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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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42.ギルドマスターと報告

「そろそろ45分経ちますね、ユリアさん。」


 俺はユリアにそう声をかける。因みにティリはハチミツの壺の横で眠ってしまったので、肩に乗せておいた。


「そうですね。そろそろ面会が終わってもいいはずですが……」


 そうユリアが言うと、待機室のドアが開き、レナさんが入って来た。


「リチャードさん、ユリアさん、お待たせしました。ヴェトルの面会が終了しましたので、ギルドマスター室へご案内致します。」


 レナさんはそう言うと、俺たちを【ギルドマスター室】というプレートのかかったドアのある部屋の前まで案内し、ドアをノック。すると、中から渋い声で、


「誰だ?」


 という返答があった。


「レナ・ルー・ミウです。フェリアイルステップに突如として出現したダンジョンの調査に行っていらっしゃいましたB+ランクの一級探索者シーカー、ユリア・エステル・ローレライ様をお連れしました。ダンジョンを発見なさいましたAランクの大魔術師、リチャード・ルドルフ・イクスティンク様もいらっしゃいます。」

「おお、ユリアとお前が専属担当受付の大魔術師か。分かった。入れ。」

「失礼致します。」


 レナさんがそう言ってドアを開けると、そこには黒い軍服のようなものを着た威厳のある男性がいた。部屋の中には執務机と椅子、それにソファがあるのだが、壁に寄りかかって腕を組んでいる。


「よく戻ったな、ユリア。無事で何よりだ。」


 その男性はユリアの方を向いてそう言うと、今度は俺の方を向いて、


「君と会うのは初めてだな。私はこのウェーバーギルドのギルドマスター、ヴェトル・カリス・ティグルという。以後よろしく頼むぞ。」


 と言って、笑顔で右手を差し出してきた。


「ああ、これはどうもご丁寧に。リチャード・ルドルフ・イクスティンクです。」


 俺も右手を出して握手を交わす。ヴェトルさんは握手が終わると、不意に真面目な顔になって、


「君のことは何と呼べばいい?」


 と聞いてきた。


「ん? どういう意味ですか?」

「いや、愛称やニックネームで呼ばれるのが嫌いな人物もいるからな。もし君がディックと呼ばれるのが嫌だった場合、私と話す度に不快な思いをさせてしまうだろう? だから呼び方を決めておいた方が良いと思ってな。」

「ああ、そういうことですか。お気遣いありがとうございます。じゃあ、リチャードでお願いします。」

「うむ。では君はリチャードと呼ぶことにしよう。」


 ヴェトルさんはそう言って1人でうんうんと頷く。そして、レナさんの方を向くと、


「ご苦労だったな、レナ。今日はもう上がっていいぞ。」


 と言って、軽く頭を下げた。


「では、失礼致します。」


 レナさんはそう言うと、一礼して出て行った。


「さて、ではユリア、報告を聞こうか。」


 そう言いながら、ヴェトルさんは執務机の向こうの椅子に座ると、俺たちにも着席を促す。


「では、失礼します。」


 ユリアはそう言ってソファに座ると、マジックポーチから巻いてある羊皮紙を取り出して報告を始めた。


「今回フェリアイルステップに出現したダンジョンは、非常に難易度が高いものと思われます。深さは少なく見積もっても30。また、ダンジョン内に入った瞬間、体が重くなった感じがしました。恐らく、全体トラップで重力が1.3倍程になっているかと。」

「ふむ……他には?」

「ダンジョンに入ってすぐのところに宝箱が4つあります。取り敢えず開けてみたところ、ダッシュシューズ、スラッシュプラスジルコン、シトリンの杖、スタンボールが出てきました。ダッシュシューズで増加した身体の重さを相殺できましたので、あそこの攻略には何らかの体を軽くできるマジックアイテムを持っていった方が良いでしょう。」

「ふむ……内部の構造はどうであったか?」

「横道は多く存在しますが、メインの通路は比較的分かりやすいです。横道も調査できればよかったのですが、今回はメインの通路しか見ていません。これが地図です。」


 そう言って、ユリアは巻いてある羊皮紙を差し出す。ヴェトルさんはそれを開くと、


「ふむ、いつもながら綺麗な地図だな。」


 と言い、羊皮紙を巻きなおして引き出しにしまった。そして、


「モンスターの種類はどうだった?」


 と報告の続きを促す。


「深さ1~深さ6にはブルースパローとブルースワローがいました。10分に1回は確実にエンカウントするくらいですので、少なくとも合わせて30羽はいるかと思われます。あとは……魔狼族基本モンスターのウルフと第二進化種のフレイムウルフ、それからウォータークジャク、ジャイアントワーム、プレデターラビットです。」

「鳥系に獣系に蟲系か……モンスター系統の統一性が無いとは珍しいな。他に何か気付いた点はないか?」


 ヴェトルさんがそう聞くと、ユリアはチラッとこっちを見た。俺はコクリと頷く。


「ヴェトルさん、そこから先は俺が言います。」

「リチャードがか?」

「はい。ユリアさんは深さ10でウルフの群れとジャイアントワームの挟み撃ちに遭い、撤退せざるを得なくなってしまったらしいんですが、俺はそれより前にソロで潜っていて、深さ25まで行っていましたから。」

「ほう、では何か追加情報を持っているのだな?」

「ええ。深さ10と深さ11の間の通路、また深さ20と深さ21の間の通路に厚い土壁がありました。あのダンジョンは階層の分かれ目ごとに土壁があるようです。風魔法では傷一つつかないので、破壊にはかなり時間がかかりました。あとは……ビッグワーム、ファイアウルフ、ウォーターウルフ、ソイルウルフ、イートシャドウがいたってことぐらいですね。」

「ふむ、死霊系までいたのか……ユリア、リチャード、これを踏まえてあのダンジョンの名やランクを決めたいのだが、何か案はあるか?」


 ヴェトルさんのこの問いに、俺は即答した。


「B+ランクのユリアさんが第1階層すら完全攻略できないのですから、Aランクダンジョンに指定するのが良いかと思いますが、俺がソロで深さ25まで潜れたことも視野に入れて考えると、Cランクダンジョンにしても大丈夫だと思います。参加絶対条件をパーティメンバー3人以上と指定すれば、Cランクでも十分戦えるかと。それと、名前ですが、ユリアさんはフレイムウルフに見逃して貰う形で撤退したらしいので、少々インパクトには欠けますが、【友好獣のダンジョン】と名付けるのはどうでしょう。」

「Cランク、友好獣のダンジョンか。なかなか良いではないか。では、それでいくことにしよう。」


 ヴェトルさんはそう言うと、


「ユリア、リチャード、ご苦労だったな。これは報酬だ。」


 と言って、ミスリル貨を2枚渡してきた。


「こ、こんなに良いんですか?」


 ユリアが驚きの声をあげる。しかしヴェトルさんは、


「お前たちの苦労には見合わないかもしれんが、これは正当な報酬だ。」


 と言うだけ。ヴェトルさんは冒険者の努力を評価する立派な人物だと思った瞬間だった。

【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:19

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:ルビーの杖(レア、炎属性魔術の威力上昇)

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