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ダンジョンマスター with 妖精 ~ひたすら型破り~  作者: 紅蓮グレン
第3章:マスターと街

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21.街へ行くリチャード

「あー、暇だ! 何で誰も来ねえんだよ!」


 俺は大声でこう叫んだ。このところ、俺のヒステリーは悪化の一途をたどっている。口を開けば『暇だ!』しか出てこない。


「暇つぶしになら……」

「魔法の訓練ならしませんよ。もう十分です。また今度でいいですから。」


 俺は何か言いかけたルキナスさんを遮ってそう言った。


「そんなことを言っていると腕がなまりますぞ。魔法を自己防衛の手段として持っているのですからなまってしまったら……」

「確かに俺は自らの防衛手段として魔法を覚えています。でも、一撃で城を消し炭に変えられるような魔法は防衛に必要ないですよね? あれ、魔法分類上はスーパーアクティブ、即ち超攻撃的ってところに入るじゃないですか。なんであんな物騒なもんを教えたんです?」

「それはですね……」

「確か【クラッシュ・キャッスル】でしたよね? 名前からしてヤバいじゃないですか。シルヴァが咄嗟の判断で天井を固めてくれたからよかったですけど、もしあいつがいなかったら、2日前のあの試し打ちで訓練場の天井崩落してたかもしれないんですよ。そこ、理解してます?」

「その位は理解しておりますぞ。リチャード殿の保有魔力量は宮廷魔術師をも凌駕するということを忘れていただけですな。ハッハッハ!」

「笑ってごまかそうとしても無駄です。兎に角、今は魔法の訓練はしません。今回はアクアトピア使っただけで崩落しかけるかもしれませんし。」


 俺はそう言うと、ウィンドウに向かい合った。その時、ダンジョンコアが青く光った。


「お、新機能の解放か?」


 そう呟いてウィンドウを見ると、そこには


【ダンジョンマスターがはっきりと意思を表明しました。鑑定眼スキルをレベルアップします。】


 と無機質な文字で表示されていた。


「レベルアップ? 何か見える情報でも増えるのか?」


 そう言いつつルキナスさんを鑑定してみた。すると……


ルキナス・クロムウェル・モンテリュー

種族:人間

職業:魔術師

レベル:469

スキル:杖術(Lv58)

    料理(Lv49)

    地属性魔法(上級)

    光属性魔法(上級)

    炎属性魔法(中級)

    水属性魔法(中級)

    風属性魔法(中級)

    全属性魔法(初級)

    炎耐性

    風耐性

    毒耐性

称号:見習い賢者(記憶力上昇)

   一級魔術師(適正ある魔術の威力上昇)

   生命の寵愛者(攻撃時、相手の昏倒率上昇、殺害率減少)

状態:正常


「うお、なんかいろいろ出てきた。てか、表示も変わってるし。」


 今までは種族、名前の順だったのに、名前、種族の順になっている。それ以外にも、職業、レベル、スキル、称号が加わり、より詳しく分かるようになっていた。


「レベルアップって便利だな。」


 俺が誰にともなく呟くと、ルキナスさんがこちらに近付いてきた。


「自己意思を表明しただけでレベルアップとは……しかも鑑定眼などというレアスキルを……」

「鑑定眼ってレアスキルだったんですね。知らなかったな……」


 俺がこう呟くと、ドールハウスの中でドタドタという音がし、窓からティリが飛び出してきた。青い顔をしている。


「ご、ご主人様! 申し訳ありません!」

「は? 何が?」

「鑑定眼のスキルがご主人様に発現したとき、鑑定眼がレアスキルだということを説明するのを忘れていました! わざと言わなかったんじゃないんです! 忘れてただけなんです! お許しください! 嫌いにならないでください! 捨てないでください!」

「いや、そんなことくらいで嫌いになったり捨てたりしないから。」


 俺はティリを撫でながらそう言った。そう言えば、ティリは通貨価値を教え忘れていた時もこんな感じのことを言ってたな。


「ティリ、何でそんなに捨てないで、って言うんだ?」

「私はダンジョンマスターに言われまくっていたんです。『今度余計なことを言ったら捨てるぞ。』って。」

「はあ、全く。お前は自分が何か失態を犯すたびに昔は昔はって……昔のことは考えるなって何回言えば分かるんだ?」


 俺は溜息を吐きながらそう言い、ティリを鑑定してみた。


ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト

種族:妖精

職業:秘書、従者、サブマスター

レベル:167

スキル:短剣術(Lv16)

    弓術(Lv29)

    水属性魔法(上級)

    風属性魔法(上級)

    治癒属性魔法(中級)

    全属性魔法(初級)

称号:ダンジョンマスターの寵愛(ダンジョン内で能力上昇)

状態:焦り


 ……状態と感情って同じなのか? 焦りって確実に感情だし。でもなんで……ああ、そういうことか。自分が説明し忘れることが多くて俺に愛想尽かされるんじゃないかと心配してるんだな。


「ティリ、俺はティリを嫌いにならないし捨てもしない。そもそもお前は俺の命の恩人だろ。改めて言わせてもらう。」


 俺は一度ここで言葉を切り、


「心配するな、ティリ。俺は無条件でティリの全てを肯定するから。」


 と言って、あの時のようにそっと抱きしめた。ティリの目から涙が溢れ出す。


「……ごじゅじんざま……ごじゅじんざまぁ!」

「よしよし、今は泣きたいときなんだな。好きなだけ泣いていいぞ。嫌な感情は涙と一緒に流しちゃえ。」


 俺がこう言ってティリを抱いたまま撫でると、ルキナスさんの怨恨のこもった声が聞こえてきた。


「クッ……リチャード殿、このようなことを申し上げるのは甚だ不本意ではあるのですが、それはまさか、私に見せつける為にやっていらっしゃるのですかな?」

「違います。ただ俺はティリを可愛がってるだけですよ。ってか、全員セリフが過去にリフレインしてるな……」


 俺はそう言いながら、自分を鑑定。


リチャード・ルドルフ・イクスティンク

種族:人間

職業:ダンジョンマスター

レベル:17

スキル:鑑定眼(Lv2)

    全属性魔法(上級)

    無詠唱

称号:妖精の寵愛(全魔術の威力上昇)

状態:正常


「何で俺のレベル17もあるんだ?」

「あの重戦士と剣闘士を倒したからです。あの2人は手練れでしたし、倒した分が経験値として入ってレベルが上がったんですよ。」

「俺のレベルは撃退した侵入者の能力とかで決まるのか……」


 俺はこう言った時、ルーアちゃんがいないことに気付いた。


「あれ? ルキナスさん、ルーアちゃんはどこに行ったんですか?」

「少し遠くの街、ニッチェルまで転移陣でケーキを買いに行っておりますぞ。DPを消費して貰ってばかりでは申し訳ないと言っておりましたな。ついでに私の紅茶の茶葉も買って来て貰うことになっております。あと1時間程で戻るでしょう。」

「へー、街ですか。ん? 街か……」


 俺はあることを思いついた。


「そうだ! ダンジョン宣伝の為に街まで行こう!」

「「……はああああああああ?」」


 ティリとルキナスさんの声が被る。


「2人ともそんなに大声あげて、どうした?」

「どうした? じゃないです! なんでわざわざ宣伝になんか行くんですか! 危険です!」

「だって暇だし。」

「暇だからとかいう問題ではないでしょう、リチャード殿。自らがダンジョンマスターであるということをお忘れか?」

「忘れてませんよ。だから宣伝に行くんじゃないですか。」

「支離滅裂です! 意味が分かりません!」

「たまには変化が欲しいじゃん。それに、大変なことになりかけたら戻ってくればいいんだし。」


 俺は楽観的にこう言った。


「……はあ、ご主人様が行きたいというのであれば仕方ないですね。でも、お一人で行かせるのは不安ですので私もご一緒させて頂いてよろしいですか?」

「勿論。というか寧ろ、一緒に来て欲しいと思ってたしな。」

「で、では……」


 ティリの目がキラキラし始めた。


「どうした、ティリ?」

「ご主人様と初デートです!」

「ああ、そう言えばそうか。初デートだな。」


 俺はそう言うと、ルキナスさんの方を向いた。


「じゃあ、ルキナスさん、留守番お願いします。あと、ルーアちゃんが帰ってきたら俺らが街に言ってるって伝えておいてください。」

「了解した。ただ、くれぐれもお気をつけて。それと……」


 そう言ってルキナスさんはローブのポケットから四角いパールを取り出した。


「それは【ディスプレイ・パール】という名のマジックアイテム。それに魔力を込めると、その持ち主の姿が立体的に浮かび上がって見えるのです。加えて、音声も伝わりますし、こちらにもそちらの映像と音声が伝わります。」

「はあ……で、これが何か?」

「リチャード殿が行かれる街というのはホイジンガ、ウェーバー、アサンドル、ヤスパースの4つでしょう? ヤスパースには私の友が何人かいるのです。【ルキナスは永久に犬を愛す】と言って、相手が【小型のイヌは素晴らしき友】と返事をしたらそれは私の友ですので、その者の前でこれに魔力を込めてくだされ。久々に話をしたいので。リチャード殿も話を通して友好条約でも結んできてはいかがですか?」

「なら、ルキナスさんもついて来たらどうです?」

「それはできませぬ。誰もいなかったら、ここに帰ってきたルーアがパニックを起こしかねませんし、私は恐らく死んだ扱いになっているでしょうからな。ギルドの連中に見つかったらことです。そして何より……」


 ルキナスさんは一度言葉を切ると、


「お2人のデートの邪魔をする訳には参りません。」


 ときっぱり言った。


「お心遣い頂きありがとうございます、ルキナスさん。」

「いえいえ。重ねて言いますが、くれぐれもお気をつけて。」

「分かってますよ。さ、行くぞ、ティリ!」

「はい、ご主人様!」


 俺はそう言ってティリを肩に乗せるとシルヴァを呼び、背中に乗ってダンジョンの外へと出たのだった。

ダンジョン名:‐‐‐‐‐‐

深さ:120

階層数:12

モンスター数:220

    内訳:キングモール      10体

       メタルモール      29体

       ジェネラルメタルモール  1体

       ソイルウルフ      15体

       ファイアウルフ     13体

       ウォーターウルフ    12体

       アースウルフ      20体

       フレイムウルフ     20体

       アクアウルフ      20体

       ジャイアントワーム   25体

       ビッガースネイク    30体

       フレイムイーグル     5体

       ハンターシャドウ     1体

       シノビシャドウ      2体

       アサシンシャドウ     2体

       ハイパースパイダー    5体

       ナイトスコーピオン    5体

       ウォーターホーク     1体

       ウォーターホーンオウル  2体

       ウォータークジャク    2体


住人

リチャード・ルドルフ・イクスティンク(人間、ダンジョンマスター)

ティリウレス・ウェルタリア・フィリカルト(妖精)

ルキナス・クロムウェル・モンテリュー(人間、魔術師)

ルーア・シェル・アリネ(獣人、軽戦士)

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