表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第3章:マスターと街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/200

23.アサンドル領主とリチャード

「君が、私に対する面会希望者かね?」


 ノアさんに案内され、領主の部屋に入った俺は、部屋の中で執務机に向かって座っていた髭面の男性にそう言われた。


「えっと、あなたは……」

「ああ、失礼。顔では分からぬな。私がこのアサンドルの領主、リック・トルディ・フェインだ。民の為になる政治を心がけているが、中々上手くいかない。だが、少しでも民の負担が減れば、と思っている。」


 ティリが言っていた通り、いい人らしい。


「どうもご丁寧に。俺はリチャード・ルドルフ・イクスティンクといいます。アサンドルの領主様と友好条約を締結する為、本日はこちらに来させて頂きました。」

「まあ、そう畏まらなくともよい。ノアが言うには、君は妖精を屈服させているらしいが、本当かね?」


 領主……リックさんに聞かれた俺は、正直に答える。


「いいえ。屈服させても、服従させてもいません。俺は、妖精に手助けして貰って生きている。いわば、対等の関係ですかね。まあ、主従関係はありますけど。俺の方が主、妖精は従者で。」


 ティリの職業の欄に【従者】って入っていたからそれは確実だ。


「……それはつまり、屈服させているのでは?」

「違います。協力し合っているんです。」

「まあ、ではそういうことにしておこう。では本題だ。君が今回来た理由は、君が先ほど言っていた通りアサンドルとの友好条約締結、で間違いないかね?」

「ええ。」


 俺がそう答えると、リックさんは、


「では、先に質問に答えてもらおう。君はどこから来た大使か。次に、そこの領主、即ち統治者は誰で、そこの領民は何人か。そして、最後に条約の内容だ。この3つを明確に回答してくれ。」


 と言ってきた。


「なんでそんなことを言う必要が?」

「君が偽大使でないか確認するためだ。」

「なら、先に訂正させてもらってもいいですか? 俺は大使じゃありません。」


 俺がこう言うと、リックさんは目を見開いた。


「どういうことかね? では、君は偽大使なのか?」

「いや、大使ってのはこちらの兵士さんが勝手に勘違いしただけです。俺は条約締結に来たんだって言ったら、大使と勘違いしたみたいで。俺は大使じゃないですが、条約締結しに来たんです。」

「大使ではないのに条約締結を任されるなど……訳が分からん……」


 そう言って頭を振るリックさんに俺は堂々と言った。


「言わなきゃいけない事ですからはっきり言いましょう。俺は、大使ではなくダンジョンマスターです。」

「なっ? ダンジョンマスターだと……?」

「ええ。俺はフェリアイルステップにあるダンジョンから来たダンジョンマスターです。統治者は勿論俺、リチャード・ルドルフ・イクスティンクで、領民は俺を含め4人。そして条約の内容は、俺のダンジョンはここへ侵攻せず、その上俺のダンジョンの情報を渡す。その代償として、アサンドルは俺のダンジョンに侵攻せず、俺のダンジョン及び俺たちの情報はあなたが秘匿し、他の者には何があろうと教えない。以上です。」


 俺はこう言ったのだが、リックさんは心ここに在らずといった感じでボーっとしている。俺がダンジョンマスターであるとカミングアウトしたことに驚いて、放心状態になってしまったらしい。


「ご主人様の話を無視するとは許し難い愚行です。私の魔法でペーストにして、更に粉微塵にしてこの世から跡形も無く抹消してやります!」

「怖いことを言うな、ティリ。人を無闇に殺すのは禁止。それにここはダンジョン内じゃないから。俺は話を聞いて貰えればそれでいい。」

「えっと、じゃあ……」

「分かるだろ? 話聞いて貰うっつったらアレ・・しかないよな?」

「ああ、アレですね。」


 俺とティリは意味深な会話を交わすと、声を揃えて、


「「アクアトピア!」」


 と叫んだ。今回はティリの魔法が的を外すことも無く、普段の2倍の量の水がリックさんに降り注ぐ。


「……ハッ!」

「気付かれましたか?」

「んん……リチャード大使、私は何を?」

「リックさん、俺は大使じゃなくてダンジョンマスターってさっき言いましたが。」


 俺はそう言うと、先程の説明をもう一度した。


「それは、こちら側に拒否権が無い。受けるしかないな。」

「拒否権が無い? 別に断って貰ってもいいんですよ?」

「いや、断ることはできない。断るということは、交渉決裂、即ち友好条約締結不可能だ。そうなると、君はダンジョンのモンスターを使ってアサンドルに侵攻するだろう?」

「は? いやいやいや、そんなことはしませんって! そもそも俺は地上と戦闘しようなんていう考えはありません。俺が戦うのは防衛の為だけです。」

「ならば、なぜこのような条約を結ぼうとする? メリットが薄いだろう。私が情報を漏らしたりする危険性を考えればこのようなことをわざわざしようとは思わないはずだ。」

「俺は平和主義者です。地上とは仲良くしたいからですよ。」

「しかし、私は君を信用するだけの土台が無い。君も私を信用するだけの土台が無い。」

「だからこそ、ですよ。相手に信用して貰うには、自分の弱みを先に見せる。それが最も手っ取り早く信用して貰う方法です。こういう場合、俺とあなたがゆっくりと親睦を深め、そしてようやく信用するだけの土台ができた時には、何かが手遅れになっているんでしょう。その事態を防ぎたいからこそ、俺は弱み、ダンジョンマスターだってことを明かしたんです。ですから……」


 俺はガバッと頭を下げる。


「お願いです、リックさん! 友好条約締結をお願いします!」

「お願いします!」


 ティリも頭を下げた。するとリックさんは執務机の引き出しを開け、羽根ペンとインク、羊皮紙、朱肉を取り出し、羊皮紙に俺が先ほど言った条件を書き込むと、サインをして拇印を捺した。


「これでいいか?」

「締結してくださるんですか?」

「君にそれだけの覚悟があるなら、私もそれに応えなければ、と思ったからな。」

「あ、ありがとうございます!」


 俺はそう言うと、羽根ペンと朱肉を借りてサインと拇印。そして、【コピー】という魔法を使って2枚に増やすと、一枚をリックさんに渡した。


「えっと、じゃあこれが条約締結の証です。ちゃんと保管しておいてください。それと……」


 俺はそう言って、ティリをチラッと見る。ティリはコクリと頷くと、


「【コピー&ワープ】!」


 と呪文を唱えた。その途端、俺の手に10枚ほどの羊皮紙の束が現れた。


「これがダンジョンが開通してから今日までのデータです。リックさん、これは絶対に誰にも見せないでくださいね。」

「了解した。ダンジョンマスター。」

「リチャード、でいいですよ。」

「ではディック。条約締結だ。これを破る者は、国際的に違法となる。」

「はい?」


 俺は思わず素っ頓狂な声をあげた。


「ディックって誰ですか?」

「君のことだ。」

「俺の名前はリチャードです! ディックじゃありません!」

「いや、リチャードならばディックだろう?」

「違いますよ!」


 俺とリックさんが言い争いをしていると、ティリが解説してくれた。


「ご主人様、Richardリチャードという名前の愛称はDickディックなんです。」

「え? 何で?」

「なんで、と言われましても……通説としか言えません。」

「そうか。まあいいけど。」

「という訳で君はディックだ。」


 そう言うと、リックさんは締結の証とデータを引き出しにしまった。そして、鍵をかけた上、魔術で多重鍵もかけると、


「君に渡したいものがある。ちょっと付いて来てくれ。」


と言い、部屋から出ていった。俺たちも後を追った。



「さて、ディック。これが君に渡したいものだ。」


 そう言ってリックさんは目の前にあるものを指示した。それは、大量の野菜や穀物と黒い宝石だった。


「これは、私が育てた野菜と穀物だ。ダンジョンでは新鮮な食材を得るのが大変だろう? これを進呈したい。そして、こっちの宝石は【マジックオニキス】という。この石に魔力を込めれば、私とどんなに遠く離れていても話ができる。その上、映像も届く。私からも時々連絡を入れるかもしれんがね。例えば、見慣れぬモンスターに襲撃されたが、君の配下ではないか? とか。」

「そんな連絡は来ないことを祈ってますよ。まあ、少なくとも俺はあなたと敵対することはありません。」


 俺はそう言いながら空間魔法【オープン・ザ・チェンジワールド】で異次元倉庫を作ると、野菜と穀物をその異次元倉庫に入れ、マジックオニキスはローブのポケットにしまった。


「では、これからよろしく、ディック。」

「ディックはやめてもらえませんか?」

「……仕方ないな。了解した、リチャード。では、改めてよろしくだ。」

「ええ。こちらこそ。いいお付き合いができるといいですね。」


 俺はそう言うと、リックさんと握手を交わし、アサンドルを後にするのだった。さあ、次はヤスパース! 2つ目の条約締結とルキナスさんの友人探しだ!

ダンジョン名:‐‐‐‐‐‐

深さ:120

階層数:12

モンスター数:220

    内訳:キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       フレイムイーグル     5体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    2体


友好条約締結者

リック・トルディ・フェイン(農業都市アサンドル領主)


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ