「いえ。近接戦闘用の武器を持っていない状態で、もし魔術耐性の高いモンスターとエンカウントしてしまったら、ユリアさんを危険に晒してしまいますよね? ですから、今回は剣も視野に入れています。」


 俺が微笑むと、ユリアは少し頬を赤らめた。ティリ程ではないが、ちょっと可愛い。


「まあ、でも俺は魔術師ですから、杖も新しいのを買います。ルビーの杖と融合させれば2つの属性の威力が上がりますから、より有利に立ち回れますし。」


 ルキナスさん曰く、杖は素材が同系の物であれば融合が可能らしい。即ち、ルビーの杖の素材は宝石なので、同じ宝石、例えばエメラルドやトパーズでできた杖となら融合させることができるのだ。そして、融合前の杖の効果は融合後も受け継がれる。つまり、ルビーの杖を嵐属性魔法の威力が上がるエメラルドの杖と融合すれば、炎と嵐の2属性の威力を上げることができる、ということになるのだ。


「魔術基本72属性で考えると、炎と相性が良いのはやっぱり嵐なんですよね。しかし、相手の意表を突くという点で考えるなら氷もアリですから、杖はエメラルドかアクアマリンの物を購入しようと思っています。」


 俺がこう言うと、ユリアは、


「リチャードさんは、治癒属性魔法をお使いにならないのですか?」


 と聞いてきた。


「いえ、使いますよ。治癒術師ヒーラー程高い技術はありませんが、多分、内臓の欠損とか心臓破裂とか脊椎骨折くらいだったら治癒できます。」


 俺がこう答えると、ティリがボソッと、


「まず、その時点でご主人様の技術は治癒術師を超越しているんですけどね……」


 と呟いた。


「り、リチャードさん、それ本当ですか?」

「ええ。試したことはないですけど、俺の保有魔力量から考えると、そのくらいは余裕です。」

「勿論シトリンの杖とかねじれた杖とかを使って威力をあげて、ですよね?」

「まあ、そういうのを使えばできるでしょうけど、このルビーの杖でもできますよ。こんな風に。」


 俺はそう言うと、ルビーの杖で自らの左胸を突き刺し、同時に呪文を唱えた。


「【ハイパーヒール】!」


 呪文に呼応して、ルビーの杖が金色に輝く。そして、一瞬の後、俺の傷は完治していた。ルビーの杖は胸から抜けて、地面に転がっている。


「信じて頂けましたか?」


 俺が聞くと、ユリアは、


「は、はい……リチャードさんは随分思い切ったことをなさるんですね……」


 と、ちょっと引き気味の顔になりながら言った。しかしその後、すぐに真面目な顔になり、


「リチャードさん、これを受け取って頂けませんか?」


 と言って、マジックポーチからシトリンの杖を取り出し、俺に差し出してきた。


「これはシトリンの杖ですか? なぜ俺に?」

「リチャードさんが持っていた方が、これは役に立ちます。私は治癒属性に適性を持っていないので、それを持っていてもかすり傷が治せるかどうかといった感じで、完全に宝の持ち腐れ。しかし、リチャードさんは心臓を貫いても瞬時に回復させる程の治癒魔術が使えます。となったら、この杖はリチャードさんが持つのが自然です。どうか、受け取ってください!」


 そう懇願してくるユリア。断る理由も無いし、貰っておくか。


「分かりました。ありがとうございます、ユリアさん。」


 俺はそう言って、ユリアからシトリンの杖を受け取る。そして、ルビーの杖を拾い上げると、2つの杖をクロスさせて、


「【フュージョン】!」


 と唱えた。呪文に呼応し、2本の杖は激しくフラッシュする。そして、それらは融けるように形を変えて混ざり合い、融合して1本になった。俺は早速鑑定。すると、


【ヒールフレイムの杖】 アイテムレアランク:レア

ルビーの杖とシトリンの杖が融合した杖。炎属性魔術と治癒属性魔術の威力が上昇し、更に所持者に【炎耐性】と【毒耐性】のスキルを与える。


 と表示された。表示と言っても、俺にしか見えていないが。


「おお、いい効果だ……」


 俺がこう呟くと、ユリアは目を丸くした。


「ん? どうしました?」

「り、リチャードさんは鑑定眼持ちなんですか?」

「え、ええ。そうですが……」


 こう答えると、ユリアは目を輝かせた。


「凄いです! まさか10万人に1人の確率でしか発現しないレアスキル、鑑定眼を持っているなんて……」

「いや、これはそんなに役に立ちませんよ。せいぜい今みたいにアイテムの効果を見るくらいしかできませんし。」

「それでも凄いです! あの、リチャードさんはご家族がいらっしゃったりしますか?」

「家族ですか? なんでまた急にそんなことを?」

「えっとですね、もしよろしければ今日は私の家に泊まっていって貰えないかと思いまして……あ、勿論お金は取りません! 夕食もお出しします! ですから、どうか……」

「なぜですか?」

「リチャードさんと、もっとお話をしたいんです。あ、勿論詮索はしません。リチャードさんが今までに会ったモンスターのことなどを聞いてみたいだけです。ですから、お願いします!」


 この子、お願いの仕方が上手いな。絶対に断れなくしてくる。


「分かりました。では、お言葉に甘えさせて貰います。ティリもいいよな?」

「ご主人様の望むままに。」

「じゃあ今夜お世話になります。ただ、今日俺はヤスパースに用がありまして……」

「でしたら、用が済んでからお越しください。私の家はここですので。」


 そう言って、ユリアは羊皮紙に住所を書き込み、俺に渡してきた。


「はい。分かりました。」


 俺はそう返事をして微笑みながら、ユリアは人を疑うということを知らなそうだな、と思い、ひそかに溜息を吐くのだった。


【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:19

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

    炎耐性

    毒耐性

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:ヒールフレイムの杖(レア、炎属性魔術と治癒属性魔術の威力上昇)

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