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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第4章:マスターと冒険者①

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36.調査者来たる

「おっ、ついに来たか!」


 俺は思わずそう叫んだ。街にダンジョンの宣伝に行ってから13日が過ぎた今日。いつものようにアクアトピアをぶちかまされた俺が起き出して、ウィンドウを覗き込んだ瞬間、ダンジョンコアが激しくフラッシュし、


【東、ウェーバー側より冒険者が1名接近中です。】


 とウィンドウに表示されたのだ。因みに俺、即ちダンジョンマスターがダンジョン外に出る、という行動もダンジョンシステム進化の条件だったらしく、俺が行ったことがある街の方から冒険者が来た場合はその街の名が方角と一緒に表示されるようになっていた。


「ご主人様、嬉しそうですね。」

「そんなに喜んでいるように見えるか?」

「はい! 心の底から喜んでいるように見えます! お顔がアルカイックスマイルではないですから!」


 どうやら俺は傍から見ても分かる程気分が高揚しているようだ。まあ、ずっと待っていた冒険者がやっと来たのだから当然と言えば当然なのだが。


「ティリ、そういえば通常ダンジョンの攻略ってどうやって進めていくんだ?」


 俺が偵察用のフレイムイーグルを飛ばしながら純粋な疑問を口にすると、ティリは泣きそうな顔になった。


「ご主人様……私がいたダンジョンは全部最初に来た冒険者に潰されたって言っていませんでしたっけ?」

「あ、そういや……」


 うっかりしていた。ティリが最近過去のことを思い出してネガティブモードに入ることがあまりなかったからすっかり忘れていたが、ティリが今までいたダンジョンは1つの例外も無く最初に来た冒険者にコアを奪われて崩壊していたんだったな。


「悪い、ティリ。忘れていた。」

「わ、忘れていらしたんですか?」


 ん? なんかティリの声が急に明るくなった。『忘れていた』ってフレーズになんか良い思い出でもあったのか?


「ご主人様は私の過去のことを忘れて、一切気にせずにお仕えさせてくださる、ということですね! やはりご主人様はお優しいです! 私が全てを捧げて仕えさせていただくのに相応しいご主人様です!」

「お、おう、そうか……まあ、俺の事は兎も角、普通はどうやって攻略を進めていくんだ?」


 俺がもう一度聞くと、ティリは説明を始めた。


「通常は、まず一人でもそれなりに戦える斥候や探索者シーカーなどがギルドから派遣され、その人物がダンジョン内部の調査をします。簡単な地図を作ったり、メインモンスターの系統やベースモンスターを調べたり。その情報をもとにしてギルドがダンジョンランクを定め、冒険者を送り込んできます。普通ルキナスさんたちのようにパーティを組んで来ますが、自信がある者や命知らずはソロで来ることもあります。」

「ふーん、つまりこいつはうちのダンジョンを調査しに来たっていうことか。攻略が目的じゃないなら、丁重におもてなしするべきだな。」


 俺はフレイムイーグルの視界共有ウィンドウに映る、歳の頃18~19くらいの少女を見ながら呟く。


「ご主人様、どんなおもてなしをするんですか?」

「出血大サービスだ。第1階層の最深部までご案内して、うちのベースモンスターと期待の新戦力の恐ろしさを教えてやるんだよ。」

「さすがはご主人様! 今の笑顔、蠱惑的でとっても素敵です!」

「そうか? お褒めに預かり恐悦至極だ。」


 そんなちょっとヤバめの会話をティリとしながら、俺はダンジョンコアを通してこの3日の間に召喚したウルフ50体を深さ10に配置。そして、その群れの中に山で捕らえたプレデターラビットを2体紛れ込ませた。そして……


「コバルト、お前の力を借りるぞ。」


 レナさんから預かったウォータークジャクのコバルトをウルフたちの後ろに控えさせた。


「あとは……囮役と万一の時の為の準備だな。」


 俺はそう呟きながらブルースパローとブルースワローを第1階層の深さ1~6のエリアで回遊させる。それから、第2階層の深さ16~17にかけて、ハイパースパイダーに不規則に網を張らせ、第4階層の深さ39にある沼のエリア、その周辺にナイトスコーピオンの毒を充満させた。


「もとより深さ10より下に来させる気はないが、念には念をって言葉もあるしな。階層を追加しておくか。」


 次に俺は第13階層と第14階層を追加して、箱型領域を限界まで配置。そしてメタルモールとビッガースネイクに命じて穴を掘らせた。


「じゃあ、最後のオマケだ。深さ40をもし突破してきたようなら、こちらの主力部隊に行ってもらうしかないしな。」


 俺はそう言うと、仕上げとしてフレイムウルフ、アクアウルフ、アースウルフを1組にして第5階層にバラバラに配置し、その影の中にイートシャドウやその進化系モンスターを潜ませた。その他にもシルヴァを中心とした土系モンスター部隊やファイアウルフたちを然るべき場所に配置し、防衛戦の準備は整った。


「こんな所でいいだろ。今回は命を奪う必要はない。適当なところで退散させればいいんだからな。」


 俺はそう呟くと、


「ルキナスさん! ルーアちゃん!」


 と同居人の2人を呼んだ。


「リチャード殿、どうかなさいましたか?」

「久々の侵入者です。やっと宣伝の効果が出ましたよ。フライングドラゴンの繁殖期が終わったみたいですね。」

「それはそれは……まあ、ご祝言申し上げましょう。我々の後では初の侵入者ですな。」

「良かったですね、マスター!」


 2人の反応はかなり違うが、取りあえず祝いの言葉を述べてくれた。と、その時ダンジョンコアが黒く光り、ウィンドウに新たな表示が。


【ダンジョン内に1名の侵入者を確認しました。】


 内部ウィンドウを開くと、ダンジョンに入ってすぐのところでさっきの少女がキョロキョロと首を回していた。


「さて、上手く情報を持ち帰れるか、お手並み拝見させて頂こう。うちのモンスターたちが勝るか、君の意志が勝るか。」


 俺は薄く笑いを浮かべてそう言うと、ダンジョンコアを通じてモンスターたちに細かい指示を出しながらウィンドウを見つめるのだった。

ダンジョン名:友好獣のダンジョン

深さ:140

階層数:14

モンスター数:360

    内訳:ジャイアントモール   10体

       キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ウルフ         50体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       プレデターラビット    2体

       ビッグワーム      25体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       レッドスワロー     12体

       フレイムイーグル     5体

       イートシャドウ     10体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ブルースパロー     20体

       ブルースワロー     10体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    3体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)

レオナルド・モンテュ・フォーカス(工業都市ヤスパース領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

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