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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第3章:マスターと街

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24.ヤスパースとリチャード

「ヤスパースに行こうとしていたはずなんだけど……ここどこだ?」


 俺とティリは、道に迷っていた。


「右も左も前も後ろも木、木、木、木……分かりません。山の中だってことしか。」


 どうやらティリにも分からないようだ。


「あー、クソッ! こうなったら一番物を知ってそうなルキナスさんに聞こう。」


 俺はそう言うと、【ディスプレイ・パール】に魔力を流す。すると、ウィンドウのような物がパールから出現し、そこにルキナスさんが映った。


「ルキナスさん。」

『リチャード殿! 我が友は見つかりましたかな?』

「いや、今は別件です。取り敢えずアサンドルの目的は果たしました。領主と友好条約を結んで、ついでに仲良くなってきました。」

『それはよろしかったですな。しかし、その報告だけではないでしょう?』

「ええ。ヤスパースに向かおうと思ったら、道に迷いまして。」

『……リチャード殿、アサンドルからヤスパースなど、ほぼ一本道ですぞ。どこをどう間違えたら道に迷えるのです?』

「そんなこと分かりませんよ。気が付いたら迷ってたんですから。」

『あの周辺の地理は頭に入っておりますが、今どこにいらっしゃるか分からないのでは私は手出しできませぬ。申し訳ない。』

「いえ。じゃあ、何とか脱出します。次の連絡は、まだ道に迷ってるか、友人を見つけたかのどちらかだと思っていてください。」


 俺はそう言うと、魔力の流れを断つ。ディスプレイは消えた。


「ご主人様、脱出するって言っても、一体どうやって? 脱出方法でも探るんですか?」


 ティリが不安げな顔で聞いてくる。


「いや、脱出方法とかを探ったりはしないよ。俺も、勿論ティリも。」

「え? じゃあどうするんですか?」

「あいつが連れて行ってくれるからな。歩くの疲れたし、ちょっとは楽してもいいだろ?」

「あいつ……? ああ、あの子ですか。」

「そう。ダンジョンからついて来てるあいつだ。」


 俺はそう言うと、


「シルヴァ!」


 と叫んだ。すると、俺の目の前の木々が2、3本空へ打ち上げられ、そこからシルヴァが出てきた。


「シルヴァ、俺とティリは道に迷っちまったみたいだ。俺たちをヤスパースの近くまで運んでくれ。お前の持ってる体内磁石があれば、方角分かるだろ?」

「クウ!」


 シルヴァは『勿論!』と言っているような目でそう鳴いた。


「じゃあ、俺たちの運搬、頼むぞ!」

「クウ!」


 シルヴァの了解を取り、俺はティリを肩に乗せたままシルヴァによじ登る。メタルの名の通り毛が硬いのかと思ったが、案外柔らかく、フワフワしている。


「よし、シルヴァ! 頼んだぞ!」

「クウー!」


 シルヴァは高速で穴を掘り、ヤスパースへと地中を進み始めた。



「クウー!」


 シルヴァが地中から出た。辺りを見回すと、300m程先にヤスパースの門が見える。


「サンキュー、シルヴァ。またなんかあったら頼むぞ。」

「クウ。」


 シルヴァはそう言うと、地中へと戻って行った。


「ヤスパースにもギルドは無いんだったよな?」

「はい、ありません。」

「じゃあ、ダンジョン宣伝はしなくていいな。今回の目的は友好条約の締結と、ルキナスさんの友人探しだ。」

「了解しました、ご主人様!」

「で、ここもハルバード兵士が3人いるけど、入れるの?」

「試してみればいいんじゃないですか? 多分入れませんけど。ヤスパースは通行料がかかりますから。」

「そういうことは先に言えよ。いくら?」

「銀貨1枚です。」

「高くないか? 銀貨1枚って1万ゴルドだろ? そんなにするのか?」

「工業都市ですから、ホイジンガ程ではなくとも色々ものが入手できるんですよ。それに、加工後すぐの物が多いのでオリジナルリメイクが可能。加えて、この街は物品の出入りに関税を1ゴルドもかけていないんです。ですから、街の価値を考えるとこのぐらいが妥当、となったんです。」

「……なんか釈然としないけど、まあいいや。それほど痛い出費でもないし。」


 俺はそう呟くと、門に近付いた。案の定、ハルバード兵士が1人こっちに走ってくる。


「おい、そこのお前! 止まれ!」

「何ですか?」

「この街に入るには通行料が必要なのだ。お前と肩に乗っている妖精の2人分、合わせて2万ゴルド支払ってくれ。」

「そんなにかかるんですか?」


 俺は知っていたが、さも驚いたようにそう言う。


「高いとは思うだろうが、これは規則なのだ。」

「じゃあ、これで。」


 俺は金貨を1枚差し出した。ハルバード兵士はそれを受け取ると、門の横まで駆けて行き、銀貨8枚を持って戻ってきた。


「待たせてすまない。これが釣りだ。」

「あ、はい。」

「ようこそ工業都市ヤスパースへ。」


 にこやかに言うハルバード兵士の声を背中に受けながら、俺たちは街に入った。



「さて、じゃあまずは領主の館に向かおう。」

「はい。あ、じゃあ先に契約書を作っておきましょう!」

「ああ、そりゃいいな。【クリエイト】!」


 そう呪文を唱えると、俺の右手が光り、契約書とダンジョン情報の書かれた羊皮紙の束が現れた。


「よし、これでいいだろ。じゃあ、領主の館へGOだ。」

「はい!」


 俺は丁度歩いていた人に領主の館への道を聞き、そこへ向かった。

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