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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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40.報告前の一幕 ジャック、ビル、ボブ

「ふう、到着しましたね。」


 俺はそう言うと、エンジンを切ってドーイバイクを降りる。目の前にはレンガ造りの立派な建物。ウェーバーギルドだ。


「送ってくださってありがとうございます。では、まず報告ですので……」


 ユリアがそう言ってギルドに入ろうとした瞬間、


「おっ、ユリアか?」


 と背後から声がした。振り返ると、そこには大剣を背負ったガチムチの男性と長剣を腰から下げた爽やかそうなイケメン、そして白銀の鎧に身を包んだ男性がいた。


「ジャックさん! ビルさん! ボブさん!」


 ユリアがそう言って駆け寄る。


「ユリアさん、この方たちは?」

「あ、リチャードさんはご存知ありませんでしたね。山の中でお話しした、私と仮のパーティを組んでくださっている方々です。重戦士の方がジョン・レイク・ノッズさん、剣闘士の方がウィリアム・クワン・カミュさん、騎士の方がロバート・タイム・アートレーさんです。」

「ああ、ユリアさんの仮のパーティの方ですか。俺は魔術師のリチャード・ルドルフ・イクスティンクといいます。」

Johnジョンだ。気軽にJackジャックと呼んでくれ。」

Williamウィリアムと申します。Billビルとお呼び下さい。」

Robertロバートだ。Bobボブと呼んで貰って構わない。」

「よろしくお願いします、ジャックさん、ビルさん、ボブさん。」


 俺は名前とニックネームに食い違いがあることに違和感を覚えながらも、取り敢えず挨拶を返す。挨拶が終わると、ジャックさんはユリアに、


「ユリア、このディック・・・・とかいう魔術師とはどんな関係なんだ?」


 と質問した。このジャックさんの言葉に俺はキレかける。即座にティリに止められたので暴走はしなかったが。


「あ、あの、ジャックさん、リチャードさんはディックと呼ばれるのが嫌みたいなので、そうは呼ばないであげてください。」

「ああ、ニックネームが嫌いなのか。そりゃ、知らなかったとはいえ悪い事したな。」


 ジャックさんはそう言って俺に軽く頭を下げると、


「で、ユリア。このリチャードとかいう魔術師とはどんな関係なんだ?」


 と再び聞いた。


「えっと、皆さんは私がフェリアイルステップのダンジョン調査に行っていたのを知っていますよね?」

「ええ。確かギルドマスター、ヴェトルさん直々のご指名だったとか。」

「はい。その通りです。それでダンジョンに行っていたんですが、そこでプレデターラビットに襲われてしまいまして。その時にプレデターラビットを追い払って、私を助けてくださったのがリチャードさんなんです。しかも、ご自分もダンジョンの探索中だったというのに。」

「なっ? 自分のダンジョン探索を中止してまでユリア嬢を助けた、だと?」

「そうなんです! しかも、ここまでドーイバイクで送ってくださった上、パーティも組んでくださるんです!」

「おお! そりゃ良かったな! じゃあ、ユリアはやっと真のパーティが組めるのか!」


 ジャックさんが我が事のように喜んで声をあげる。


「良かったですね、ユリアさん。」

「夢が叶ったな、ユリア嬢。」


 ビルさんとボブさんも笑顔だ。


「ありがとうございます。では、クエストの結果報告とパーティ登録がありますので、これで失礼しますね。」


 そう言ってユリアはギルドに入ろうとする。しかし、その時ジャックさんが、


「ジャスト ア モーメント!」


 と叫んだ。『ジャスト ア モーメント!』とは、直訳すると『ちょっと待て!』という意味だ。


「どうかされましたか?」


 俺が聞くとジャックさんは、


「リチャード、お前は何属性に適性を持っている?」


 と、ちょっと怖い顔で聞いてきた。


「気になりますか?」

「無論だ。ユリアは探索者シーカーだから、武器を使用した近接戦闘が主で、攻撃魔法はあまり得意ではない。お前が近距離でも遠距離でも効果のある炎や風、雷属性の魔術を使えればいいが、近距離でしか効果の無い金属や刀剣属性しか使えない場合、ユリアを危険に晒してしまう可能性があるだろう?」

「ジャック、失礼ですよ。すみません、リチャードさん。ジャックもユリアさんを救ったリチャードさんを疑っている訳ではないのでしょう。ただ、ジャックはユリアさんのことを妹のように大切にしていましたので……」


 ビルさんが申し訳なさそうに言ってくる。


「別に良いですよ。気にしてませんから。」


 俺はそう言うと、火属性のファイアボール、水属性のウォーターボム、風属性のウィンド、炎属性のフレイム、氷属性のダイヤモンドダスト、雷属性のサンダーオーラ、嵐属性のストームバリア、光属性のライトニングアロー、闇属性のダーククロー、聖属性のヒールライト、邪属性のダークネスキャノンなどの魔法を次々と使用。20程の属性を使ったところで一度止めると、ユリアもジャックさんもビルさんもボブさんもポカンとしていた。いつも通りなのはティリだけ。


「流石はご主人様! これだけの属性の魔法を使い熟すなんて! 魔法を放つ凛々しきお姿、とっても素敵でした!」

「ありがとう、ティリ。純粋に褒めて貰えると嬉しいよ。」


 そう言ってティリをナデナデしていると、ビルさんが納得したような声音でこう言った。


「成程、妖精に自らを『ご主人様』と呼ばせる程強大な力の持ち主という訳ですか。それならばこの程度は造作も無いでしょうね。」

「ビル、どういうことであるか?」

「知りませんか、ボブ? 妖精は通常自らより強い者、例えば自らより多い魔力を保有している者や全属性の魔法を使い熟せるものなどにしか従いません。しかも、従ったとしても完全服従することはほぼ有り得ないのです。しかし、リチャードさんの肩に乗っているあの妖精は、リチャードさんのことを『ご主人様』と呼び、頭を撫でられて嬉しそうにしています。これがどういうことか分かりますね?」

「ん? ……つまり、何だ?」

「分からんのか、ボブ! リチャードは膨大な魔力を保持し、妖精を完全服従させるほどの力の持ち主、ということだ!」

「成程、そういうことか。」


 ボブさんはやっと分かったようだ。


「で、俺はどうすれば良いんですか?」


 俺が聞くと、ジャックさんは、


「リチャードならばユリアを安心して任せられる。ユリアを仲間として大切にしてやってくれ。よろしく頼むぞ。」


 と言った。ビルさんとボブさんも、


「良いパーティになりそうですね。」

「初クエストを終えたら訪ねてくるがいい。祝いに何でも奢ってやろう!」


 と言って笑顔を浮かべた。


「分かりました、ありがとうございます。じゃあユリアさん、行きましょうか。」


 俺はそうユリアに声をかけると、ギルドへと足を踏み入れたのだった。


【ダンジョンステータス】

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)



【リチャードのステータス】

リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター、魔術師

レベル:19

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

   大魔術師(適性ある魔術の威力大上昇)


所持武器:ルビーの杖(レア、炎属性魔術の威力上昇)

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