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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第3章:マスターと街

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30.ウェーバーギルドとリチャード

「着きました! ここがギルドです!」


 ティリがハイテンションに言いながら目の前の建物を指差す。それは、以前レッドイーグルの視界を通して見たホイジンガギルドのようにレンガ造りの立派な建物だった。


「ここで冒険者登録とかしてるのか?」

「はい! 1階でクエスト受注受け付け、2階で冒険者登録、3階でクエスト発注受け付けを行っています。今回私たちが行くのは、2階と3階ですね。」

「3階にも行かなきゃならないのか?」

「はい。掲示板に依頼を貼ったりするには、ギルドである程度以上のクラスに認められている必要があるんです。ですから、ご主人様はまだ貼ることができません。まあ、恐らく能力試験であっという間に一級魔術師の称号を得ることになると思いますが。」

「それは俺を買い被りすぎだ。それより、こっそりクエストとか依頼を貼る、ってことは不可能なのか? サイレントとかスケルトンとかで姿隠して。」

「無理でしょう。掲示板は重さに反応して、その権利が無い者が貼った場合はサイレンが鳴るようになっていますから。」

「あー、じゃあ無理だな。」


 俺はそう言いながらギルドに入り、階段を上って2階に行く。そこには3人の受付嬢がいて、その前に2人ずつ並んでいた。


「この人たちも冒険者登録しようとしているらしいですね。」

「そうか、それじゃ俺たちも並ぼう。」


 俺はそう言って、一番右側の列に並んだ。冒険者登録は比較的簡単なようで、すぐに順番が来た。


「いらっしゃいませ♪ 冒険者登録ですね?」

「ええ。」

「私は当ギルドの受け付け、レナ・ルー・ミウと申します。よろしくお願いします。」


 そう言って受付嬢、レナさんはパチッとウインク。頭に生えたネコミミがピコピコと動いている。なんかティリからもの凄い冷気と前にビンビン飛ばされる殺気を感じるが……とりあえず無視。


「はい、よろしく。」

「…………」


 俺はそう返事をしたのだが、レナさんは無言。ふと顔を見ると、涙目でちょっと震えている。俺はこっそりと調査魔法【リードハート】を使用。すると……


(うわあああ……この人、肩に妖精さん乗せてる……しかも妖精さんの目が怖い……顔は笑ってるけど目が笑ってない……怖い怖い怖い……殺されちゃう……こんな怖い妖精さんを肩に乗せられるなんて、この人もきっと凄い魔力持ってる怖い人……)


 なんか勘違いをされてる。主に俺について。ティリにも魔法を使ってみると……


(このメス猫め……私のご主人様に色目使いやがって……ペーストにして粉微塵にして消滅させてやる……ぶち殺す……殺す殺す殺す殺す……しかもご主人様を無視しやがった……万死に値する愚行……殺してくださいって100回言うまで斬り続けてからペーストに……)


 凄い物騒なことを考えていた。ティリの俺に対する考え方はエスカレートすると制御がきかなくなるからな……人を無闇に殺そうとするなって言ったはずなんだが……俺はそう思いながら、


「アクアトピア。」


 と、半ば冷めた感じの声で魔法を唱えた。俺とティリがびしょ濡れになる。


「目が覚めたか、ティリ。」

「あれ? ご主人様、私は何を?」

「レナさんをぶち殺すって心で呟きまくってた。レナさん怖がっちゃってるだろ。謝れ。怖がらせてごめんって。」


 俺が言うとティリは素直にコクッと頷いた。そして、


「受付嬢さん、怖がらせるだけでごめんなさい。」


 と謝った。


「殺害前提にするな! 将来的に殺すって言ってるだろ、怖がらせるだけ・・って! レナさん、俺の連れが変なことしてすみません。」


 ティリに謝らせるのは不可能だと悟った俺は、自分で謝ることにした。しかし、レナさんは、


「命だけは……お許しください……命だけは……どうか……お願いします……」


 と言ってブルブル震えている。こりゃアクアトピアじゃもとに戻らないな。そう判断した俺は、


「コンフォート。」


 と唱えた。緑の光がレナさんに降り注ぎ、震えがだんだんと治まっていく。そして光が消えたとき、レナさんはすっかり落ち着いていた。


「あの、冒険者登録して貰えますか?」

「あ、はい! 申し訳ありません、途中であんなお見苦しい物を……」

「あれは俺の連れのせいだと思いますから、俺は気にしていません。」


 俺はそう言いながら、左肩の上にいるティリをちょっと睨む。ティリは頭を下げた。


「ティリ、今後物騒なことを言うのは控えろよ。」


 俺はそう言うと、


「じゃあ、登録お願いします。」


 とレナさんに頼んだ。


「かしこまりました。では、こちらの羊皮紙に必要事項のご記入をお願いします。」


 レナさんは一枚の羊皮紙とインク、羽根ペンを取り出してそう言った。


「えっと、名前、希望職、サイン、血判か……」


 俺はそう呟きながら記入をしていく。名前はリチャード・ルドルフ・イクスティンク、希望職は魔術師。そしてサインをすると、レナさんからナイフを借りて親指を少し斬り、血判を捺した。


「はい、リチャード・ルドルフ・イクスティンク様ですね。では、適性のある魔力属性を調べてから、能力試験を行いますので、こちらでお待ちください。」


 そう言ってレナさんは奥のドアを開け、俺たちを中に招き入れた。俺たちは促されるまま、中に入った。

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